物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 物理Ⅱ
科目番号 0084 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 生産システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:4 後期:2
教科書/教材 熱・波動(大日本図書)、力学I(大日本図書)、配布プリント/熱・波動問題集(大日本図書)、力学I問題集(大日本図書)、配布プリント(実験・自作問題)
担当教員 宮崎 真長,関川 準之助

到達目標

1. 円運動、単振動、波、原子分野に現れる特徴的な物理量について、その定義が説明でき、計算できる。
2. 円運動、単振動、波、原子分野に現れる物理現象と物理法則が説明でき、計算できる。
3. データ整理を行い、定められた形式で実験レポートを期日までに提出できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1複数の物理概念・物理量を含んだ問題を解くことができる。定義から物理概念が理解でき、物理量が計算できる。計算で求めた答は単位付きで表示できる。物理量の定義が概ね説明できない。定義式を用いた計算が概ねできない。
評価項目2物理法則の導出過程が説明でき、問題を解くことができる。重要な物理法則が説明でき、その法則を用いて、物理量が計算できる。重要な物理法則が概ね説明できない。
評価項目3表やグラフを正しく完成でき、「考察」を自分の言葉を用いて表現できる。データ整理を行い、定められた形式でレポートを期日までに完成できる。実験レポートを完成できない。

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物理の学習を通じて、自然現象を系統的・論理的に考える能力を養い、自然現象を解明するために物理的な見方・考え方を修得する。物理は工学の基礎であり、科学技術の発展に欠かせない科目である。3年生で、円運動、単振動、波、音波と光波、原子・放射線について学習する。また、実験では測定に用いる器具をグループまたは、個人で使用し、実験データをもとに、データ整理を行い、実験レポートを期日までに完成させること。
授業の進め方・方法:
・Blackboard上の教材で事前に予習し、授業時間はグループで問題演習に取り組むグループ学習を中心に行う。
・実験も数回、行う。実験終了後はデータ整理を行い、提出期限を守って、定められた形式で実験レポートを完成させること。
注意点:
・Blackboardでの予習の最後に「小テスト」があるので、自分の理解度を確認しよう。(通算成績100点中の10点分) 
・グループ学習では、教える側も教えることで理解が深まるので、積極的に自分たちの力で問題を解いていこう。
・前期中間試験の代替として4~7月に実施した遠隔授業の確認テストを100点満点に換算して用いる。なお前期末試験と同範囲なので、再試験は前期末再試験で代替する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
【等速円運動】角速度・周期・回転数、
等速円運動の加速度・向心力
シラバス、授業の進め方、評価法などを理解する
角速度・周期・回転数などの物理量の理解、等速円運動の加速度と向心力の理解
2週 等速円運動の運動方程式
チャレンジクイズ
様々な等速円運動について、運動方程式を立てて問題を解けるようになる
円運動の概念をつかむ
3週 慣性力と遠心力
【単振動】単振動の変位、速度、加速度、単振動に必要な力、水平ばね振り子
観測者の運動状態による力の見え方の違いを理解する
単振動の変位、速度、加速度、力の式を理解する
単振動の具体例として水平ばね振り子を理解する
4週 鉛直ばね振り子・単振り子
チャレンジクイズ
鉛直ばね振り子・単振り子の周期の式を理解する
単振動の概念をつかむ
5週 《学生実験》単振り子による重力加速度の測定
【万有引力】ケプラーの法則と万有引力
単振動の周期から重力加速度を測定する
ケプラーの法則と万有引力の法則を理解する
6週 重力と万有引力の関係・万有引力による位置エネルギー
万有引力を受ける物体の力学的エネルギー保存則
重力と万有引力の関係式・万有引力による位置エネルギーを理解する
第二宇宙速度を求めることができる
7週 問題演習 前期中間試験に向けた問題演習
8週 前期中間試験
試験答案返却・解答解説
間違った問題の正答を求めることができる
2ndQ
9週 【波】横波・波のグラフ
縦波の発生、縦波→横波
横波の伝わり方、y-x図とy-t図の違いの理解
縦波の伝わり方を理解し、縦波→横波の変換を学ぶ
10週 重ね合わせの原理と定常波
固定端反射と自由端反射、波の干渉
波の独立性を観察しプリント作業により定常波を理解する
11週 ホイヘンスの原理と波の反射、屈折、回折
正弦波の式
ホイヘンスの原理から反射・屈折の法則を導く
時刻と位置、2変数の正弦波の式を理解する
12週 【音波】音の速さと三要素・音の伝わり方
弦の振動・気柱の振動
音の速さと三要素(音の高さ・強さ・音色)・音の伝わり方を理解する
弦定常波・気柱の振動を理解する
13週 固有振動と共鳴共振
チャレンジクイズ
共鳴・共振を理解する
固有振動の概念を理解する
14週 ドップラー効果
斜め方向・風がある場合のドップラー効果
様々なケースのドップラー効果を理解する
15週 問題演習 前期期末試験に向けた問題演習
16週 前期期末試験
試験答案返却・解答解説
間違った問題の正答を求めることができる
後期
3rdQ
1週 光とその種類、光の速さ、反射・屈折
全反射
光の反射・屈折・全反射の現象を理解する
2週 ヤングの実験・回折格子
薄膜の干渉・ニュートンリング
ヤングの実験・回折格子でレーザー光の波長を求める
薄膜の干渉の原理を理解する
3週 光の分散・散乱・偏光
《学生実験》簡易分光器の製作
光の分散・散乱・偏光の現象を理解する
回折格子分光器を製作し、身近な光の波長をもとめる
4週 凸レンズによる実像、凸・凹レンズによる虚像 レンズがあるときの光の進み方を作図によって理解する
式の計算で像の位置や倍率が求められることを知る
5週 組合せレンズ 身近な顕微鏡や望遠鏡について、その原理を理解する
6週 凹面鏡と凸面鏡 凹面鏡・凸面鏡での光の進み方を作図によって理解する
7週 問題演習 後期中間試験に向けた問題演習
8週 後期中間試験
試験答案返却・解答解説
間違った問題の正答を求めることができる
4thQ
9週 【原子分野】
化学反応と原子核反応の違い
原子核の崩壊、放射性同位元素、放射線、放射能
を理解する
10週 半減期・原子核反応式 半減期、原子核反応式について理解する
11週 原子核反応のエネルギー・連鎖反応 質量とエネルギーの等価性について理解する
連鎖反応について理解する
原子力発電、原子爆弾について理解する
12週 核融合反応・放射線の強さ 核融合反応と太陽エネルギーについて理解する
放射性物質の量を測る単位・ベクレルについて理解する
13週 放射線の被曝・被曝の健康への影響 人体への影響の大きさを表す単位・シーベルトを理解する
内部被曝・外部被曝の違いを理解する
放射線の被曝がなぜ身体に悪いのか理解する
被曝によってどれだけ癌が増えるのか
確率的におきる出来事についての考え方を理解する
14週 放射性セシウムによる地面・食品の汚染 空間線量率と地表の汚染密度の関係・年間の被曝線量の見積もり方を理解する
セシウムによる内部被曝の見積もり方を理解する
15週 《学生実験》放射線実験
霧箱実験を行い、放射線の性質を理解する
16週 学年末試験
試験答案返却・解答解説
間違った問題の正答を求めることができる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3前5
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3前4
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3前1,前2
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3前6
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前7
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3前9
横波と縦波の違いについて説明できる。3前9
波の重ね合わせの原理について説明できる。3前10
波の独立性について説明できる。3前10
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3前10
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3前10
ホイヘンスの原理について説明できる。3前11
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3前11
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3前12
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3前13
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3前13
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3前14
自然光と偏光の違いについて説明できる。3後2
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3後1
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3後2
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前5,後4,後16
安全を確保して、実験を行うことができる。3前5,後4,後16
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前5,後4,後16
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前5,後4,後16
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前5
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後4
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後4,後16

評価割合

定期試験小テストレポート学習到達度試験合計
総合評価割合7010101000100
基礎的能力0000000
専門的能力7010101000100
分野横断的能力0000000