【目的】私たちの身の回りには、海岸に打ち寄せる波、音のまわり込み、蜃気楼に見られる光の屈折など波動現象が多くみられる。この波動現象の理解は、工学や物理を学ぶための基礎となる。波の直感的イメージを、実験や演示実験を通して把握できること、作図やグラフに基づいて説明できること、身の回りの諸現象に物理法則を適用し計算できることを目的とする。
【目標】
1.波動の諸現象の定義がいえること、物理的状況を図にかけること
2.物理法則の説明・計算ができること
3.複雑な系に対しても、既習の要素に正しく切り分け、問題解決につなげることができること
※物理の実験レポートは、主語と述語を必ず対応させて表現できるようになることを目標とする。(伝わらないレポートは減点。不備レポートは0点または大幅減点。)
※ノート課題では、範囲表の裏面全面糊付けして貼り付けることは必須とする。(満たしていない場合は大幅減点。)
※テスト直しでは、問題を貼り付けることは必須である。正答した問題も含めて大問3題以上すべてやり直すこと。(条件を満たしていない場合は大幅減点。)
概要:
学生は、演示実験や実験を行いながら、波動現象の直感的イメージを意識的につかむように努力する。学生は、考える時に図やグラフをなるべく書くように意識し、(暗記ではなく)数式表現とのつながりを大切にすること。(何をやっているかが分かれば、数式表現は自然とできるようになります。)これにより、論理性が養われる。学生は、日常から波動現象に着目し、その理由について考えることが望ましい。授業は対話的に行われるので、なるべく前を向いて授業中に考える癖をつけてほしい。質問をすることで波動現象の理解が深まるので、授業を止めて質問することを心がけてほしい。
授業の進め方・方法:
波動の基礎として、直線状を伝わる波、平面上を伝わる波を取り扱う。平面上を伝わる波の応用として、水の波の実験を行う。
(波の導入に力学「変位、速度、加速度、力のつり合い、運動方程式、円運動、単振動、エネルギー」の理解が必要なので、適宜復習する)
音波や光波を扱い、日常の波動現象を波動の基礎で学んだ原理・法則を適用し、理解を深め、応用力を養う。
注意点:
授業の欠課数が1/3以上でD評価となる。提出物は、締め切りまでに必ず出すこと。
コロナ感染症の社会情勢によっては、学校の状況が変わることがある。これに対応して成績評価方法を変えざるを得なくなった場合は、成績評価方法・授業内容・授業方法を変更することがある。ただし、基本的には変更しない方針である。成績表の評価方法は、このシラバスの通りとする。再テストは、必ずしも行うとは限らないが、再テストを行う場合の基準は、再テストのみで60点以上が合格条件である。追加課題等の補填は行わない。再テストをやる場合は、1回のみであり、それ以外の再評価は行わない。初見の問題にも対応できるよう、普段から授業をよく聞き、暗記型学習から脱却することがとても大事なる。本試験も再テストも、テストで示される基準以上の物理的思考力を持っているかを確認することが趣旨なので、そこを理解しておいてほしい。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス、[直線状を伝わる波への導入:波源の理解のために]等速円運動、位相、単振動と正弦波(波源の振動とy-tグラフ) |
直線上を伝わる波の問題設定を説明できる。等速円運動変位・速度・加速度を説明できる。
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2週 |
[直線状を伝わる波への導入:波源の理解のために]単振動と正弦波の式、位相、初期位相、横波と縦波 |
単振動の特徴を理解するとともに、波源の振動、それが遅れて伝わることによって離れた点で変位が生じる仕組みを説明できる。
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3週 |
直線上を伝わる(応物実験室で授業)波形、山、谷、周期、波の基本式、 |
直線状を伝わる波の特徴を定量的に説明できる。波の速さが、距離(波長)÷時間(周期)になることが説明できる。
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4週 |
波の重ね合わせ(応物実験室で授業)、反射による位相の変化、光の反射と屈折の実験的基礎(デモ実験あり) |
横波と縦波の違いを説明できる、波の重ね合わせを作図できる、定常波の生じるときの特徴をあげることができる。反射と屈折の進行方向の変化を説明できる。
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5週 |
実験:反射と屈折 |
反射と屈折から、光線の進行方向の変化についての特徴を説明することができる。(実験の回が早まることがある。社会情勢によっては中止せざるを得ない場合がある。)
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6週 |
定常波・腹・節、(2次元の波)波面とホイヘンスの原理、波の反射と屈折へのホイヘンスの原理の応用、波の干渉 |
定常波を説明できる。2次元的に進行するの波の進行方向と波面を作図できる、ホイヘンスの原理を用いて反射、屈折を説明できる。干渉が生じる仕組みを説明できる。
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7週 |
前期中間試験 |
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8週 |
前期中間試験解説/全反射、音波の発生、音の反射・屈折・干渉・回折 |
全反射が屈折の応用として説明できる。音とは何かが説明できる。うなり、弦の固有振動が説明できる。
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2ndQ |
