概要:
創造豊かなエンジニアの発想により素晴らしいアイデアが提案され,新しい価値ある物が作り上げられてきている.当然,アイデアを実際の製品として具現化するうえで設計製図は必要不可欠なものである.設計者は単に要求された機能を満足させる設計を行うのみではなく,安全性を考慮した設計をも行わなくてはならない.さらにコストや環境に対しても配慮しなければならない.機械技術者として避けて通ることのできない設計を学ぶ第1歩として,機能を実現でき,さらに安全を保障することのできる設計の基本手順を学ぶことは非常に大切である.当然,設計を行う上での基礎として,材料力学,機械要素学など専門分野で学んだ知識が必要であるが,個々の知識を単に結合するだけでは,最良の設計を行うことはできない.各要素の結合をより一段上位のレベルで考察し,機能を最大限に発揮できるような設計を行う必要がある.本授業では,設計のポイントを学び,設計の基礎能力を養うことを目標とする.そこで,初めて設計に取り組む学生に対する設計テーマとして,種々の機械要素により構成された手巻きウインチを設定した.本授業において設計書,計画図,CAD図面を完成させることで,一連の設計手順を学ぶことができる.また,学生が創意工夫し,チャレンジすることも望む.
【設計で学ぶポイント】
各要素の基本設計を行い,個々で機能および安全性が確保できることをまず判定し,それらの要素を結合させた場合,目的の機能が最大限に発揮されることができるのか,安全性が確保できるのか全体計画図を描き,検討を行う.ここで問題があれば,躊躇せず基本設計をやり直すことが必要なことも学ぶ.すべての設計条件をクリアするまでこの手順を続けることになるが,決して妥協をしてはならない.
【製図で学ぶポイント】
すでに習得している製図の知識(JISに基づく)を用いて,図面を作成する.製図には手書きに代わりCADによる手法を取り入れる.CADは技術者にとって,大切なアイテムとなっている.CADの特徴および設計製図に CADを取り入れるメリットを学ぶ.その後,CADの基礎知識および基本操作を習得し,実際のウインチの図面を描くことで,その応用を体得する.
(ISO対応,SDGs 8)つくる責任,つかう責任)
授業の進め方・方法:
授業では設計の手順に従って例題を示し説明を行うが,設計条件は各自で異なっているため,必ず次回の授業までに指定された事項まで設計を行っておくこと.また,製図においても,授業時間以外で指示された箇所まで各自で到達するようにすること.
注意点:
設計を行ううえでは,特に専門科目の知識は不可欠である.その中でも本授業と「材料力学」「機構と要素」「精密加工」とは非常に関連している.また,製図においては「機械基礎製図」の知識は必ず理解しておく必要がある.さらに,この授業は次年度の「基礎設計演習」の基礎となる.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
設計の流れについて |
設計の流れについて理解できる
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2週 |
手巻きウインチの種類・機構・構成要素について |
手巻きウインチの種類と機構・構成要素について理解できる
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3週 |
ワイヤロープ径の決定 |
ロープの種類および構成について理解でき,ロープ径を決定できる
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4週 |
巻胴形状の決定 |
巻胴直径・長さ・肉厚を決定できる
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5週 |
速度比および歯数の決定 |
速度比および歯数についてアンダーカットを考慮して決定できる
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6週 |
歯車の寸法の決定 |
歯の強度を計算し,歯車の寸法を決定できる
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7週 |
歯車の寸法の決定 |
歯の強度を計算し,歯車の寸法を決定できる
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8週 |
ブレーキ装置の決定 |
帯ブレーキの構造形式を理解し,ブレーキ帯の張力および寸法・ブレーキライニングの平均圧力について計算することでブレーキ装置の主要寸法を決定できる
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2ndQ |
9週 |
ブレーキ装置の決定 |
帯ブレーキの構造形式を理解し,ブレーキ帯の張力および寸法・ブレーキライニングの平均圧力について計算することでブレーキ装置の主要寸法を決定できる
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10週 |
つめ車装置の決定 |
つめ車装置の役割と機構を理解し,つめ車の寸法および強度計算・つめの形状および強度計算・つめ軸の強度計算(曲げ,せん断)を行い,つめ車装置の主要寸法を決定できる
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11週 |
軸の決定 |
巻胴軸の強度計算および寸法の決定ができる
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12週 |
軸の決定 |
中間軸(巻き上げおよびブレーキをかけた場合)の強度計算および寸法の決定ができる
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13週 |
軸の決定 |
ハンドル軸の強度計算および寸法の決定ができる
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14週 |
軸受の決定 |
軸受の種類を理解でき,使用する軸受を選定できる
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15週 |
