生物化学

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 生物化学
科目番号 0104 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「理系なら知っておきたい生物の基本ノート生化学・分子生物学編」(山川喜輝著,KADOKAWA)
担当教員 藤本 寿々

到達目標

1. 生体を構成する要素とその機能,生体内での物質代謝に関わる酵素のはたらきについて説明できる。
2. ミカエリスメンテンの式を理解し,酵素の反応速度やターンオーバー数を求めることができる。
3. 動物・植物の同化反応(合成),異化反応(分解),エネルギー代謝について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生体の構成要素(糖質・脂質・タンパク質)について十分理解し,物質代謝に関わる酵素のはたらきを化学反応の点から説明できる。生体の構成要素(糖質・脂質・タンパク質)について理解し,物質代謝に関わる酵素のはたらきを説明できる。生体の構成要素(糖質・脂質・タンパク質)や物質代謝に関わる酵素のはたらきについて説明できない。
評価項目2ミカエリスメンテンの式からラインウィーバーバークの式を導くことができ,酵素の反応速度やターンオーバー数を求めることができる。ミカエリスメンテンの式を理解し,酵素の反応速度やターンオーバー数を求めることができる。ミカエリスメンテンの式を理解し,酵素の反応速度やターンオーバー数を求めることができない。
評価項目3動植物の同化反応,異化反応の過程でできる代謝物質の名称・化学式を理解し,エネルギー代謝についても説明できる。動植物の同化反応,異化反応の過程をおおまかに理解し,エネルギー代謝について説明できる。動植物の同化反応,異化反応の過程,エネルギー代謝について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
生物化学は,生命現象を化学の理論によって解明する学問である。生体はどのような物質から成り立っているか,それらの物質がどのようにして合成され分解されるか,それらの物質はどのような機能を生体中で営んでいるかについて理解し,生き物の化学について基礎的な知識を身に付ける。
授業の進め方・方法:
本講義では,生物体を構成する成分とそれぞれのはたらき,生物体内で行われている化学反応,代謝経路など,生物に関する基本的な内容について学習する。第3学年で履修した「生化学」の内容と密接に関連するので,十分に復習しておくこと。
定期試験は,授業で学習した内容からほとんど出題するので,授業中,真剣に取り組み,学習内容をしっかり定着させるよう努力すること。
注意点:
授業中の居眠り・携帯電話の使用・私語など,受講態度の悪い学生は減点とするので,十分に注意すること。
教育到達目標評価:定期試験60%(B),確認問題20%(B),課題20%(B)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 0.ガイダンス
1.人体(臓器・循環器系・消化器系)
学習内容の全体像・重要性について説明できる。
ヒトの体の基本的な構造,血液循環,食物の消化,栄養の吸収について説明できる。
2週 1.人体(泌尿器系・神経系) 腎臓のはたらき,神経系の分類,情報伝達物質とその受容体,能動輸送について説明できる。
3週 1.人体(内分泌系)
2.タンパク質
(1)生体をつくるタンパク質
ホルモンのはたらきとフィードバック制御による血糖値維持の仕組みについて説明できる。
生体を構成する成分と細胞小器官のはたらきについて説明できる。
4週 (2)タンパク質の構造
(3)いろいろなタンパク質
タンパク質を構成するアミノ酸の種類と側鎖の特徴,ペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。
タンパク質の高次構造について化学結合から説明できる。
生体ではたらくいろいろなタンパク質について説明できる。
5週 (4)タンパク質研究への応用例
2.酵素
(1)生体内の触媒=酵素
タンパク質関連の研究方法(定量,分子量による分離,アミノ酸配列決定,アミノ酸分析など)について説明できる。
酵素の定義,性質,構造,酵素-基質複合体,酵素の失活について説明できる。
6週 (2)酵素の反応速度 補酵素のはたらきを例示でき,水溶性ビタミンとの関係を説明できる。
酵素と基質の量的関係と反応速度の関係について理解できる。Michaelis-Menten式を用いて,酵素の反応速度を正確に算出できる。
7週     〃
(3)酵素活性(ターンオーバー数)
(4)酵素の阻害剤
酵素活性を計算で求めることができる。
酵素の阻害剤の影響について説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 試験答案返却・解答解説
酵素研究に関するビデオ鑑賞
間違った問題の正答を求めることができる。
酵素を用いた物質生産や化学合成に関する研究をまとめたビデオを鑑賞し,その内容を理解することができる。
10週 3.代謝
(1)同化と異化
(2)好気呼吸
同化と異化について説明でき,化学構造から生命活動におけるATPの役割を説明できる。
解糖系,クエン酸回路,電子伝達系の概要を説明できる。
呼吸基質が脂肪・タンパク質の場合の同化について説明できる。
11週 (3)嫌気呼吸(発酵・解糖)
(4)呼吸商
微生物と筋肉における嫌気呼吸の過程について説明できる。
呼吸商を算出し,呼吸基質の推定ができる。
12週     〃
    〃
13週 (5)光合成 光合成に関する初期研究と光合成色素のはたらきについて説明できる。
葉緑体とミトコンドリアの進化の説と細胞共生説について説明できる。
14週     〃 光化学反応と炭酸固定のしくみを理解し,光合成の概要を説明できる。
C4植物やCAM植物について説明できる。
15週 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 間違った問題の正答を求めることができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4前3
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4前3
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4前13
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4前9
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前5
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4前14
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4前2
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4前3
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4前2
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前4
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前3
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4前4
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前4
タンパク質の高次構造について説明できる。4前4
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4前5
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前5
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4前6
解糖系の概要を説明できる。4前9
クエン酸回路の概要を説明できる。4前9
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4前9
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4前11
各種の光合成色素の働きを説明できる。4前13
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4前13
炭酸固定の過程を説明できる。4前13

評価割合

試験確認問題相互評価態度課題その他合計
総合評価割合602000200100
基礎的能力2000010030
専門的能力40200010070
分野横断的能力0000000