分子生物学

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 分子生物学
科目番号 0177 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「理系なら知っておきたい生物の基本ノート生化学・分子生物学編」(山川喜輝著,KADOKAWA)
担当教員 藤本 寿々

到達目標

1. DNAの構造と機能,複製,転写,翻訳の過程について説明できる。
2. 遺伝子工学に用いられている技術について説明できる。
3. 体内における免疫反応について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1DNAの構造と機能,複製,転写,翻訳の過程について詳細に説明できる。DNAの構造と機能,複製,転写,翻訳の過程について大まかに説明できる。DNAの構造と機能,複製,転写,翻訳の過程について説明できない。
評価項目2遺伝子工学に用いられている技術について操作手順も合わせて説明できる。遺伝子工学に用いられている技術について大まかに説明できる。遺伝子工学に用いられている技術について説明できない。
評価項目3体内における免疫反応について,細胞学的・分子学的に説明できる。体内における免疫反応について説明できる。体内における免疫反応について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 生物はDNAに刻まれた遺伝情報を利用してタンパク質を合成し,生命活動を営んでいる。本講義では,遺伝物質がDNAであることを解明した歴史的研究,遺伝子の構造と機能,遺伝情報の発現の過程を履修し,分子生物学の概要を習得することを目的とする。また,講義で扱う遺伝子組み換えや再生医療等のテーマを通じて,分子生物学における倫理面についても考える。さらに,体内での免疫反応についても履修する。
授業の進め方・方法:
 講義は教科書をもとに,配布プリントで進める。「分子生物学」という研究分野は研究の進展が著しく,発展的な内容も含まれるが,学習内容をもとにして,身近な生命現象や昨今の生命科学技術について,科学的な見地から解釈・判断・評価できるようになってもらいたい。定期試験は,授業で学習した内容からほとんど出題するので,授業中,真剣に取り組み,学習内容をしっかり定着させるよう努力すること。
注意点:
また,授業中の居眠り・携帯電話の使用・私語など,受講態度の悪い学生は減点とするので,十分に注意すること。
教育到達目標評価:定期試験80%(B),課題20%(B)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 0.ガイダンス
1.遺伝子の基礎
(1) メンデルの法則と遺伝子の発見
本科目の全体像・重要性について説明できる。
生物の本質は遺伝にあることを説明できる。
2週 (2) 遺伝子の実体(形質転換)
(3) 情報高分子DNAの構造
遺伝物質がDNAであることを示した初期研究を説明できる。
DNAの分子構造を詳細に説明できる。
3週 (4) DNAはどのように存在するか 真核生物と原核生物におけるDNAの存在の仕方の違いを説明できる。
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。
細胞分裂時の細胞周期について説明できる。
4週 (5) DNAの複製
(6) DNA合成のエネルギー
DNAの半保存的複製について説明できる。
DNA複製に必要なエネルギーの供給方法を説明できる。
5週 2.タンパク質の合成
(1) 転写と翻訳
(2) 転写の開始と終了
DNAの転写と翻訳の過程を説明できる。
プロモーター・ターミネーターについて説明できる。
6週 (3) 原核細胞の転写・翻訳
(4) タンパク質は翻訳後にどうなるか
真核細胞と原核細胞の転写・翻訳の違いを説明できる。
タンパク質の翻訳後修飾について説明できる。
7週 (5) 遺伝子の異常
(6) 分子時計
遺伝子の突然変異,遺伝病について説明できる。
遺伝子変異から生物の分岐年代を推定できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 試験答案返却・解答解説
分子生物学に関する最新研究のビデオ鑑賞
間違った問題の正答を求めることができる。
分子生物学の最新の研究事例に触れ,自分の考えを文章にすることができる。
10週 3.発生と分化
(1) 発生過程における誘導と誘導物質
(2) 再生医療への可能性
発生過程と分化・誘導過程を説明できる。
再生医療に使われる各種幹細胞と倫理的問題を説明できる。
11週 (3) 遺伝子のスイッチ
4.遺伝子工学
(1) 遺伝子工学の技術
複数の遺伝子群を同時に制御するオペロン説を説明することができる。
DNA抽出法,PCR法の概要を説明することができる。
12週 (2) 遺伝子組み換え 遺伝子組み換え技術の概要および遺伝子組み換え技術を用いた微生物による有用物質の大量生産法について説明できる。
ゲノム編集および塩基配列決定の原理を説明できる。
13週 5.分子から見た免疫
(1) 免疫のしくみ
血液成分のはたらきを説明できる。
細胞性免疫・体液性免疫による生体防御のしくみについて説明できる。
14週 (2) 抗体 アレルギーを免疫のしくみから説明できる。
抗体の構造,多様性を生むしくみ,拒絶反応について説明できる。
15週 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 間違った問題の正答を求めることができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4後2,後5
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4後5
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。4後3
細胞周期について説明できる。4後3
分化について説明できる。4後10
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4後3
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4後13,後14
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4後2
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4後2
ヌクレオチドの構造を説明できる。4後2
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4後2,後4
DNAの半保存的複製を説明できる。4後4
RNAの種類と働きを列記できる。4後5
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4後5
生物工学抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。4後12

評価割合

試験発表相互評価態度課題その他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力5000010060
専門的能力3000010040
分野横断的能力000減点000