技術者倫理

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 技術者倫理
科目番号 0428 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産システム工学科 対象学年 5
開設期 M前期/EJ後期 週時間数 4
教科書/教材 藤本温編「技術者倫理の世界」(森北出版)/ビデオ,適時配付するプリント等
担当教員 本村 真治,森田 孝

到達目標

1. 技術が社会や自然に及ぼす影響及び技術者が社会に対して負っている責任を理解し,説明できる.
2. 説明責任,内部告発,製造物責任,リスクマネジメントなど,技術者の行動に関する基本的事項を理解できる.
3. 法令を順守することや知的財産の社会的意義や重要性を理解できる.
4. 社会での行動規範としての技術者倫理を理解し、問題への適切な対応力(どのように問題を捉え、考え,行動するか)を身に付けて,技術者としてとるべき行動を判断し,実践できる.
5. グループによる事例研究を通して,技術者の立場として討論し,意見をまとめ,他者にプレゼンテーションとして報告することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1技術が社会や自然に及ぼす影響を理解し,具体的な事例に適用して考えることができる.技術が社会や自然に及ぼす影響及び技術者の社会に対する責任を理解し,説明できる.技術が社会や自然に与える影響を理解できず,技術者の責任も理解できない.
評価項目2説明責任,内部告発,製造物責任,リスクマネジメントなどを理解して,具体的な事例に適用して考えることができる.説明責任,内部告発,製造物責任,リスクマネジメントなど,技術者の行動に関する基本的事項を理解できる.技術者の行動に関する左記のような基本的事項を理解できない.
評価項目3技術者としての法令順守や知的財産の社会的意義や重要性を理解し,行動できる.技術者としての法令順守や知的財産の社会的意義や重要性を理解できる.法令順守や知的財産の社会的意義や重要性が理解できない.
評価項目4具体的な事例において,技術者倫理を理解して,技術者としてとるべき行動を判断し,実践できる.具体的な事例において,技術者倫理を理解して,技術者としてとるべき行動について考えることができる.具体的な事例において,技術者倫理を理解して,技術者としてとるべき行動について考えることができない.
評価項目5具体的事例研究について積極的に取り組むことができ,リーダーとしてチームの意見をまとめることができる.具体的事例についてチームとして調査研究して討論し,その結果をプレゼンテーションとして他者に説明することができる.事例研究をチームとして遂行できず,意見をまとめて報告することができない.

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 D 説明 閉じる
函館高専教育目標 E 説明 閉じる

教育方法等

概要:
科学技術の進歩は人類の発展と社会に対して大きな貢献をしてきたが,一方で自然や地球に対して影響を与え続けてきたことも事実である。また最近では,企業や技術者が責任を問われる事故も多発しており,企業や技術者が社会や一般公衆に対して大きな責任を持つことは周知となっている。本授業では,そうした技術者としての社会に対する役割と責任,技術が社会や自然,未来の世代に与える影響,法令順守,知的財産権について理解し,具体的な事例研究に生かすことができることを目標とする。さらに,事例研究においては,チームとして調査,討論し,意見をまとめ,プレゼンテーションおよび報告書として他者に説明できることを目標とする。
※実務との関係
 この科目は、企業における機器の開発設計に関する実務経験を有する教員が、その経験を活かし、技術者に対する社会的要請に応えるための基本的な倫理に関する考え方について授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
・技術者倫理の問題には厳密な正解はないと言ってよい。しかし,技術者としての社会的責任を理解した上で,公衆の安全のためにどう行動するかが重要であり,本授業ではそのベースとなる考え方を学習する.
注意点:
・特に必要な予備知識はないが,グループとして事例について調査し,討論,発表するコミュニケーション能力は必要である.
・レポートでは自分の意見を的確に論理的にまとめて記述することが必要である.
・討論や発表における質疑の場では,自分の考えを的確にまとめ,積極的に参加することが要求される.
教育到達目標評価:定期試験40%(D),発表30%(D:50%,E:25%,E:25%),レポート30%(D)

以下,2020.5.15付けで修正した評価割合(コロナ対策による遠隔授業実施へ対応するための評価割合の変更)

A:登校して前期期末試験を実施できる場合
B:登校して前期期末試験を実施できない場合

         試験       発表      レポート      合計
         A   B    A   B    A   B     A   B
総合評価割合   40   0    30  30    30   70    100  100
基礎的能力    40   0    15  15    20   60    75   75
分野横断的能力  0   0    15  15    10   10    25   25

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3後2,後7
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3後2,後4,後9,後10,後11
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3後1,後6
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3後1,後2
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3後1,後3,後4,後10
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3後1,後9,後10
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3後4,後9,後10
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3後2
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3後7
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3後7
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3後1,後2,後4,後5
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3後4,後5,後9
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3後2,後13
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3後10,後11,後12,後13,後14
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3後1,後4,後13
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3後1,後4,後13
グローバリゼーション・異文化多文化理解グローバリゼーション・異文化多文化理解それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。3後4,後13
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者の意見を聞き合意形成することができる。3後4,後10,後11,後13
合意形成のために会話を成立させることができる。3後4,後10,後11,後13
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3後4,後10,後11,後13
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3後5,後6
法令やルールを遵守した行動をとれる。3後2,後5,後10
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3後1,後2,後10

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合403000030100
基礎的能力40150002075
専門的能力0000000
分野横断的能力0150001025