物理(M3)

科目基礎情報

学校 広島商船高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物理(M3)
科目番号 1931004 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 一般教科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「物理基礎」高木堅志郎、植松恒夫編(啓林館)、「物理」高木堅志郎、植松恒夫編(啓林館)、「学習到達度試験(物理)過去問演習」藤原滋泰( http://www.hiroshima-cmt.ac.jp/faculty/ippan/007.html )/参考図書:「機械系の運動と振動の基礎・基本」 瀧口三千弘・藤野俊和・藤原滋泰 (海文堂)
担当教員 藤原 滋泰

到達目標

(1) 波の基本的性質を学び、身近な波である音や光について理解し、波についての各種の物理量を計算できる様になる。
(2) 運動の法則をもとに、2つの物体が衝突したり、1つの物体が分裂したりする際に成り立つ法則について理解出来る様になる。
(3) 円運動やばねに吊されたおもりの振動の様に、一定の時間間隔で同じ動きを繰り返す運動について理解出来る様になる。
(4) 万有引力の法則を学び、天体だけでなく、人工衛星や探査機などの運動についても考えられるようになる。
(5) 微分積分を用いた、簡易な力学の問題を解ける様になる。
(6) 日常生活に身近な静電気・モーター・発電機・電波などの原理について、何も見ないで説明できる様になる。
(7) 電気の正体やモーターが動く仕組み、交流の電気についての基礎知識を身に付け、問題を解ける様になる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ドップラー効果や弦や気柱の振動、共鳴や共振についてについての複雑な問題が解ける。音源の振動、ドップラー効果、弦や気柱の振動、共鳴についてついての基本的な計算ができる。音波、音源の振動、ドップラー効果、弦や気柱の振動について説明できない。または、基本的な計算が出来ない。
評価項目2物体の釣り合いの条件、滑らかな面への斜め衝突、衝突とエネルギーの保存、運動量と力学的エネルギーについての複雑な問題が解ける。剛体のつりあい、運動量の保存、反発係数、弾性衝突、非弾性衝突、完全非弾性衝突についての基本的な計算ができる。物体の重心、運動量、反発係数について説明できない。または、基本的な計算が出来ない。
評価項目3等速円運動をする物体に働く力、円錐振り子、慣性系と非慣性系、遠心力、ループコースター、単振動の力学的エネルギーについての応用的な問題が解ける。等速円運動の速度、加速度、慣性力と遠心力、単振動、単振動の変位、速度、加速度、初期位相、ばね振り子についての基本的な計算ができる。等速円運動、角速度、ラジアン、周期、回転数、遠心力、単振動について説明できない。または、基本的な問題を解く事も出来ない。
評価項目4ケプラーの法則、万有引力、万有引力による位置エネルギー、宇宙への旅、静止衛星、宇宙速度についての応用的な問題が解ける。惑星の運動、天動説、地動説、面積速度、焦点、ケプラーの法則、万有引力、万有引力定数についての基本的な問題が解ける。ケプラーの法則、万有引力について説明できない。または、基本的な問題への適用が出来ない。
評価項目5速度、加速度、変位の問題を微分積分を用いて解くことが出来る。また、 簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くこともできる。速度、加速度、変位の基本的な問題を微分積分を用いて解くことが出来る。また、 仕事、力積、位置エネルギーと力の基本的な問題を微分積分を用いて解くことが出来る。速度、加速度、変位の概念を微分積分を用いて説明することが出来ない。
評価項目6直流回路、クーロンの法則、電界、電気力による位置エネルギー、電界と電位の関係、ジュール熱と抵抗・電圧・電流の関係についての発展的な計算ができる。電気量、クーロンの法則、点電荷の周りの電界、電気力による位置エネルギー、電界と電位の関係、電力とジュール熱、直流回路についての基本的な計算ができる。電気量、導体と不導体、静電誘導、クーロンの法則、電流、電気抵抗、電力についての基本的な概念を説明できない。または、基本的な計算ができない。
評価項目7電流が作る磁界、ローレンツ力、電磁誘導の法則、自己誘導と相互誘導、交流と電磁波についての応用的な問題が解ける。磁気力と磁界、電流が作る磁界、電流が磁界から受ける力、ローレンツ力、電磁誘導の法則、磁界中を運動する導体の棒についての基本的な計算ができる。磁気力、磁界、電磁誘導についての基本的な説明や簡単な計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
(1) 大きさのある剛体の重心や釣り合いの関係について学習する。
(2) 2物体が衝突したり、1つの物体が分裂したりする際に成り立つ法則について学ぶ。
(3) 周期的な運動のもととなる力の性質や、運動の様子について学ぶ。
(4) 万有引力について学び、天体だけでなく、人工衛星や探査機などの運動について考える。
(5) 自動車の様な乗り物の運動や、ボールの運動の様な、速さや動く向きが絶えず変化し、良く観察すると複雑な運動を微分積分を用いて表す方法を学ぶ。
(6) 私達の生活に身近な静電気・モーター・発電機・電波などについて学ぶ。
(7) 電界と電位、電流と磁界、電磁誘導と電磁波についての式や原理、法則などについて学ぶ。
授業の進め方・方法:
(1) 講義を行い、ノートをとってもらった後に、演習プリントを配布し、問題を解いてもらう。
(2) 問題を解き、発表する際には、質疑応答を行うことで互いの理解を深める様にする。
