応用物理特論

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 応用物理特論
科目番号 0007 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 量子力学基礎(松居哲生著,共立出版)[参考書]ファインマン物理学V量子力学,サスキンド,フリードマン著「スタンフォード物理学再入門 量子力学」
担当教員 降旗 康彦

到達目標

1. 量子力学の基本原理(状態の記述,オブザーバブル,測定値,確率解釈など)を理解し,2状態系を具体例として物理量の期待値などを計算できる。
2. シュレーディンガー方程式の解をエネルギーの固有値・固有状態を使って表すことができる。
3. 1次元運動を波動関数を用いて表現する方法を理解し,簡単なポテンシャル問題を扱うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1量子力学における系の状態がベクトルで表されること,物理量がエルミート演算子で表されることを物理現象ともに理解している。量子力学において系の状態がベクトルとして表され,物理量は線形演算子として表されることを知っている。量子力学において系の状態や物理量がどのように表現されるか知らない。
評価項目2シュレーディンガー方程式の解をエネルギーの固有系を用いて表すことができる。状態ベクトルがシュレーディンガー方程式に従って,時間発展することを知っている。状態ベクトルがシュレーディンガー方程式に従って,時間発展することを知らない。
評価項目31次元運動する量子的粒子について,井戸型ポテンシャルなど簡単な問題を解くことができる。1次元運動する粒子の状態が波動関数を用いて記述されることを知っていて,その物理的解釈もできる。1次元運動する粒子の状態が波動関数を用いて記述されることを知らない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (生産システム工学専攻の教育目標) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (専攻科の教育目標) 説明 閉じる
JABEE A-1 説明 閉じる
JABEE基準 (c) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
量子力学によって初めて正確に理解される現象が,工学においても様々な場面で利用されている。ミクロの世界を支配する量子力学の基本的な原理を知り,その考え方に慣れ,将来,より詳細に量子力学を学ぶための導入とする。
授業の進め方・方法:
本科で学んだ物理学に関係する基礎的知識を前提とし,さらに,これまで学んできた数学(特に線形代数)も多用するが,それらの復習も簡単に扱う。量子力学の原理を実際に使ってみるために,簡単な2状態系を例にしながら理解し,1次元運動をする粒子について簡単なポテンシャル問題を解けるようにする。
注意点:
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合はA-1とする.
・自学自習時間(60時間)ついては,日常の授業(30時間)のための予習復習,レポート課題の解答作成時間,試験のための学習時間を総合したものとする.
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる.
・抽象的で数学的な議論が多くなるので,自分で手を動かして具体例を扱うことが大切である。
・量子力学は日常的な直観では理解できない。授業の前には各自テキストを読んで疑問点をはっきりさせることが必要である。
・試験70%,レポート30%にて評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
第1章.量子力学のおこり
量子力学の発見の契機となった現象をについて概略を説明できる。原子の安定性が古典力学で説明できないことを理解できる。
2週 第2章.量子力学の枠組み
 状態の記述と確率解釈(1)
シュテルン-ゲルラッハの実験を題材にして,スピン2状態系での測定結果について古典論と量子論の違いを理解できる。
3週 第2章.量子力学の枠組み
 状態の記述と確率解釈(2)
量子状態について重ね合わせの原理が成り立つこと理解し,状態を記述するための数学的道具(複素数,ベクトル)に慣れる。
4週 第2章.量子力学の枠組み
 状態の記述と確率解釈(3)
状態から観測結果に関する確率を導く方法について理解する。
5週 第2章.量子力学の枠組み
 状態の記述と確率解釈(4)
状態の記述についての演習
6週 第2章.量子力学の枠組み
 物理量と演算子(1)
物理量は状態ベクトルに作用する線形演算子(エルミート演算子)で表されることを理解する。
7週 第2章.量子力学の枠組み
 物理量と演算子(2)
エルミート演算子の数学的性質を理解できる。
8週 第2章.量子力学の枠組み
 物理量と演算子(3)
物理量の期待値,不確定性の定義を理解して計算できる。
4thQ
9週 中間試験
10週 第2章.量子力学の枠組み
 時間発展とシュレーディンガー方程式(1)
古典力学におけるポアソン括弧を用いた時間発展の記述を理解できる。
11週 第2章.量子力学の枠組み
 時間発展とシュレーディンガー方程式(2)
状態の時間発展を与えるシュレーディンガー方程式の形を理解できる。
12週 第2章.量子力学の枠組み
 時間発展とシュレーディンガー方程式(3)
エネルギー固有値,固有ベクトルを用いてシュレーディンガー方程式の解を表現できる。
13週 第2章.量子力学の枠組み
 観測と状態の収縮
観測が行われた場合の状態の変化(状態の収縮)について理解する。
14週 第3章.1次元運動の波動関数とシュレーディンガー方程式(1) 粒子の位置という連続無限次元の状態で表される系の量子力学をどのように定式化するかその概要を理解する。
15週 第3章.1次元運動の波動関数とシュレーディンガー方程式(2) 1次元井戸型ポテンシャル問題の特徴を理解する。
16週 後期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100
専門的能力00
分野横断的能力000