到達目標
(1)トライボロジーに関する専門用語を説明できること。(2)接触の機構,摩擦・摩耗の機構について説明できること。(3)摩擦摩耗低減のための方法について説明できること。
(4)機械の摩耗診断(健康診断)の重要性を理解し説明できること。(5)いろいろな診断法の原理・特徴を説明できること。(6)機械要素の損傷の種類・特徴・対策を説明できること。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | トライボロジーに関する専門用語を説明できる。 | トライボロジーに関する専門用語を簡単に説明できる。 | トライボロジーに関する専門用語を説明できない。 |
評価項目2 | 接触の機構,摩擦・摩耗の機構について説明できる。 | 接触の機構,摩擦・摩耗の機構について簡単に説明できる。 | 接触の機構,摩擦・摩耗の機構について説明できない。 |
評価項目3 | 摩擦摩耗低減のための方法について説明できる。 | 摩擦摩耗低減のための方法について簡単に説明できる。 | 摩擦摩耗低減のための方法について説明できない。 |
評価項目4 | トライボロジーと潤滑管理の重要性を十分に理解し説明できる。 | トライボロジーと潤滑管理の重要性を簡単に説明できる。 | トライボロジーと潤滑管理の重要性を理解し説明できない。 |
評価項目5 | 潤滑システムの摩耗診断法を列挙し原理,特徴,問題点を説明できる。 | 潤滑システムの摩耗診断法を列挙し簡単に説明できる。 | 潤滑システムの摩耗診断法を列挙し簡単に説明できない。 |
評価項目6 | すべり軸受,転がり軸受の特徴,潤滑方法,損傷形態,対策を説明できる。 | すべり軸受,転がり軸受の特徴,潤滑方法,損傷形態を簡単に説明できる。 | すべり軸受,転がり軸受の特徴,潤滑方法,損傷形態を説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
ディプロマポリシー DP2 〇
説明
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ディプロマポリシー DP3 ◎
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教育方法等
概要:
機械工学とは,有用な機械システムを設計し製作することである。製作されたシステムは長期間に渡って高い性能を維持するように保守・管理されなければならない。機械の寿命の75%は摩耗が原因である。小さな機械要素一個の破損が巨大な機械システムの故障停止を引き起こす。機械システムの精度向上,信頼性向上,長寿命化,安全性向上のためにはトライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑及びそれに関する学問)に基礎を置いた設計が必要不可欠である。また,機械システムの故障防止のためには,トライボロジーに基づいた機械の健康診断が必要不可欠である。本講義では,専攻科の学習教育目標である『機械工学の知識を実用課題に応用できる能力の育成』を目指している。具体的な授業目標は,摩擦・摩耗のメカニズム,潤滑方法を正しく理解し,低摩擦低摩耗のための正しい考え方を育成すること,機械システムの健康診断の重要性と各種診断法の原理・特徴等を理解することである。
授業の進め方・方法:
本講義では,トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑)の基礎及び機械システムの潤滑方法,機械要素の損傷形態,潤滑系システムの健康診断法について概説する。週2時間,講義形式で16回実施する。到達度試験(2回)を実施し,理解度を確認する。また,自ら考え,調べ,学ぶために,毎回,演習問題 (レポート課題)を課す。
1単位45時間=15時間授業+30時間の自学自習です。本講義は2単位科目ですから60時間の自学自習が必要です。自学自習のために,レポート課題を課すので必ず提出すること。自学自習の成果は提出されたレポートによって評価する。定期試験70%,提出レポート30%で評価し,60点以上を合格とする。答案は採点後返却し理解度を伝達する。
注意点:
私達が生活している身の回りや産業界では,摩擦摩耗を減らしたり,増やしたりする工夫がいっぱいです。その事例を捜してみよう。トライボロジーの重要性が理解でき,また講義に興味を持つことができるでしょう。トライボロジーは境界領域の科目で,材料学・材料力学・流体力学・化学・機械加工学・機械設計等の知識が必要です。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
第1章 トライボロジーの基礎 1-1.序論・固体表面 :表面とは・加工表面の特徴と表面粗さ など |
トライボロジーの重要性を説明できる。摩擦摩耗低減の方法を列挙し,簡単に説明できる。固体内部と表面の違い,加工表面層の特徴を説明できる。表面粗さの表示・アボットの負荷曲線について説明できる。
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2週 |
1-2.接触の機構:見かけの接触面接・真実接触面積・弾性接触・塑性接触 など |
見かけの接触面積・真実接触面積を理解し説明できる。弾性接触・塑性接触において真実接触面積を計算できる。
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3週 |