(3) 理解した内容をチェックするために、Blackboardのオンラインテストを受講して下さい。
(4) Blackboardから配信している、学習到達度試験対策の電子書籍をダウンロードして、問題演習に役立てて下さい。
注意点:
(1) 物理量の持つ意味と単位を明確に理解する。例えば、電子、電流、磁界、加速度、力、運動の法則、運動方程式、モーメントと重心、熱量、比熱、理想気体といった用語を自分の言葉で説明出来るくらい明確に理解する。用語の捕らえ方の違いから来る誤解を招かない様に注意する。
(2) 用語の意味を踏まえた上で、法則の意味(イメージ)がつかめているかどうか、公式の導出過程が解ったかどうかを確認する。ノートに枠で囲ってある式は必ず覚える。
(3) 特に試験前には、演習プリントを自力で解き直す(最初から、ノートや解答を見て答えだけを探そうとしない)。自分で考えながら解く事で、法則の適用の仕方を身に付ける。
(4) 授業態度を含め、あたりまえの事をきちんとやる。苦手だからこそ、ノート、演習プリントは完全に提出できる様、毎時間、常に整えておきましょう。
試験問題の大半を占める演習プリントの問題を解ける様にしておく。解けない場合は、必ず質問して下さい。質問をする時は、ノートやプリントを持って来て下さい。
(5) 何が足りなかったから解けなかったのか、何が理解出来ていれば解けていたのかを認識出来る様に、ある程度の長時間を掛けて頑張って下さい。
(6) 専門科目の「工業力学」、「材料力学」、「電気回路」、「電子電気工学」、「電磁気学」、「応用物理」等に発展して行く為の基礎を取り扱う。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1. 波の反射と屈折・音 1-(1) 波の反射と屈折、ホイヘンスの原理についての問題 が解ける。
1-(2) 音波について説明でき、音波の性質に関する問題が 解ける。
2週 1. 波の反射と屈折・音 1-(3) 音源の振動、ドップラー効果についての計算ができ る。
3週 1. 波の反射と屈折・音 1-(4) 弦の長さと、弦を伝わる波の速さから、弦の固有振 動数を求めることができる。
4週 1. 波の反射と屈折・音 1-(5) 気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を 求めることができる(開口端補正は考えない)。
5週 1. 波の反射と屈折・音 1-(6) 共振、共鳴現象について具体例を挙げることができ る。
6週 2. 光 2-(1) 光の進み方、光の性質についての問題が解ける。
7週 2. 光 2-(2) レンズ、光の回折と干渉についての計算ができる。
8週 前期中間試験
答案返却・解説
2ndQ
9週 3. 剛体のつりあい 3-(1) 物体に働く力の合成についての計算ができる。
3-(2) 物体の重心の計算ができる。
10週 3. 剛体のつりあい 3-(3) 物体の釣り合いの条件の問題を解くことができる。
11週 4. 運動量の保存・反発係数 4-(1) 運動量、運動量の変化と力積の問題を解くことができる。
12週 4. 運動量の保存・反発係数 4-(2) 運動量の保存についての問題を解くことができる。
4-(3) 反発係数、弾性衝突、非弾性衝突、完全非弾性衝突の計算ができる。
13週 4. 運動量の保存・反発係数 4-(4) 滑らかな面への斜め衝突の問題を解くことができる。
4-(5) 衝突とエネルギーの保存、運動量と力学的エネルギーの計算ができる。
14週 5. 微分積分を用いた力学 5-(1) 速度、加速度、変位の問題を微分積分を用いて解くことが出来る。
5-(2) 仕事、力積、位置エネルギーと力の問題を微分積分を用いて解くことが出来る。
15週 5. 微分積分を用いた力学 5-(3) 簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。
16週 前期期末試験
答案返却・解説
後期
3rdQ
1週 6. 円運動・慣性力と遠心力 6-(1) 等速円運動、角速度、ラジアン、周期、回転数についての問題を解くことができる。
2週 6. 円運動・慣性力と遠心力 6-(2) 等速円運動の速度、加速度の計算ができる。
3週 6. 円運動・慣性力と遠心力 6-(3) 等速円運動をする物体に働く力、円錐振り子の問題を解くことができる。
6-(4) 遠心力の問題を解くことができる。
4週 7. 単振動・万有引力 7-(1) 単振動、単振動の変位、速度、加速度、初期位相の問題を解くことができる。
5週 7. 単振動・万有引力 7-(2) 復元力、水平ばね振り子、鉛直ばね振り子、単振り子の問題を解くことができる。
6週 7. 単振動・万有引力 7-(3) 万有引力、万有引力定数、重力の計算ができる。
7週 7. 単振動・万有引力 7-(4) 万有引力による位置エネルギー、静止衛星の問題が解ける。
8週 後期中間試験
答案返却・解説
4thQ
9週 9. 電界と電位 9-(1) 静電気について説明できる。
9-(2) 導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。
9-(3) 電場・電位について説明できる。
10週 9. 電界と電位 9-(4) クーロンの法則が説明できる。
9-(5) クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。
11週 10. 電流 10-(1) オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。
10-(2) 抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。
12週 10. 電流 10-(3) ジュール熱や電力を求めることができる。
