バイオ工学実験

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 バイオ工学実験
科目番号 0102 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 プリント
担当教員 小原 寿幸,藤本 寿々

到達目標

1. 微生物学・生化学・分子生物学分野の実験技術を説明することができる。
2. 微生物学・生化学・分子生物学分野の実験を行うことができる。
3. 実験結果から正しく考察することができ,報告書にまとめることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1微生物学・生化学・分子生物学分野の実験技術および注意点を明確に説明することができる。微生物学・生化学・分子生物学分野の実験技術を説明することができる。微生物学・生化学・分子生物学分野の実験技術を説明することができない。
評価項目2 微生物学・生化学・分子生物学分野の実験を目的に合わせて的確に行うことができる。 微生物学・生化学・分子生物学分野の実験を行うことができる。 微生物学・生化学・分子生物学分野の実験を行うことができない。
評価項目3実験結果から正しく考察することができ,報告書に論理的にまとめることができる。実験結果から考察することができ,報告書にまとめることができる。実験結果から正しく考察できず,報告書にまとめることができない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
 バイオテクノロジーを活用した研究において基礎となるのは,微生物学・生化学・分子生物学分野の実験技術である。本講義では,微生物の分離・培養・観察,微生物による物質生産,タンパク質定量による酵素活性,DNAの抽出と遺伝子診断などを通じて基礎的な実験技術を習得する。
授業の進め方・方法:
 初回に各種実験の基本操作について説明を行い,その後,4回に分けて7つの実験テーマに関するガイダンスを行う。このとき,操作手順や注意事項などを詳細に説明するので,操作をイメージながらしっかりとノートを取ること。また,実験当日は必ず実験目的や操作手順を予習し,実験をスムーズに行えるように準備しておくこと。
注意点:
・微生物の培養には無菌操作が伴うが,この操作では空気中や唾液からの菌が培養液に入り,コンタミネーション(異物混入)を起こすと実験結果に大きく影響する。よって,実験中の私語は慎み,迅速に操作を行うこと。
・授業時間以外に実験室に来て,培養シャーレ中の細菌の計数などを行う場合があるので,指導教員の指示をよく聞いておくこと。
 教育到達目標評価:レポート80%(A:10%, B:10% , E:40%, F:20%),無菌操作20%(B)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス(手順書配布,各種実験の基本操作の説明) 本講義の概要・目的・進め方を理解し,実験操作(無菌操作,顕微鏡操作,マイクロピペットの操作)を習得できる。
2週 ガイダンス(実験テーマ①説明)
実験①の前準備
実験テーマ①について,実験概要および操作方法が理解できる。
無菌操作により実験①に使う培養プレートを作成することができる。
3週 ガイダンス(実験テーマ②③説明)
実験①の前準備
実験テーマ②③について,実験概要および操作方法が理解できる。
無菌操作により実験①に使う4種の微生物を培地に接種することができる。
4週 全員一斉実験
実験①グラム染色と顕微鏡観察(コア)
細菌の一般的な分類基準であるグラム染色の方法と意義を理解できる。グラム染色の結果と細胞の形態から,細菌を分類することができる。
5週 ガイダンス(実験テーマ④⑤説明) 実験テーマ④⑤について,実験概要および操作方法が理解できる。
6週 ガイダンス(実験テーマ⑥⑦説明)
次週の実験の準備
実験テーマ⑥⑦について,実験概要および操作方法が理解できる。
7週 ローテーション実験 
実験②土壌中の細菌類とカビ類の分離
培地の特性を理解し,土壌中に含まれる細菌類(原核生物)とカビ類(真核生物)を分離することができる。増殖した細菌数・カビ数の測定方法を理解できる。
8週 実験③大腸菌に対する食品添加物の抗菌効果 大腸菌の培養実験を行い,増殖曲線の作成および世代時間の計算,食品添加物の抗菌効果を検証することができる。
4thQ
9週 実験④固定化酵母によるアルコール発酵 酵母を固定化し,バイオリアクターで実際に発酵試験を行うことができる。
10週 実験⑤食品に含まれるタンパク質分解酵素の定量 食品に含まれる酵素の抽出と精製,Bradford法によるタンパク質定量,酵素反応の反応速度から酵素活性の定量ができる。
11週 実験⑥DNAの抽出と定量 DNAの基本的な性質を理解し,生体細胞からDNAを抽出・精製および定量することができる。
12週 実験⑦DNA分析による加工食品の肉種判別検査 PCR法の原理を理解し,電気泳動で得られた結果から,加工食品に含まれる肉種を推定することができる。
13週 無菌操作実技試験,再実験
前回の実験の続き
無菌操作を正確に行うことができる。
14週 実験器具の片付け
レポート提出・指導
実験結果から文献を引用して考察し,レポートを作成することができる。
15週 レポート指導 添削して返却されたレポートを見て,指摘された箇所の誤りを正すことができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。4後1
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。4後1
測定と測定値の取り扱いができる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
ガラス器具の取り扱いができる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
試薬の調製ができる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。4後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。4後4,後7,後8
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。4後7,後9
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。4後8
微生物の育種方法について説明できる。4後4,後7,後8,後9
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。4後4,後7,後8,後9
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。4後9
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4後4,後7
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4後4,後5,後7,後8
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4後10,後11
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4後10,後11
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4後12
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。4後10
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
事実をもとに論理や考察を展開できる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
目標の実現に向けて計画ができる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3後4,後7
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3後4,後7,後8,後9,後10,後11,後12

評価割合

試験発表相互評価態度無菌操作レポート合計
総合評価割合00002080100
基礎的能力000002020
専門的能力0000104050
分野横断的能力0000102030