生物化学特講

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 生物化学特講
科目番号 0019 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質環境工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「生物の基本ノート生化学・分子生物学編」(山川喜輝著 中経出版)
担当教員 藤本 寿々

到達目標

1. 生体を構成する要素とその機能,生体内での物質代謝に関わる酵素のはたらきについて説明できる。
2. 動物・植物の同化反応(合成),異化反応(分解),エネルギー代謝について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生体の構成要素(糖質・脂質・タンパク質)について十分理解し,物質代謝に関わる酵素のはたらきを化学反応の点から説明できる。生体の構成要素(糖質・脂質・タンパク質)について理解し,物質代謝に関わる酵素のはたらきを説明できる。生体の構成要素(糖質・脂質・タンパク質)や物質代謝に関わる酵素のはたらきについて説明できない。
評価項目2動植物の同化反応,異化反応の過程でできる代謝物質の名称・化学式を理解し,エネルギー代謝についても説明できる。動植物の同化反応,異化反応の過程をおおまかに理解し,エネルギー代謝について説明できる。動植物の同化反応,異化反応の過程,エネルギー代謝について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生物化学は,生命現象を化学の理論によって解明する学問である。生体はどのような物質から成り立っているか,それらの物質がどのようにして合成され分解されるか,それらの物質はどのような機能を生体中で営んでいるかについて理解し,生き物の化学について基礎的な知識を身に付ける。
授業の進め方・方法:
本講義では,生物体を構成する成分とそれぞれのはたらき,生物体内で行われている化学反応,代謝経路など,生物に関する基本的な内容について学習する。第3学年で履修した「生化学」の内容と密接に関連するので,十分に復習しておくこと。
定期試験は,授業で学習した内容からほとんど出題するので,授業中,真剣に取り組み,学習内容をしっかり定着させるよう努力すること。
注意点:
授業中の居眠り・携帯電話の使用・私語など,受講態度の悪い学生は減点とするので,十分に注意すること。
※「物質環境工学専攻」学習・教育到達目標の評価:中間試験(B-2) (35%),期末試験(B-2) (35%) ,課題(B-2) (20%),発表(B-2) (10%)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 0.ガイダンス
1.タンパク質
(1)生体をつくるタンパク質
学習内容の全体像・重要性について説明できる。
ヒトの体の基本的な構造について説明できる。
生体を構成する成分と細胞小器官のはたらきについて説明できる。
2週 (2)タンパク質の構造 タンパク質を構成するアミノ酸の種類と側鎖の特徴,ペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。
タンパク質研究の分析方法について説明できる。
3週 (3)いろいろなタンパク質 タンパク質の高次構造について化学結合から説明できる。生体ではたらくいろいろなタンパク質について説明できる。
4週 (4)細胞膜上のタンパク質
(5)フィードバック制御による恒常性の維持
細胞膜上に存在するタンパク質のはたらきと物質輸送による恒常性について説明できる。
フィードバック制御による血糖値維持の仕組みについて説明できる。
5週 2.酵素
(1)生体内の触媒=酵素
(2)酵素の反応速度
酵素の定義,性質,構造,酵素-基質複合体,酵素活性の調節について説明できる。
酵素と基質の量的関係と反応速度の関係について理解できる。Michaelis-Menten式を用いて,酵素の反応速度を正確に算出できる。
6週 (3)食物と栄養 補酵素のはたらきを例示でき,水溶性ビタミンとの関係を説明できる。酵素の阻害剤の影響について説明できる。
食物の消化と栄養分の吸収について説明できる。
7週 3.代謝
(1)同化と異化、生体エネルギー物質
(2)反応の共役
同化と異化について説明でき,化学構造から生命活動におけるATPの役割を説明できる。物質代謝とエネルギー代謝における反応の共役について説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 試験答案返却・解答解説
(3)好気呼吸
間違った問題の正答を求めることができる。
解糖系とクエン酸回路の概要を説明できる。
10週
電子伝達系におけるATP合成を説明できる。
呼吸基質が脂肪・タンパク質の場合の同化について説明できる。
11週 (4)呼吸商
(5)嫌気呼吸(発酵・解糖)
呼吸商を算出し,呼吸基質の推定ができる。
微生物と筋肉における嫌気呼吸の過程について説明できる。
12週 (6)光合成 光合成に関する初期研究と光合成色素のはたらきについて説明できる。
葉緑体とミトコンドリアの進化の説と細胞共生説について説明できる。
13週 光化学反応と炭酸固定のしくみを理解し,光合成の概要を説明できる。
14週 (7)窒素同化 窒素同化と窒素固定について説明できる。
15週 プレゼンテーション 「生物化学」に関連するトピックに関するプレゼンテーションを行うことができる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4前1
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4前1
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4前7,前10,前13
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前5,前9,前10,前11,前13
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4前9,前10,前13
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4前4
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4前4
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前2
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前3
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前3
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4前2
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前2
タンパク質の高次構造について説明できる。4前3
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4前5
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前5
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4前6
解糖系の概要を説明できる。4前9
クエン酸回路の概要を説明できる。4前9
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4前10
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4前11
各種の光合成色素の働きを説明できる。4前12
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4前13
炭酸固定の過程を説明できる。4前13

評価割合

試験発表相互評価態度課題その他合計
総合評価割合701000200100
基礎的能力4000010050
専門的能力3050010045
分野横断的能力050減点005