シミュレーション工学

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 シミュレーション工学
科目番号 0030 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 テキスト,教材用として適時プリントを配布する
担当教員 森田 孝

到達目標

1. シミュレーションを行う意義と差分法における差分の意味を理解できる。(B-2)
2. 2階微分方程式の数値解について差分法を用いて求めることができる。(B-2)
3. 熱伝導,拡散現象を表す微分方程式を差分法により定式化について理解できる。(B-2)
4. 差分法を用いた2次元熱伝導シミュレーションのプログラムを作成,実行できる。(C-2)
5. FDTD法の定式化とプログラムを理解し,2次元電磁界シミュレーションを実行できる。(C-2)
6. シミュレーション結果について,コンピュータを活用してデータ処理し,視覚的に表現できる。(C-2)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1シミュレーションを行う意義と差分法における差分の意味を理解し,他の手法と比較できるシミュレーションを行う意義と差分法における差分の意味を理解できるシミュレーションを行う意義と差分法における差分の意味を理解できない
評価項目22階微分方程式の数値解について差分法を用いて求め,結果について考察できる2階微分方程式の数値解について差分法を用いて求めることができる2階微分方程式の数値解について差分法を用いて求めることができない
評価項目3熱伝導,拡散現象を表す微分方程式を差分法による定式化について理解し,自ら式を導出することができる熱伝導,拡散現象を表す微分方程式を差分法による定式化について理解できる熱伝導,拡散現象を表す微分方程式を差分法による定式化について理解できない
評価項目4差分法を用いた2次元熱伝導シミュレーションのプログラムを作成,実行し,具体的課題に適用できる差分法を用いた2次元熱伝導シミュレーションのプログラムを作成,実行できる差分法を用いた2次元熱伝導シミュレーションのプログラムを作成,実行できない
評価項目5FDTD法の定式化とプログラムを理解し,2次元電磁界シミュレーションを具体的課題に適用できるFDTD法の定式化とプログラムを理解し,2次元電磁界シミュレーションを実行できるFDTD法の定式化とプログラムを理解し,2次元電磁界シミュレーションを実行できない
評価項目6シミュレーション結果について,コンピュータを活用してデータ処理し,効果的な視覚的表現ができるシミュレーション結果について,コンピュータを活用してデータ処理し,視覚的に表現できるシミュレーション結果について,コンピュータを活用してデータ処理し,視覚的に表現できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 B-2 説明 閉じる
学習・教育到達目標 C-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
現在,気象,海洋,構造解析,電磁界などの分野において,様々な予測や設計に用いられているシミュレーション技術は,コンピュータを用いた数値的解析方法を応用した数値実験として理解することができる。実際に設計等に有効活用(C-2)するには,結果の視覚的表現手法も重要な技術となる。そこで本授業では,以下のシミュレーション手法に関する基礎知識の理解(B-2)と情報技術(数値解析、データの計算処理,グラフ化)(C-2)の活用法について実践的な演習課題を通じて修得する。
授業の進め方・方法:
本授業では,講義で説明した内容を,演習問題を解いたり,演習課題に取り組んだりしながら,実践的なシミュレーション技術について,より理解を深めながら進めていく。演習課題は5回あり,基礎となる差分法を用いた微分方程式の解法から,具体的な熱伝導問題,さらには差分法をベースとしたFDTD法を用いた基本的な電磁波伝搬の計算にも取り組む。試験については期末試験1回のみ実施する。
注意点:
シミュレーション手法は単なる微分方程式の数値計算手法ではなく,実験式等では解析できない複雑な自然現象をコンピュータ上に実験装置として再現する手法だということを十分理解して学習を進めるとよい。
① 演習または課題において,実際にC言語でプログラムを書いて計算を行うので,簡単なプログラミングの作成,実行するスキルが必要である。プログラミングができないと演習,課題をこなすことが困難である。
② シミュレーション結果データの計算処理やグラフ化を行うため,Excelの基本的なスキルが必要である。
「生産システム工学専攻」学習・教育到達目標の評価:
  期末試験(B-2)(50%),5回の課題(10%☓5回)(B-2:40%,C-2:60%)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業のガイダンス
シミュレーション手法について
授業の概要と評価法,シミュレーション手法の有効性を理解する
2週 差分の定義と微分への応用 微分形式を差分式により定式化できる
3週 微分方程式の差分法による数値解析 2階微分方程式を差分で定式化して数値的に解ける(課題1)
4週 水時計の水位変化の逐次計算法 基本的な逐次計算を水時計の水位変化に応用できる
5週 水位の差に比例した水の移動の計算法 水の移動に関する基本的な問題を定式化できる
6週 シミュレーション演習 水位変化についてシミュレーションを実行し,結果をグラフで表現できる(課題2)
7週 1次元熱伝導方程式の導出と差分化 1次元熱伝導方程式を導き,その方程式を差分化することができる
8週 2次元の拡散方程式の差分化(時間応答手法) 2次元の拡散方程式を実際の現象と関係づけて理解し,その差分法による定式化を理解できる
2ndQ
9週 熱伝導のシミュレーション演習 熱伝導についてプログラムを作成して実行し,レポートにまとめることができる(課題3)
10週 2次元のラプラスの方程式の定式化 2次元の熱伝導におけるラプラス方程式を導出できる
11週 差分法における誤差について 差分法において発生する誤差について理解できる
12週 シミュレーション演習 2次元の熱伝導において,具体的な問題に対してプログラムを作成して実行し,レポートにまとめることができる(課題4)
13週 FDTD法(差分時間領域法)の基礎 FDTD法(差分時間領域法)の電磁界モデルと定式化について理解できる
14週 FDTD法(差分時間領域法)のプログラミング演習 FDTD法のプログラムを理解し,基本的なシミュレーションができる
15週 FDTD法を用いた具体的課題についての演習 電磁界の具体的課題についてFDTD法を用いてシミュレーションを実行し,レポートにまとめることができる(課題5)
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野プログラミング与えられた問題に対して、それを解決するためのソースプログラムを記述できる。5
要求仕様に従って、いずれかの手法により動作するプログラムを設計することができる。5
情報数学・情報理論コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。5

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合50500000100
基礎的能力0000000
専門的能力50500000100
分野横断的能力0000000