応用物理科学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 応用物理科学
科目番号 AN112 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子情報システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 自作プリント使用/小出昭一郎 著「量子力学(I)」 裳華房、中島貞雄 著「量子力学I」[量子力学II] 岩波書店、松岡正浩 著「量子光学」裳華房
担当教員 光永 正治

到達目標

1.光と物質の相互作用を量子力学と電磁気学の立場から定式化できる。
2.シュレーディンガー方程式の意味を理解でき種々のモデルの固有値と固有関数を説明できる。
3.2準位系原子と光の相互作用を理解し誘導放出に関して説明できる。
4.量子光学の立場からレーザーの原理と応用に関して理解し説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 光と物質の相互作用を量子力学と電磁気学の立場から定式化できる。半古典論と古典論の立場から、光と物質の相互作用を、シュレーディンガー方程式とマクスウェル方程式を用いて定式化でき、意味を説明できる。光と物質の相互作用を量子力学と電磁気学の立場から定式化でき、吸収係数や屈折率等の光学的物理量をミクロな立場から説明できる。光と物質の相互作用を量子力学と電磁気学の立場から説明できない。波動方程式や伝搬方程式の意味を理解できない。
評価項目2 シュレーディンガー方程式の意味を理解でき種々のモデルの固有値と固有関数を説明できる。シュレーディンガー方程式を時間に依存する場合と依存しない場合で書き下す事ができ、かつ、自由粒子、調和振動子、水素原子等のモデルの固有値と固有関数を説明できる。シュレーディンガー方程式の意味を理解でき、自由粒子、調和振動子、水素原子等のモデルの固有値と固有関数を説明できる。光と物質の相互作用を量子力学と電磁気学の立場から説明できない。波動方程式や伝搬方程式の意味を理解できない。
評価項目3 2準位系原子と光の相互作用を理解し誘導放出に関して説明できる。波動関数や密度行列、さらには2準位系原子と光の相互作用を理解し、誘導放出に関して説明できる。ブロッホ方程式やリウヴィル方程式の意味を理解でき、実際に方程式を解く事ができる。波動関数や密度行列、さらには2準位系原子と光の相互作用を理解し、吸収や自然放出、誘導放出といった現象を説明できる。シュレーディンガー方程式を定式化できず、かつ方程式の意味も理解できない。固有値や固有関数といった概念が理解できない。
評価項目4 量子光学の立場からレーザーの原理と応用に関して理解し説明できる。レーザー発振器において、ポンピングから発振にいたるまでの物理的過程を正確に把握し、また、種々の媒質におけるレーザーの発振機構を説明できる。レーザーの発振機構を大まかに理解し、説明することができる。また、種々の媒質におけるレーザーの発振原理を大まかに説明できる。2準位系原子と光の相互作用を理解する事ができず、吸収や自然放出、誘導放出といった現象を説明できない。波動関数や密度行列といった概念がわからない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
光と物質の相互作用を半古典論の立場から説き起こし、量子力学的な観点から物質のエネルギー準位等を学習した後、反転分布や誘導放出といった概念を理解し、レーザーの発振原理や、種々のレーザーの発振機構を身につけ、さらには、レーザーを用いた学術的な応用例に言及する。
授業の進め方・方法:
光と物質の相互作用を半古典論の立場から説き起こし、量子力学的な観点から物質のエネルギー準位等を学習した後、反転分布や誘導放出といった概念を理解し、レーザーの発振原理や、種々のレーザーの発振機構を身につけ、さらには、レーザーを用いた学術的な応用例に言及する。
注意点:
この講義は、基本的に量子光学の講義となるが、内容を十分理解するためには、電磁気学、初歩の量子力学、等の物理学の予備知識、及び、行列計算、微分方程式、等の数学的バックグラウンドを必要とする。ただし、初学者でも十分理解できるような授業をなるべく心がける。量子力学等になじみのない学生には、参考文献による予習か、日々の予習復習が大切となる。授業中に頻繁に数値計算を行うので、電卓を必ず準備し、かつ使用法に慣れておくことが肝要である。
本科目は1単位あたり30時間程度の自学学習が求められます。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス、変分学について光とは何か? 波長、周波数、速度等の波動の概念が理解でき、また、光子のエネルギーと運動量を記述できる。
2週 伝搬方程式と光波の記述 マックスウエル方程式から出発して、伝搬方程式が導ける。平面波と球面波の場合の光の電場を記述できる。
3週 量子力学の基礎 時間に依存する、及び、時間に依存しないシュレーディンガー方程式を書き下す事ができ、かつ、その意味が理解できる。
4週 箱の中の自由粒子 1次元、あるいは3次元の箱の中の自由粒子に関して、その固有値と固有エネルギーを求めることができる。
5週 調和振動子 1次元、あるいは3次元の調和振動子に関して、その固有値と固有エネルギーを求めることができる。
6週 水素原子 中心力場内でクーロン相互作用を持つ水素原子の固有値と固有エネルギーを求めることができる。
7週 物理量の行列表示 行列力学の立場から、量子力学を理解することができる。
8週 光と物質の相互作用 マックスウエル方程式から、光と物質の相互作用を理解し、吸収係数や屈折率といった光学的概念がミクロな立場から説明できる。
4thQ
9週 2準位原子 2準位原子の場合の無摂動及び摂動ハミルトニアンを行列として書き下すことができる。
10週 密度行列の運動方程式 シュレーディンガー方程式を、密度行列の運動方程式に書き替える事ができ、その意味が理解できる。
11週 ブロッホ方程式とレート方程式 ブロッホ方程式、及びレート方程式を導出する事ができ、かつその意味を把握できる。
12週 レーザーの原理 誘導放出の概念が理解でき、レーザーが発振に至るプロセスを説明することができる。
13週 種々のレーザー 固体レーザー、気体レーザー、液体レーザー、半導体レーザー等の特徴とその応用分野等が説明できる。
14週 原子時計と超高分解分光 非線形光学の手法で、GPSにも用いられる原子時計の原理を理解し、応用例を挙げる事ができる。
15週 レーザー冷却とボーズアインシュタイン凝縮 レーザーにより原子の動きを止め、原子を捕捉するレーザー冷却の原理を理解し、ボーズアインシュタイン凝縮に関して説明できる。
16週 まとめとレポート作成

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

定期試験平常試験レポート合計
総合評価割合00100000100
基礎的能力005000050
専門的能力003000030
分野横断的能力002000020