材料力学Ⅰ

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 材料力学Ⅰ
科目番号 0023 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 創造工学科(機械系共通科目) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 台丸谷政志,小林秀敏著,基礎から学ぶ材料力学,森北出版
担当教員 浅見 廣樹

到達目標

1) 応力,ひずみの定義と,フックの法則を式で表わすことができる.棒に荷重,熱が加わった場合の応力,ひずみ,変形の理論式を誘導し,計算できる.応力と材料の強度を比較し,安全率を考慮して部材の断面積を決定できる.
2) せん断,捩りモーメントに対するせん断応力,せん断ひずみの理論式を誘導し計算できる.要求される伝達トルク,材料強度,安全率から伝動軸に生ずるせん断応力と必要な直径を計算できる.
3) 車が通過する橋,荷を吊り上げるクレーン,揚力を受ける翼,荷重を伝える歯車などをはりにモデル化できる.はりに作用する荷重から求める曲げモーメントとはりの断面形状から求める断面二次モーメントから,曲げ応力の理論式を誘導し計算できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 応力,ひずみの定義と,フックの法則を式で表わすことができるか.棒に荷重,熱が加わった場合の応力,ひずみ,変形の理論式を誘導し,計算できるか.応力と材料の強度を比較し,安全率を考慮して部材の断面積を決定できるか.断面が変化する棒や自重を考慮しなければいけない棒の計算を設計に応用できる.不静定問題について応力や熱応力,変位が計算できる.断面が変化する棒や自重を考慮しなければいけない棒において応力とひずみの理解ができる.不静定問題について条件式からの計算方法を理解している.面が変化する棒や自重を考慮しなければいけない棒において応力とひずみの計算方法を理解していない.不静定問題において力のつり合い式と変位の条件式がたてられない.
評価項目2 せん断,捩りモーメントに対するせん断応力,せん断ひずみの理論式を誘導し計算できるか.要求される伝達トルク,材料強度,安全率から伝動軸に生ずるせん断応力と必要な直径を計算できるか.棒のねじりについての計算を設計に応用できる.棒のねじりについてせん断応力およびねじれ角が計算できる.棒のねじりについてせん断応力およびねじれ角の計算方法を理解していない.
評価項目3 種々の実機をはりにモデル化できるか.はりに作用する荷重から求める曲げモーメントとはりの断面形状から求める断面二次モーメントから,曲げ応力の理論式を誘導し計算できるか.複数の荷重が作用するはりの曲げにおいてせん断力や曲げモーメントの式を求め,S.F.D.やB.M.D.が作成できる.各種断面の図心や断面二次モーメントが計算できる.曲げ応力の理論式を誘導し計算できる.単純なはりの曲げにおいてせん断力や曲げモーメントの式を求め,S.F.D.やB.M.D.が作成できる.各種断面の図心断面二次モーメントの計算方法を理解している.曲げ応力が計算できる.はりの曲げにおいてせん断力や曲げモーメントの式の求め方を理解していない.各種断面の図心断面二次モーメントの計算方法を理解していない.曲げ応力の計算ができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料の強度計算や機械的特性などの機械設計においての基礎知識を習得する.また,設計や材料試験における力学計算,データの読みとりなどの基礎技術を身につける.これらの知識を機械の専門分野の中で提要できることを到達レベルとする.
授業の進め方・方法:
機械設計の基礎となる材料力学の高度な専門知識を習得するために,この学年では理論としての基礎知識と力学計算の演習を通して学習します.材料力学では一般的に文字による理論式に数値を代入して計算を行います.
注意点:
式を覚えるだけでなくその理論を理解するようにしてください.2年生の「工業力学」や「物理」で修得した力学的知識を前提として話が進むため,それらの内容を復習しておく必要があります.
また,各授業内容が継続的な内容となるため,各回の授業内容についてしっかり復習することが必要です.
今年度の前期については定期試験を実施せず,2回の達成度確認試験の評価点を50%,授業ごとに課すCBT課題の評価点を50%として,100点法で評価する.
後期については,達成度確認試験の評価点を20%,定期試験の評価点を70%,課題評価点を10%として,100点法で評価する.
最終成績は前期評価点と後期評価点の平均とし,合格点は60点とする.なお,状況により再評価のための再試験等を行うことがある.
再評価においては,再試験の点数が60点以上,あるいは再試験点数の90%を試験評価点の点数と置き換えた際に評価点が60点を超えた場合に,学年末評価点を60点とする.