9週 |
復習、うなり、弦の固有振動・共鳴・共振、復習 |
発音隊の固有振動(定常波)の図を描いて、波長と管の長さの関係を求めることができる。
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10週 |
実験:水波の実験 1 |
水波の波面を写し取り、その特徴を捉えることができる。(実験の回が早まることがある。社会情勢によっては中止せざるを得ない場合がある。)
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11週 |
実験:水波の実験 2 |
水波の進行方向や法線からのなす角に注意しながら、屈折・反射の法則を適用できる。(実験の回が早まることがある。社会情勢によっては中止せざるを得ない場合がある。)
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12週 |
光路長、分散・散乱・偏光、発音体の固有振動(閉管、開管)、復習 |
光路長の説明ができる、音が生じる原因を説明できる
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13週 |
ヤングの実験解説[前半]ヤングの実験における経路差の導出、[後半]光の回折・干渉の実験 |
図を描いて、立式ができる。回折や干渉の実験的特徴を説明できる。(実験の回が早まることがある。社会情勢によっては中止せざるを得ない場合がある。)
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14週 |
発音体の固有振動(閉管、開管)[ドップラー効果は後期物理Ⅵで行う] |
開管・閉管の定常波が作図できる。時間がない場合は未習事項の継続。時間が余れば16週(オプション)の内容を取り上げる。
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15週 |
前期末試験
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前期末試験の解説で誤ったポイントが分かる
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16週 |
[オプション]回折格子、薄膜の干渉、ニュートンリング、薄膜による光の干渉薄肉レンズ(レンズメーカーの式)の導出。 |
(オプション)時間が余れば、薄肉レンズの式を説明できる。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 運動の法則について説明できる。 | 3 | 前1,前2 |
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。 | 3 | 前1,前2 |
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。 | 3 | 前1,前2 |
波動 | 波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。 | 3 | 前1,前15 |
横波と縦波の違いについて説明できる。 | 3 | 前2 |
波の重ね合わせの原理について説明できる。 | 3 | 前3 |
波の独立性について説明できる。 | 3 | 前3 |
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。 | 3 | 前5,前8 |
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。 | 3 | 前5 |
ホイヘンスの原理について説明できる。 | 3 | 前5,前6 |
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。 | 3 | 前5 |
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。 | 3 | 前8 |
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。 | 3 | 前11,前13 |
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。 | 3 | 前8 |
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。 | 3 | 前13 |
自然光と偏光の違いについて説明できる。 | 3 | 前11 |
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。 | 3 | 前4,前5 |
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。 | 3 | 前11 |
物理実験 | 物理実験 | 測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。 | 3 | 前4,前8 |
安全を確保して、実験を行うことができる。 | 3 | 前4,前8 |
実験報告書を決められた形式で作成できる。 | 3 | 前4,前8 |
有効数字を考慮して、データを集計することができる。 | 3 | 前4,前8 |
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | 前4,前8,前9,前10 |
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | 前12 |
工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |