概要:
科学技術の進歩は人類の発展と社会に対して大きな貢献をしてきたが,一方で自然や地球に対して影響を与え続けてきたことも事実である。また最近では,企業や技術者が責任を問われる事故も多発しており,企業や技術者が社会や一般公衆に対して大きな責任を持つことは周知となっている。本授業では,そうした技術者としての社会に対する役割と責任,技術が社会や自然,未来の世代に与える影響,法令順守,知的財産権について理解し,具体的な事例研究に生かすことができることを目標とする。さらに,事例研究においては,チームとして調査,討論し,意見をまとめ,プレゼンテーションおよび報告書として他者に説明できることを目標とする。
※実務との関係
この科目は、企業における機器の開発設計に関する実務経験を有する教員が、その経験を活かし、技術者に対する社会的要請に応えるための基本的な倫理に関する考え方について授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
・技術者倫理の問題には厳密な正解はないと言ってよい。しかし,技術者としての社会的責任を理解した上で,公衆の安全のためにどう行動するかが重要であり,本授業ではそのベースとなる考え方を学習する.
注意点:
・特に必要な予備知識はないが,グループとして事例について調査し,討論,発表するコミュニケーション能力は必要である.
・レポートでは自分の意見を的確に論理的にまとめて記述することが必要である.
・討論や発表における質疑の場では,自分の考えを的確にまとめ,積極的に参加することが要求される.
教育到達目標評価:定期試験40%(D),発表30%(D:50%,E:25%,E:25%),レポート30%(D)
以下,2020.5.15付けで修正した評価割合(コロナ対策による遠隔授業実施へ対応するための評価割合の変更)
A:登校して前期期末試験を実施できる場合
B:登校して前期期末試験を実施できない場合
試験 発表 レポート 合計
A B A B A B A B
総合評価割合 40 0 30 30 30 70 100 100
基礎的能力 40 0 15 15 20 60 75 75
分野横断的能力 0 0 15 15 10 10 25 25
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 3 | 後2,後7 |
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。 | 3 | 後2,後4,後9,後10,後11 |
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。 | 3 | 後1,後6 |
社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 3 | 後1,後2 |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 3 | 後1,後3,後4,後10 |
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | 後1,後9,後10 |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | 後4,後9,後10 |
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。 | 3 | 後2 |
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。 | 3 | 後7 |
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。 | 3 | 後7 |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 3 | 後1,後2,後4,後5 |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 3 | 後4,後5,後9 |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 3 | 後2,後13 |
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 3 | 後10,後11,後12,後13,後14 |
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。 | 3 | 後1,後4,後13 |
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。 | 3 | 後1,後4,後13 |
グローバリゼーション・異文化多文化理解 | グローバリゼーション・異文化多文化理解 | それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。 | 3 | 後4,後13 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | 後4,後10,後11,後13 |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | 後4,後10,後11,後13 |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | 後4,後10,後11,後13 |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | 後5,後6 |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 3 | 後2,後5,後10 |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | 後1,後2,後10 |