フレームの決定 |
板厚・軸の配置・ドラム軸とのとりあい・ドラム軸の支持圧力について検討できる
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
全体計画図の作成 |
製品の全体的な構造,部品の配置,運動部分の動く範囲,限界寸法などを明らかにし,各部品のあたり,必要なすきまがあるなど検討するとともに,設計条件を満たしていることを確認する.不具合がある場合は,設計をやり直し,全体計画図が作成できる
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2週 |
全体計画図の作成 |
製品の全体的な構造,部品の配置,運動部分の動く範囲,限界寸法などを明らかにし,各部品のあたり,必要なすきまがあるなど検討するとともに,設計条件を満たしていることを確認する.不具合がある場合は,設計をやり直し,全体計画図が作成できる
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3週 |
全体計画図の作成 |
製品の全体的な構造,部品の配置,運動部分の動く範囲,限界寸法などを明らかにし,各部品のあたり,必要なすきまがあるなど検討するとともに,設計条件を満たしていることを確認する.不具合がある場合は,設計をやり直し,全体計画図が作成できる
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4週 |
製図(組立図と部品図) |
CADシステムの役割と基本機能を理解して,手巻きウインチの製図ができること
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5週 |
製図(組立図と部品図 |
CADシステムの役割と基本機能を理解して,手巻きウインチの製図ができること
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6週 |
製図(組立図と部品図 |
CADシステムの役割と基本機能を理解して,手巻きウインチの製図ができること
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7週 |
製図(組立図と部品図) |
CADシステムの役割と基本機能を理解して,手巻きウインチの製図ができること
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8週 |
製図(組立図と部品図) |
CADシステムの役割と基本機能を理解して,手巻きウインチの製図ができること
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4thQ |
9週 |
製図(組立図と部品図) |
CADシステムの役割と基本機能を理解して,手巻きウインチの製図ができること
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10週 |
製図(組立図と部品図) |
CADシステムの役割と基本機能を理解して,手巻きウインチの製図ができること
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11週 |
製図(組立図と部品図) |
CADシステムの役割と基本機能を理解して,手巻きウインチの製図ができること
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12週 |
製図(組立図と部品図) |
CADシステムの役割と基本機能を理解して,手巻きウインチの製図ができること
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13週 |
製図(組立図と部品図) |
CADシステムの役割と基本機能を理解して,手巻きウインチの製図ができること
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14週 |
製図(組立図と部品図) |
CADシステムの役割と基本機能を理解して,手巻きウインチの製図ができること
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15週 |
まとめ |
①最終的な設計書,計画図,図面の作成ができる. ②歯車減速装置,手巻きウインチ,渦巻きポンプ,ねじジャッキなどを題材に,その主要部の設計および製図ができる.
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 製図 | 図面の役割と種類を適用できる。 | 4 | 後15 |
線の種類と用途を説明できる。 | 4 | 後15 |
物体の投影図を正確にかくことができる。 | 4 | 後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
製作図の書き方を理解し、製作図を作成することができる。 | 4 | 後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14 |
公差と表面性状の意味を理解し、図示することができる。 | 3 | 後1,後2,後3,後14 |
CADシステムの役割と基本機能を理解し、利用できる。 | 4 | 後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14 |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの機械要素の図面を作成できる。 | 4 | 後4,後5,後6,後7,後8 |
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプ、ねじジャッキなどを題材に、その主要部の設計および製図ができる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後15 |
分野横断的能力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。 | 2 | 前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15 |