機械工作法Ⅱ

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 機械工作法Ⅱ
科目番号 1108 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 配布プリント/機械工学便覧
担当教員 東 雄一

到達目標

本科目では工作実習で体験的に学習している機械加工(切削加工と研削加工)の内容を体系的に学習する.
講義内容は機械工作法の除去加工に分類される機械加工(切削加工と研削加工)を扱う.切削加工の単元では,工作機械の運動と役割,切削条件によって生じる現象,が説明できるようになること.二次元切削理論を理解し,切削している最中のせん断角やせん断ひずみ,切削抵抗等を概算できるようになること.また,それらの公式を導出でき,説明できるようになると尚良い.テイラーの寿命方程式より,工具寿命を概算できるようになること.実作業での問題解決に理論を適用して解決できることを目的とする.
研削加工の単元では,砥石の三要素,砥石の自生作用,目こぼれ,目つぶれ,目づまりについて理解し,説明できるようになること.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
工作機械の運動工作機械の運動の種類,役割,切削運動,切削条件の繋がりを理解し,説明できる. さらに,各種工作機械と運動の種類について説明できる.工作機械の運動の種類を理解し,説明できる.工作機械の運動の種類が理解できず,説明もできない.
切りくずの形態切削条件や被削材の種類と生成される切りくずの形態の関係について理解し,説明できる.切りくずの形態の名称を理解し,説明できる.切りくずの形態の名称が理解できず,説明もできない.
二次元切削理論と切削抵抗二次元切削理論を理解し,切削抵抗の公式を導き出すことができる.切削抵抗にかかわる公式を理解し,切削抵抗の概算ができる.切削抵抗にかかわる公式が理解できず,切削抵抗の概算ができない.
構成刃先構成刃先の発生,成長,脱落の過程,構成刃先による悪影響を理解し,説明できる.構成刃先とは何かを説明できる.構成刃先とは何かが説明できない.
テイラーの寿命方程式切削実験の一例から,両対数グラフを用いてテイラーの寿命方程式の定数を導き出し,工具寿命を推定できる.テイラーの寿命方程式を理解し,工具寿命を推定できる.テイラーの寿命方程式が理解できず,工具寿命を推定できない.
砥粒加工砥石の三要素,砥石の自生作用,目こぼれ,目つぶれ,目づまりの関係性を理解し,目こぼれ,目つぶれ,目づまりの原因や現象を説明できる.砥石の三要素,砥石の自生作用,目こぼれ,目つぶれ,目づまりについて理解し,説明できる.砥石の三要素,砥石の自生作用,目こぼれ,目つぶれ,目づまりについて理解できず,説明もできない.