13週 11.電流と磁界 11-(1) 磁気力と磁界について説明できる。
11-(2) 電流が作る磁界について説明でき、計算できる。
14週 11.電流と磁界
12. 電磁誘導と電磁波
11-(3) 電流が磁界から受ける力について説明できる。
12-(1) 電磁誘導の現象と法則について、説明できる。
15週 12. 電磁誘導と電磁波 12-(2) 直流や交流について説明できる。
12-(3) 電磁波とその利用について説明できる。
16週 学年末試験
答案返却・解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前14
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前14
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前14,前15
運動方程式を用いた計算ができる。3前15
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前15
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3前11
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3前11,前12
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前12,前13
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3後4
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3後4,後5
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3後1,後2,後3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3後6
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3後7
力のモーメントを求めることができる。3前9
角運動量を求めることができる。3後3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3後3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前9,前10
重心に関する計算ができる。3前9,前10
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3後3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3後3
波動ホイヘンスの原理について説明できる。3前1
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3前1
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3前3,前4
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3前4
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3前5
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3前2
自然光と偏光の違いについて説明できる。3前6
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3前6,前7
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3前7
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3後9
電場・電位について説明できる。3後9
クーロンの法則が説明できる。3後10
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3後10
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3後11
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3後11
ジュール熱や電力を求めることができる。3後12
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前4,前7,後13,後14
安全を確保して、実験を行うことができる。3前4,前7,後13,後14
実験報告書を決められた形式で作成できる。3後15
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3後15
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前4
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前7
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後13,後14,後15
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後9

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合701002000100
基礎的能力4050200065
専門的能力305000035
分野横断的能力0000000