Webサーバと情報通信ネットワークを利用したアプリケーションのチーム開発演習を通して、ソフトウェアを中心とするシステム開発の現場で起こり得る問題点を予測して対策がとれるようになる。また、チームメンバと互いに協力しながら与えられた条件下で計画的に調査と開発を分担できるようになる。
概要:
大規模システムのソフトウェアは個人が作るソフトウェアとは本質的に異なる開発方法論が必要になる。すなわち多数のプログラマが協調して期限内にソフトウェアを開発するための方法論である。本科目を受講する学生には、(1) システム開発の現場で起こる問題点を予測して回避できるようになることと (2) チームメンバと協力しながら与えられた条件下で計画的に調査と開発を進められるようになるることと (3) Webサーバと情報通信ネットワークを利用したアプリケーション開発の一部を分担できるようになることが求められる。なお、この科目は、企業でシステムエンジニア職にあった教員がその経験を活かして、標準的な開発工程にもとづいてチームでソフトウェアを開発することについて、問題解決型授業(PBL)形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
第1回授業で開発工程モデルと標準的な開発工程について講義を行う。第2回授業で開発課題を提示した後、クラスを10名前後のチームに分ける。第2回授業から第13回授業までをウォーターフォールモデルによる開発期間に充当し、第14回授業で各チームが開発した成果物を互いに発表する。総合評価にはグループの評価と個人の評価が含まれる。個人評価にはレポート評価と相互評価が含まれる。 授業妨害行為および正当な理由のない欠席はその程度に応じて授業態度分を減点する。
注意点:
受講する学生には早期に問題の発見と解決を行ってチームに貢献する自発的な態度が望まれる。毎回、担当分の開発作業の予習と復習に240分以上の自学自習が必要である。〔授業(90分)+自学自習(240分)〕×15回
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
開発工程モデルと標準的な開発工程の作業内容 |
代表的な開発モデルの特徴を示せる。標準的な開発工程の作業内容を示せる。
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2週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □要件定義
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3週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □外部設計工程
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4週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □ 外部設計工程
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5週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □ 内部設計工程
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6週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □ 内部設計工程
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7週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □ コーディング工程
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8週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □ 単体テスト工程
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2ndQ |
9週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □ 単体テスト工程
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10週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □ 単体テスト工程
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11週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □ 結合テスト工程
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12週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □ 結合テスト工程
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13週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □ システムテスト工程
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14週 |
チーム開発演習 |
課題にそって各開発工程の作業ができる。 □ 成果発表会
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15週 |
総括レビュー |
開発過程を振り返って今後の課題を把握する(非評価項目)。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系分野 | プログラミング | 要求仕様に従って、標準的な手法により実行効率を考慮したプログラムを設計できる。 | 4 | |
要求仕様に従って、いずれかの手法により動作するプログラムを設計することができる。 | 4 | |
要求仕様に従って、いずれかの手法により動作するプログラムを実装することができる。 | 4 | |
要求仕様に従って、標準的な手法により実行効率を考慮したプログラムを実装できる。 | 4 | |
ソフトウェア | ソフトウェアを中心としたシステム開発のプロセスを説明できる。 | 4 | |
コンピュータシステム | システム設計には、要求される機能をハードウェアとソフトウェアでどのように実現するかなどの要求の振り分けやシステム構成の決定が含まれることを説明できる。 | 4 | |
ユーザの要求に従ってシステム設計を行うプロセスを説明することができる。 | 4 | |
プロジェクト管理の必要性について説明できる。 | 4 | |
WBSやPERT図など、プロジェクト管理手法の少なくとも一つについて説明できる。 | 4 | |
ER図やDFD、待ち行列モデルなど、ビジネスフロー分析手法の少なくとも一つについて説明できる。 | 4 | |
情報通信ネットワーク | 主要なサーバの構築方法を説明できる。 | 4 | |
情報通信ネットワークを利用したアプリケーションの作成方法を説明できる。 | 4 | |
ネットワークを構成するコンポーネントの基本的な設定内容について説明できる。 | 2 | |
SSH等のリモートアクセスの接続形態と仕組みについて説明できる。 | 2 | |
その他の学習内容 | データモデル、データベース設計法に関する基本的な概念を説明できる。 | 4 | |
データベース言語を用いて基本的なデータ問合わせを記述できる。 | 4 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 情報系分野(実験・実習能力) | 情報系分野(実験・実習能力) | 標準的な開発ツールを用いてプログラミングするための開発環境構築ができる。 | 4 | |
要求仕様にあったソフトウェア(アプリケーション)を構築するために必要なツールや開発環境を構築することができる。 | 4 | |
要求仕様に従って標準的な手法によりプログラムを設計し、適切な実行結果を得ることができる。 | 4 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | コミュニケーションスキル | コミュニケーションスキル | 他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | |
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。 | 3 | |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 3 | |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。 | 3 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 3 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | |
基盤的資質・能力 | 自己理解 | 自己理解 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 3 | |
目標の実現に向けて計画ができる。 | 3 | |
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。 | 3 | |
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。 | 3 | |
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。 | 3 | |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 3 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 3 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 3 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 3 | |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 3 | |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 3 | |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 3 | |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 3 | |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 3 | |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | |
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。 | 2 | |
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。 | 3 | |
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。 | 3 | |
企業には社会的責任があることを認識している。 | 3 | |
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。 | 3 | |
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。 | 3 | |
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。 | 3 | |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。 | 3 | |
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。 | 3 | |
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。 | 3 | |
創造性・デザイン能力 | 創造性 | 創造性 | 工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。 | 3 | |
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。 | 3 | |
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。 | 3 | |
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。 | 3 | |
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。 | 3 | |