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3-c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
工作実習Ⅰ,Ⅱで実践してきた旋盤などの切削加工について,その学術的な内容や理論を講義する.講義内容は機械工作法の除去加工に分類される機械加工(切削加工と研削加工)を扱う.いろいろな加工法の特徴を理解し,目的とする製品をつくるために適切な加工法を選択できる力を身に付ける.
工作実習の1年生から体験的に学び,身に付けた加工技術の実践的知識を本科目により学術的な知識として修得し,工作法で学んだ知識を以後の設計・製図などに効果的に用いる.
機械工作法Ⅱは,幾何学的粗さや切削抵抗,二次元切削理論を扱う4年生の工学実験と強く関連する.
授業の進め方・方法:
配布プリント,パワーポイントを用いた講義を行う.
関連科目:材料学Ⅰ,機械工作法Ⅰ,Ⅲ,工作実習Ⅰ~Ⅲ,工学実験
注意点:
① 日頃の勉強,課題・レポートを怠ることのないようにすること.
② 適宜,小テストを実施し,授業への参加度合いや理解度を確認するため,授業に真摯に取り組むこと.
② 中間試験,期末試験以外において,実力を確認するための試験を行う場合がある.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
切削加工の概略
切削作業と工作機械(切削工具材種)
切削作業と工作機械(工作機械)
切削作業と工作機械(工作機械の運動)
シラバスの説明
切削加工の概要を理解し,説明できる.
切削工具に求められる条件,切削工具材料について理解し,説明できる.
工作機械の概略(マザーマシン,工作物の精度と工作機械の精度)を理解し,説明できる.
工作機械の3種の運動について理解し,説明できる.
2週 切削作業と工作機械(工作機械の種類) 旋盤,フライス盤,ボール盤,形削り盤,平削り盤等の工作機械の種類と構造,3種の運動を理解し,説明できる.
旋盤の構造,バイトの種類,バイト刃部の名称について理解し,説明できる.
ボール盤の種類と構造,ドリルのチゼルとシンニングについて理解し,説明できる.
フライス盤の種類と構造,ダウンカットとアップカットについて理解し,説明できる.
3週 切削機構(切りくずの形態)
切削機構(切削抵抗)
切りくずの形態について理解し,説明できる.
切削抵抗の概略,分力を理解し,説明できる.
切削比について理解し,説明できる.
4週 切削機構(二次元切削理論(せん断角の導出)) せん断角を導出し,説明できる.
5週 切削機構(二次元切削理論(せん断ひずみの導出)) せん断ひずみを導出し,説明できる.
6週 切削機構(二次元切削理論(せん断ひずみの導出)) せん断ひずみを導出し,説明できる.
7週 切削機構(二次元切削理論(せん断面とすくい面に作用する応力の導出,切削抵抗の導出)) せん断面とすくい面に作用する応力を導出し,説明できる.
切削抵抗を導出し,説明できる.
8週 演習(切削動力,切削抵抗と動力の演習) 切削条件から切削抵抗を計算することができる.
切削動力を計算することができる.
2ndQ
9週 中間試験
10週 切削機構(切削熱と工具温度)
切削機構(構成刃先)
切削機構(工具損傷と工具寿命)
切削による熱の発生、工具への影響について理解し,説明できる.
構成刃先とは何か,構成刃先のサイクル,構成刃先による影響について理解し,説明できる.
工具の損傷と摩耗について理解し,説明できる.
11週 切削機構(工具損傷と工具寿命) テーラーの寿命方程式を用いて,工具寿命を計算できる.
12週 切削機構(表面粗さ)
切削油剤
砥粒加工の概要
固定砥粒による研削加工(研削作業と工作機械)
表面粗さの種類について説明できる.
理論粗さを導出し,説明できる.
切削油剤の種類とその効果を理解し,説明できる.
砥粒加工の機構について理解し,説明できる.
研削盤の種類と構造を理解し,説明できる.
13週 固定砥粒による研削加工(研削砥石)
固定砥粒による研削加工(研削機構)
砥石の三要素、構成、選定、を理解し,説明できる.
ドレッシング作業の方法を理解し,説明できる.
砥石の自生作用について理解し,説明できる.
研削抵抗について理解し,説明できる.
研削比について理解し,説明できる.
14週 固定砥粒による研削加工(その他の固定砥粒による加工)
遊離砥粒による研磨加工
ホーニング、超仕上げ、研削加工について理解し,説明できる.
ラッピングの原理と仕上げ面の関係を理解し,説明できる.
バフ研磨、噴射加工の特徴を理解し,説明できる
15週 試験答案の返却・解説 各試験において,間違えた部分を理解できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野工作切削加工の原理、切削工具、工作機械の運動を説明できる。4前1,前2
バイトの種類と各部の名称、旋盤の種類と構造を説明できる。4前2
フライスの種類と各部の名称、フライス盤の種類と構造を説明できる。4前2
ドリルの種類と各部の名称、ボール盤の種類と構造を説明できる。4前2
切削工具材料の条件と種類を説明できる。4前1,前2
切削速度、送り量、切込みなどの切削条件を選定できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8
切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。4前3,前9,前10
研削加工の原理、円筒研削と平面研削の研削方式を説明できる。4前12
砥石の三要素、構成、選定、修正のしかたを説明できる。4前13
ホーニング、超仕上げ、ラッピングなどの研削加工を説明できる。4前14

評価割合

中間試験期末試験課題・レポート小テスト合計
総合評価割合40401010100
基礎的能力00000
専門的能力40401010100
分野横断的能力00000