電子回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 電子回路Ⅰ
科目番号 0061 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産システム工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 高木茂孝・鈴木憲次 監修「電子回路概論」(実教出版)/ 雨宮好文著「基礎電子回路演習」(オーム社)
担当教員 高田 明雄

到達目標

1.半導体素子の構造を理解し、基本動作と電気的特性との関係を説明できる。
2.半導体素子の等価回路について説明できる.
3.トランジスタ増幅器に関する基本的な回路計算ができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1半導体素子の動作を理解し,その電気的特性(特に,電流-電圧特性)を回路動作解析に応用できる.半導体素子の電流-電圧特性を回路動作解析に応用できる.半導体素子の電流-電圧特性を回路動作解析に応用できない.
評価項目2トランジスタ等の半導体素子を電気回路モデル(小信号等価回路)に置き換える方法について説明でき,なおかつ,このモデルを回路解析に応用できる.トランジスタ等の半導体素子を電気回路モデル(小信号等価回路)に置き換えたものを回路解析に応用できる.トランジスタ等の半導体素子を電気回路モデル(小信号等価回路)に置き換えたものを回路解析に応用できない.
評価項目3回路に組み込まれたトランジスタのバイアス意味を説明でき,かつ,バイアス量をトランジスタの電気的特性およびキルヒホッフの法則に基づいて導出できる回路に組み込まれたトランジスタのバイアス量をトランジスタの電気的特性およびキルヒホッフの法則に基づいて導出できる回路に組み込まれたトランジスタのバイアス量を導出できない

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
ダイオードやトランジスタは家電製品をはじめとするあらゆる電子機器や通信機器等に組み込まれている。また、これらの半導体素子を使った電気回路は電子回路と呼ばれ、抵抗、コイルあるいはコンデンサという受動部品からなる回路ではできない様々な機能をもっている。本科目では、ダイオードやトランジスタの動作の説明、電気回路モデルを使った表現について説明できるようになり、さらには、それらの素子を組み込んだ電子回路全体の動作を説明できることを目標とする。
授業の進め方・方法:
教科書を中心に授業を進めるが,一部,より専門性の高い知識が必要となるため,教科書に記載されていない単元についても勉強することになる.
半導体の基礎(真性半導体,不純物半導体,pn接合,空乏層)については,科目「電子工学」で詳しく学ぶところであるため,本授業では概観する程度にとどめる.
注意点:
予備基礎知識:電気回路と電子工学の両方の基礎的な知識が必要である。電子工学では、特に半導体に関する基礎知識が導入部で要求され、さらに、後半では電気回路の電流源や電圧源について回路計算の知識、さらには対数、微分、ベクトルあるいは複素数などの数学の知識も必要となる。
勉強の仕方:この科目は例えば数学のように基礎の積み上げで確実に理解が得られる学問ではなく、断片的に学んだいろいろな単元(例えば、動作や電流―電圧特性など)を別々に記憶しようとするのではなく、それらの相互関係を自分の頭の中で反すう、あるいは再構築する努力が大切である。すなわち,暗記ではなく結果が導き出される過程を理解する姿勢が重要である.素子の特性は一種の関数である.グラフを読み取る力が大切になる.一方,素子は回路に組み込まれる.その際に,電流あるいは電圧を求めることになるが,その場合にはキルヒホッフの法則が使われる.場合によってはテブナンの定理も必要となる.そのため、習った内容を直ぐ理解できなかったとしても、投げ出さずに次の単元を学び続ける姿勢が大切である。暗記中心の勉学方法は、理解を遅らせる要因となるためやめるべきであろう。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス(1h)
1.半導体素子
◇pn接合・ダイオード(コア)(1h)
・授業計画および電子回路の特徴や応用範囲の説明
・pn接合とダイオードについて説明できる。
2週 ◇ダイオード(コア)
 
・ダイオードの性質,種類について説明できる
・ダイオードの電流-電圧特性や使用方法について説明できる
3週 ◇バイポーラ・トランジスタ(コア)
 
・トランジスタの基本構造を説明できる
・トランジスタの電流増幅機能について説明できる
4週 ◇バイポーラ・トランジスタ(コア)

◇電界効果トランジスタ(FET)(コア) 
・トランジスタの静特性,および最大定格について説明できる
・FETの基本構造について説明できる
5週 ◇電界効果トランジスタ(FET)(コア) ・接合形FET・MOSFETの基本構造および電流増幅機能・電流-電圧特性について説明できる
6週 ◇集積回路
・集積回路の特徴について説明できる
・CMOSについて説明できる
7週 ◇増幅回路の基礎

◇トランジスタ・FETの接地方式
・増幅回路の役割と基本構成について説明できる
・各接地方式における電流および電圧を表現できる
8週 中間試験
4thQ
9週 試験答案返却・解答解説(1h)

◇増幅回路の基礎
・誤解答部分や未解答部分の正当な解法を確認できる
・増幅回路の役割と基本構成について説明できる
10週 ◇小信号等価回路(コア)
 ・バイポーラトランジスタ
バイポーラ・トランジスタのhパラメータ表現について理解できる。
トランジスタの特性とhパラメータとの相互関係および各種接地回路の等価回路を描くことができる
11週 ◇小信号等価回路(コア)
 ・FET
FETの小信号等価回路について,素子の特性から求められる三定数を用いて説明できる
12週 ◇動作量の定義、利得のデシベル表示 増幅回路における動作量ならびに利得の定義、利得のデシベル表示について説明できる
13週 ◇バイアス法(コア) トランジスタを使った増幅器におけるバイアス法を理解し,回路内各部の電流および電圧を求めることができる。
14週 ◇バイアス法(コア) FETを使った増幅器におけるバイアス法を理解し,回路内各部の電流および電圧を求めることができる。
15週 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 誤解答部分や未解答部分の正当な解法を確認できる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4後1,後2
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4後3,後4
FETの特徴と等価回路を説明できる。4後4,後5,後6
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。4後13,後14
電子工学電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4後4,後5

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000