物理化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 物理化学Ⅲ
科目番号 0180 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質環境工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 基礎物理化学(勝木明夫ら著)(三共出版)、自作プリント
担当教員 小原 寿幸,阿部 勝正

到達目標

1.化学反応速度とはどのようなものか説明できる。
2.化学反応速度を理論的に予測し、実験データを用いて反応解析をすることができる。
3.原子核反応と放射線について物理化学的立場から説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1化学反応速度について、その定義、解析方法を説明できる。化学反応速度の定義について説明できる。左記ができない。
評価項目2化学反応速度を理論的に予測し、実験データを用いて反応解析をすることができる。教科書を見ながらであれば、化学反応速度を理論的に予測し、実験データを用いて反応解析をすることができる。左記ができない。
評価項目3原子核反応と放射線について物理化学的立場から説明できる。教科書を見ながらであれば、原子核反応と放射線について物理化学的立場から説明できる。左記ができない。

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義では、物理化学の重要な一分野である化学反応速度論を、①反応速度を理論的に予測することを目的とする反応速度理論、②反応速度と反応条件を測定して反応機構を調べる実験的反応速度論を中心に学び、化学反応の研究に必要な速度論的解析を行うために重要な基礎的知識を習得することを目的とする。また、放射線を作り出す原子核に関わる反応、放射線の種類と性質を説明できるようになること等を通じて、原子核反応と放射線についての基礎的知識を学ぶ。
授業の進め方・方法:
物理化学は基礎的理論であり、物質の化学変化に対する一般的法則を与えるものである。法則であるからには多少とも数学的表現を用いなければならないが、出来るだけ平易に時間をかけて講義するので、授業中のノート作成や復習を十分に行うこと。特に、「化学反応速度論」は「平衡論」や「量子論」と並んで、化学・物質環境工学の重要な柱であるので、興味を持って学習して貰いたい。
注意点:
自分で演習問題を解くことが理解を一層強めるために極めて有効であるので、章末の演習問題を解くことを勧める。また、原著に挑戦することも意義のあることである。

評価は定期試験100%とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
1化学反応速度
9.1 反応速度とは
化学反応速度について説明できる。
2週 1.2速度論の実験的方法 反応系と生成系の濃度を追跡する方法を理解できる。反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。
3週 1.3反応速度定数、反応次数の概念 反応速度定数、反応次数と全次数の意義を説明できる。
4週 1.4 速度式の解釈 1次および2次反応の微分型および積分形速度式を導くことができる。半減期を求めることができる。
5週 1.5複雑な反応 速度定数の温度依存性に関するArrheniusの式の意味を理解し、説明できる。
6週 2.1反応の解析Ⅰ 反応に関する物質の半減期の定義ができる。連続反応、可逆反応、併発反応を説明できる。
7週 2.2反応の解析Ⅱ 速度論スキームを簡単にするための定常状態の近似ができる。律速段階近似を理解できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 試験返却・解答解説等
2.3反応速度の理論
10.1 気相反応の衝突理論
問題の解答解説を通して自分の間違った箇所を理解する。気相反応の衝突理論について理解できる。。
10週 2.4反応速度の活性錯合体理論 活性錯合体理論を反応座標と遷移状態を用いて定式化することができる
11週 2.4 熱力学を使った活性錯合体 衝突理論の活性化エントロピーによる解釈の方法を理解できる。
12週 3 原子核反応と放射線
3.11 放射線の種類とその性質
放射線の種類と性質を説明できる。
13週 3..2 放射性元素の半減期と安定性 放射性元素の半減期と安定性を説明できる。年代測定の例として、C14による時代考証ができる。
14週 3.3 核分裂と核融合 核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。
15週 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 ・間違った問題の正答を求めることができる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。4前7
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学放射線の種類と性質を説明できる。4前12,前13
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。4前13
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。4前13
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。4前14
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。4前2
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。4前3
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。4前4
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。4前6
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。4前7

評価割合

試験小テスト課題態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合702010000100
基礎的能力5015700072
専門的能力205300028
分野横断的能力0000000