再評価において,上記の条件に該当しなかった場合,再評価前の評価点と再試験点数の90%を試験評価点と置き換えた場合の双方を比較し,高い方を学年末評価点とする.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 材料力学総説
応力とひずみⅠ
科目の概要について理解できる.
応力とひずみの定義を理解して計算できる.
2週 応力とひずみⅡ 応力とひずみの定義を理解して計算できる.
フックの法則およびポアソン比について理解して計算することができる.
3週 応力とひずみⅢ 変断面を持つ棒についての応力,変形が,微小部を考えることにより計算できる.
4週 組合せ棒の応力と変形 トラスの節点変位を変位図から求めることができる.
5週 熱応力と不静定問題 熱応力の発生メカニズムを理解して,説明でき,問題を解くことができる.
不静定問題について理解することができる.
6週 不静定問題Ⅱ 不静定問題について理解して,説明でき,問題を解くことができる.
7週 不静定問題Ⅲ 不静定問題について理解して,説明でき,問題を解くことができる.
8週 達成度確認試験 引張応力とひずみについて理解し,これに関連したトラスや熱応力に関する静定・不静定問題を解くことができる.
2ndQ
9週 安全率
せん断応力とせん断ひずみ
安全率と許容応力の概念を理解でき,安全率を考慮した問題を解くことができる.
剪断応力と剪断ひずみの定義を理解し,計算することができる.
10週 せん断応力とせん断ひずみⅡ
丸棒の捩りⅠ
体積弾性率,縦弾性係数,横弾性係数の関係について理解できる.
丸棒の捩りによって生じる剪断応力について理解でき,計算することができる.
11週 丸棒の捩りⅡ 断面二次極モーメントについて理解し,これを用いて剪断変形に伴う剪断応力や捩り角を計算することができる.
12週 丸棒の捩りⅢ 伝動軸についての考え方を理解することができる.不静定引張圧縮部材との類似性を理解できる.
13週 達成度確認試験 剪断変形と捩り変形に伴う応力とひずみについて理解し,これに関連した静定・不静定問題を解くことができる.
14週 はりの剪断力と曲げモーメントI はりの種類について理解できる.
片持ち梁の剪断力と曲げモーメントの求め方を理解でき,SFDとBMDを描くことができる.
15週 はりの剪断力と曲げモーメントⅡ 両端支持梁の剪断力と曲げモーメントの求め方を理解でき,SFDとBMDを描くことができる.
16週
後期
3rdQ
1週 はりの剪断力と曲げモーメントⅢ 不等分布荷重により生じる梁の剪断力と曲げモーメントの求め方を理解でき,SFDとBMDを描くことができる.
2週 はりのせん断力と曲げモーメントⅣ 不等分布荷重により生じる梁の剪断力と曲げモーメントの求め方を理解でき,SFDとBMDを描くことができる.
突出し梁の剪断力と曲げモーメントの求め方を理解でき,SFDとBMDを描くことができる.
3週 はりのせん断力と曲げモーメントⅤ 集中曲げモーメントの生じる梁の剪断力と曲げモーメントの求め方を理解でき,SFDとBMDを描くことができる.
4週 達成度確認試験 様々な形で荷重が生じた際の,梁の剪断力と曲げモーメントを計算でき,SFDとBMDとして示すことができる.
5週 はりの曲げ応力Ⅰ 曲げモーメント際に梁断面に生じる梁の曲げ応力について理解できる.
6週 はりの曲げ応力Ⅱ 断面一次モーメントと断面二次モーメントの定義について理解することができる.
断面二次モーメントを求め,梁に生じる曲げ応力を計算することができる.
7週 はりの曲げ応力Ⅲ 様々な断面形状の断面二次モーメントの求め方について理解できる.
断面二次モーメントを求め,梁に生じる曲げ応力を計算することができる.
8週 はりの曲げ応力Ⅳ 様々な断面形状の断面二次モーメントの求め方について理解でき,計算することができる.
4thQ
9週 はりの曲げ応力Ⅴ 様々な断面形状の断面二次モーメントの求め方について理解でき,計算することができる.
様々な断面形状の梁について,曲げにより生じる最大引張応力と最大圧縮応力を求めることができる.
10週 達成度確認試験 様々な断面形状の梁について,断面二次モーメントを求め,梁に働く曲げモーメントにより生じる曲げ応力を計算することができる.
11週 荷重,剪断力,曲げモーメントの関係について 各値を座標xの関数として表したとき,微分積分の関係が成り立つことを理解できる.
12週 梁の剪断応力 梁に働く剪断応力について理解でき,最大剪断応力を計算することができる.
13週 梁のたわみⅠ 梁のたわみの微分方程式について理解できる.
14週 梁のたわみⅡ 片持ち梁に生じるはりのたわみ角とたわみ曲線について理解でき,求めることができる.
15週 梁のたわみⅢ 両端支持梁に生じるはりのたわみ角とたわみ曲線について理解でき,求めることができる.
16週 後期定期試験 これまでの内容について総合的に理解し計算できる.

評価割合

定期試験達成度評価試験課題合計
総合評価割合353530100
基礎的能力55515
専門的能力30302585
分野横断的能力0000