概要:
信号処理の入門として、信号の種類やその処理の例から始めて、離散信号を扱うための基本となるフーリエ級数展開、フーリエ変換までを前半で講述する。その際、ベクトル空間の基礎的な考え方が必要となるので、数学的な準備も行う。後半は、フーリエ級数展開とフーリエ変換の応用から始めて、離散信号のフーリエ変換(DFT)、高速フーリエ変換(FFT)まで講述する。
授業の進め方・方法:
授業は座学を中心に行うが、計算問題の演習、パソコンを用いた演習も行う。授業内容にはベクトル、積分などの数学の基礎知識が必要であるため、これらを十分に復習して受講することが望ましい。自学学習は講義の復習および演習レポート作成の時間に充てるものとする。
科目の位置付けは、これまで学んできた数学などの科目を基礎として応用に活かす科目であり、5年生での専門科目や卒業研究につながるものと考えられる。
評価は、定期試験等筆記試験と演習レポートを総合して行い、6割以上の得点で合格とする。演習レポートの提出期限は課題提示と同時に示し、期限に遅れて提出されたレポートの評価点は0点とする。自学学習用に出された課題演習のレポートはレポート点として評価する。
注意点:
デジタルオーディオなど、実際の社会で利用されている技術を学ぶ科目である。内容には式や計算が多く出てきますが、興味を持って取り組んでほしい。教科書や参考書をよく読み、説明をよく聞くこと、演習課題を自分で解き、理解することが大事である。パソコン演習では、実際の波形を表示させたりすることにより、理解と興味を深める。
規定授業時数は60時間である。本科目はレポート課題作成等のため放課後・家庭で60時間の自学自習が求められる。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
信号処理の意味や概念、信号の種類について理解し、この科目の全体の流れについて大まかにつかむ。
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2週 |
信号処理の例1(波形の平滑化) |
移動平均による波形の平滑化の考え方が理解でき、実際に処理ができる。
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3週 |
信号処理の例2(雑音圧縮) |
同期加算による雑音圧縮の考え方が理解できる。
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4週 |
数学的準備1(信号のベクトルによる表現) |
信号のベクトルによる表現について理解し、2次元ベクトルの距離や内積、相関係数の計算ができる。
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5週 |
数学的準備2(正規直交基底) |
正規直交基底や射影について理解し、練習問題を解くことができる。
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6週 |
数学的準備3(ベクトル空間から関数空間へ) |
ベクトル空間から関数空間への拡張について理解し、関数空間での距離や内積、相関係数、正規直交関数系についての練習問題を解くことができる。
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7週 |
相関関数1(関数の類似性) |
相関関数を用いて波形の類似性を調べる方法について理解し、実際に計算を行うことができる。
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8週 |
相関関数2(相互相関関数と自己相関関数) |
相互相関関数と自己相関関数を用いた波形の類似性の調べ方を理解し、説明することができる。
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2ndQ |
9週 |
実フーリエ級数展開1(周期2πの関数のフーリエ級数展開) |
周期2πの関数のフーリエ級数展開の意味と計算方法を理解し、実際に計算することができる。
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10週 |
実フーリエ級数展開2(フーリエ余弦級数と正弦級数) |
フーリエ余弦級数と正弦級数について理解し、実際に計算することができる。
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11週 |
実フーリエ級数展開3(フーリエ級数の収束定理) |
フーリエ級数の収束定理について理解し、説明することができる。
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12週 |
実フーリエ級数展開4(任意の周期関数のフーリエ級数展開) |
任意の周期関数のフーリエ級数展開についての練習問題を解くことができる。
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13週 |
複素フーリエ級数展開1(複素フーリエ級数展開の考え方、実フーリエ級数展開との関係) |
複素フーリエ級数展開の考え方、実フーリエ級数展開との関係を理解し、説明することができる。
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14週 |
複素フーリエ級数展開2(複素フーリエ級数展開の計算) |
複素フーリエ級数展開の計算法を理解し、実際に練習問題を解くことができる。
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15週 |
フーリエ級数展開の性質 |
フーリエ級数展開の性質について理解し、実際の計算に応用することができる。
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16週 |
フーリエ変換1(複素フーリエ級数展開からフーリエ変換へ) |
複素フーリエ級数展開からフーリエ変換が導出される原理について理解できる。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
定期試験 |
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2週 |
フーリエ変換2(フーリエ変換の定義とフーリエ積分定理) |
フーリエ変換の定義とフーリエ積分定理について理解でき、定義に基づいて練習問題の計算ができる。
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3週 |
フーリエ変換3(フーリエ余弦変換とフーリエ正弦変換) |
フーリエ余弦変換とフーリエ正弦変換について理解し、実際に練習問題の計算ができる。
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4週 |
フーリエ変換の性質1(線形性、相似性) |
フーリエ変換の性質(線形性、相似性)について理解し、実際に練習問題が解ける。
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5週 |
フーリエ変換の性質2(平行移動) |
フーリエ変換の性質(平行移動)について理解し、実際に練習問題が解ける。
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6週 |
フーリエ変換の性質3(対称性、微分、積分) |
フーリエ変換の性質(対称性、微分、積分)について理解し、実際に練習問題が解ける。
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7週 |
畳み込み積分1(連続信号の畳み込み) |
連続信号の畳み込みについて理解し、練習問題を解くことができる。
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8週 |
畳み込み積分2(離散信号の畳み込み) |
離散信号の畳み込みについて理解し、練習問題を解くことができる。
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4thQ |
9週 |
フーリエ級数展開とフーリエ変換の応用 |
フーリエ級数展開とフーリエ変換の電気回路への応用について理解でき、練習問題を解くことができる。
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10週 |
サンプリングされた信号の復元1(復元の原理) |
サンプリングされた信号の復元の原理について理解し、説明することができる。
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11週 |
サンプリングされた信号の復元2(標本化定理、折り返し歪み) |
標本化定理と折り返し歪みについて理解し、説明できるとともに、練習問題を解くことができる。
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12週 |
離散フーリエ変換1(定義式の導出) |
離散フーリエ変換の定義の導出について理解でき、説明できる。
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13週 |
離散フーリエ変換2(行列表示、対称性) |
回転因子を用いた行列による計算法と対称性の性質を理解し、練習問題を解くことができる。
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14週 |
高速フーリエ変換1(アルゴリズム、バタフライ演算、ビットリバース) |
高速フーリエ変換のアルゴリズムについて理解し、説明することができる。
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15週 |
高速フーリエ変換2(エクセルによる計算) |
エクセルを用いて、実際に高速フーリエ変換の計算を行うことができる。
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16週 |
定期試験 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。 | 3 | |
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。 | 3 | |
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。 | 3 | |
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。 | 3 | |
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。 | 3 | |
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。 | 3 | |
定積分の基本的な計算ができる。 | 3 | |
置換積分および部分積分を用いて、定積分を求めることができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 3 | |