物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 0062 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 PEL物理化学(実教出版)
担当教員 水野 章敏

到達目標

1.物理化学の基礎的事項(SI単位、熱力学特性値、温度と熱力学第零法則、熱容量、仕事、エネルギーなど)について説明できる。
2.物質の状態と圧力、温度、体積がどのように関係しているか説明できる。
3.熱化学の基礎として、内部エネルギーと仕事、熱量との関係式、熱力学の第一方程式、熱力学の基本量であるエンタルピーについて説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 物理化学の基礎的事項(SI単位、熱力学特性値、温度と熱力学第零法則、熱容量、仕事、エネルギーなど)について説明できる。 教科書を見ながらであれば、物理化学の基礎的事項(SI単位、熱力学特性値、温度と熱力学第零法則、熱容量、仕事、エネルギーなど)について説明できる。 左記ができない。
評価項目2物質の状態と圧力、温度、体積がどのように関係しているか説明できる。教科書を見ながらであれば.物質の状態と圧力、温度、体積がどのように関係しているか説明できる。左記ができない。
評価項目3熱化学の基礎として、内部エネルギーと仕事、熱量との関係式、熱力学の第一方程式、熱力学の基本量であるエンタルピーについて説明できる。教科書を見ながらであれば、熱化学の基礎として、内部エネルギーと仕事、熱量との関係式、熱力学第一方程式、熱力学の基本量であるエンタルピーについて説明できる。左記ができない。

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物理化学は化学全般の基礎であり、有機化学、無機化学、分析化学などの全ての化学分野の理論的な面を担うものである。本講義では、物理化学の基礎的事項について理解すると共に、物質の状態および化学熱力学について基礎的知識を得ることを目的とする。
授業の進め方・方法:
物理化学は基礎的理論であり、物質の化学変化に対する一般的法則を与えるものである。法則であるからには多少とも数学的表現を用いなければならないが、出来るだけ平易に時間をかけて講義するので、授業中のノート作成や予習復習を十分に行うこと。特に、物質の状態(気体、液体、固体)や熱力学第一法則は、化学・物質環境工学の重要な柱であるので、興味を持って学習して貰いたい。
注意点:
自分で演習問題を解くことが理解を一層強めるために極めて有効であるので、章末の演習問題を解くことを勧める。また、さらに、、原著に挑戦することも意義のあることである。授業中態度が悪い(居眠り,携帯電話の使用など)場合は減点とするので十分に注意すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物理化学を学ぶための基礎知識
有効数字について理解できる。微視的とらえ方から巨視的とらえ方の流れが理解できる。
2週 物理化学を学ぶための基礎知識Ⅱ SI単位、熱力学特性値ならびに基礎的用語(示量因子と示強因子)、熱と熱容量について説明できる。
3週 物質の状態 物質の三態における相互変化について説明できる
4週 平衡状態の圧力と温度の関係 Clausius–Clapeyronの式により平衡状態の圧力温度の関係を説明できる。
5週 液体の特徴 液体の物性、凝固と融解、過冷却、状態図における融解曲線を説明できる。
6週 固体の特徴 結晶構造とブラベ格子の関係について説明できる。
7週 非晶質、中間相の特徴 非晶質、中間相、液晶、柔軟性結晶の特徴と違いを説明できる。
8週 到達度試験 物質の三態と状態変化に関連した問題を解くことができる。
2ndQ
9週 気体の性質
気体の分子運動論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる
10週 理想気体の状態方程式 Boyle-Charlesの法則および理想気体の状態方程式を説明でき、これらの式を使って各種の計算ができる。。
11週 臨界現象と混合気体について 臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。混合気体の分圧の計算ができる。
12週 実在気体の状態方程式Ⅰ 理想気体の状態方程式からvan der Waalsの実在気体の状態方程式を導くことができる。
13週 実在気体の状態方程式Ⅱ van der Waalsの実在気体方程式を使って、各種気体の圧力、体積を求めることができる。
14週 混合気体の分圧 混合気体の分圧の計算ができる。
15週 前期期末試験 物質の状態に関連した問題を解くことができる。
16週 試験答案返却・解答解説 間違った問題の正答を求めることができる
後期
3rdQ
1週 熱と仕事 熱や仕事は移動するエネルギーであることを理解できる。状態量について説明できる。
2週 可逆過程と不可逆過程 系の状態を変化させる可逆過程、不可逆過程について説明できる。また、準静的過程について説明できる。
3週 内部エネルギーと熱と仕事 内部エネルギーと仕事と熱の関係について説明できる。
4週 熱力学第一法則(エネルギー保存則) 熱力学におけるエネルギー保存について説明できる。
5週 定積変化、定圧変化、等温変化、断熱変化 定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。
6週 理想気体の圧縮・膨張過程 理想気体の等温、定圧、定容および断熱変化の内部エネルギー、仕事、熱を計算することができる。
7週 エンタルピー エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。
8週 反応熱と標準生成エンタルピー 化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。エンタルピーの温度依存性を説明できる。
4thQ
9週 熱力学第二法則 Thomsonの原理とClausiusの原理について説明できる。
10週 エントロピーの導入 熱力学基本量として重要なエントロピーの概念について説明できる。
11週 エントロピーの変化 状態変化に伴うエントロピー変化を求めることができる。
12週 温度変化とエントロピー 相転移、温度変化に伴うエントロピー変化を求めることができる。
13週 化学反応とエントロピー 化学反応におけるエントロピー変化を計算できる。
14週 定積変化、定圧変化、等温変化、断熱変化 定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。
15週 学年末試験 熱力学第一法則および第二法則に関連した問題を解くことができる。
16週 試験答案返却・解答解説 間違った問題の正答を求めることができる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。4前2
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。4後12
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。4後3
気体の内部エネルギーについて説明できる。4後11
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。4後10
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。2
無機化学元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4前11
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前13
イオン結合と共有結合について説明できる。4前14
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4前14
金属結合の形成について理解できる。4
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4前16
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4後1
物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4後3
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。4後2
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。4後5
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。4後4
混合気体の分圧の計算ができる。4後7
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4前4
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。4前4
束一的性質を説明できる。4
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。4
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。4
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。4前4
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4後10
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4後13
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4後14
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4後14
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4後11
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4
平衡定数の温度依存性を計算できる。4
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4後11
化学工学SI単位への単位換算ができる。4前2

評価割合

試験小テスト課題態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90100000100
基礎的能力605000065
専門的能力305000035
分野横断的能力0000000