1-3.摩擦の機構:凹凸説,凝着説,掘り起し,摩擦係数の表示 など |
摩擦の機構(凹凸説,凝着説,掘り起し)を説明できる。また,摩擦係数の表示式を導出できる。
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4週 |
1-4.潤滑の機構:境界潤滑・混合潤滑・添加剤の働き など |
潤滑形態の違いを説明できる。境界潤滑のメカニズム,添加剤の働きについて説明できる。
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5週 |
1-5.表面の損傷:摩耗のタイプ・摩耗試験・摩耗評価・摩耗率・比摩耗量 など |
摩耗のタイプ・摩耗試験について簡単に説明できる。摩耗評価のために摩耗率・比摩耗量・摩耗係数を計算できる。
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6週 |
1-6.潤滑剤:種類と働き・製造方法・ニュートンの粘性式・粘度・粘度の測定・粘度指数・潤滑油の化学的性質 など |
潤滑剤(油)の構造,働き,製造方法を簡単に説明できる。ニュートンの粘性の式を理解し、粘度、動粘度に関する計算ができる。潤滑油の性質(試験法)について簡単に説明できる。
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7週 |
1-7.補足説明・まとめ・演習問題:これまでの講義内容の補足説明 等 |
1-1~1-6に関する演習問題に解答できる。
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8週 |
1-8.到達度試験(1回目) |
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2ndQ |
9週 |
答案返却と解説。第2章:トライボロジーに基づく潤滑管理技術 2-1.摩耗診断技術:(1)重要性・(2)フェログラフィー法 |
トライボロジーに基づくメンテナンスの重要性を理解し説明できる。診断技術の種類,原理を説明できる。フェログラフィー法について説明できる。
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10週 |
2-1.摩耗診断技術:(3)発光オイル分析法・(4)フィルター法,(5)接触抵抗法他 |
発光オイル分析法,フィルター法,接触抵抗法の原理・特徴を説明できる。
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11週 |
2-2.油中金属摩耗粒子の基本的性質(平衡濃度、平衡濃度に達すサイクル数),2-3.摩耗に及ぼすコンタミナントの影響 |
油中金属摩耗粒子の平衡濃度及び平衡濃度に達するサイクル数を計算できる。摩耗に及ぼすコンタミナントの影響を説明できる。
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12週 |
2-4.浄油技術:フィルターの種類・ろ過精度・特徴, 2-5.すべり軸受の種類と特徴 |
フィルターの種類,ろ過精度,各種フィルターの特徴を説明できる。すべり軸受の種類,特徴(転がり軸受との比較)を説明できる。
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13週 |
2-6.すべり軸受の潤滑と損傷:流体潤滑軸受:すべり軸受の特性を決める3要素・すべり軸受の損傷形態と対策 |
すべり軸受の特性を決める3要素,すべり軸受の損傷形態,対策を説明できる。油膜形成機構(wedge action, squeeze action)を説明できること。Sommerfeld数について説明できる。
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14週 |
2-7.転がり軸受の潤滑と損傷:寿命・グリース潤滑・損傷形態と対策 |
転がり軸受の種類,構造,材質,弾性流体潤滑,油膜厚さ比,dn値について説明できる。定格寿命,基本動定格荷重,基本静定格荷重,補正定格寿命について説明できる。グリースの製造方法,潤滑メカニズム,ちょう度について説明できる。転がり軸受の損傷形態と対策について説明できる。
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15週 |
2-8.到達度試験(2回目)
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16週 |
2-9.答案返却と解説 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 機械設計 | 滑り軸受の構造と種類を説明できる。 | 5 | 前12,前13 |
転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。 | 5 | 前14 |
熱流体 | ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。 | 5 | 前6,前7 |
評価割合
| 試験 | 提出課題 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 70 | 30 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 |