高分子化学

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 高分子化学
科目番号 0044 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学科(応用化学・生物系共通科目) 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 蒲地幹治,三訂 高分子化学入門-高分子の面白さはどこからくるか(株)エヌ・ティー・エス/中條善樹,中 健介著 化学マスター講座「高分子化学 合成編」丸善出版/西久保 忠臣 編,ベーシックマスター 高分子化学,オーム社,井上祥平・堀江一之編「高分子化学-基礎と応用-第3版」東京化学同人,井上祥平 著「はじめての高分子化学」化学同人,大津隆行著「改訂高分子合成の化学」化学同人,高分子学会編「高分子科学の基礎(第二版)」東京化学同人,高分子学会編「高分子科学実験法」東京化学同人,高分子学会編「高分子 One Point シリーズ」共立出版,荒井健一郎他著「わかりやすい高分子化学」三共出版,井上祥平著「高分子合成化学」化学新シリーズ 裳華房,山下雄也監修「物質工学講座高分子合成化学」東京電機大学出版局,遠藤剛他著「高分子合成化学」化学同人,Alan E. Tonelli with Mohan Srinivasarao, “Polymers from the InsideOut, An Introduction to Macromolecules”, Wiley-Interscience, 2001.,S. Asano, T. Aida, S. Inoue, J.Chem. Soc., Chem. Commun., 1148(1985),高分子学会編「高分子サンプル47選-身近な材料から先端材料まで-」東京化学同人,Alan E. Tonelli with Mohan Srinivasarao, “Polymers from the Inside Out, An Introduction toMacromolecules”, Wiley-Interscience, 2001.
担当教員 橋本 久穂

到達目標

高分子化合物は繊維,合成樹脂,ゴム,塗料などとして最も身近に利用されている重要なものであ
ることを認識し,高分子化合物と低分子化合物の差,特に物性の違い,合成法の違いなどの基礎知識
を持ち説明できる。
また,個々の高分子材料の特性を良く理解し材料を選択する立場に立ったときに,それぞれの目的
に合った適切な材料を選択できるようにするための基礎知識を持ち,実践できる能力を身に付ける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1身の回りにある高分子材料を列挙できる。有機化合物と高分子化合物の違いを説明できる。数平均,重量平均,Z 平均分子量を計算できる。分子量の測定法を示し,分子量分布について説明できる。身の回りにある高分子材料を列挙できる。有機化合物と高分子化合物の違いを概ね説明できる。数平均,重量平均,Z 平均分子量を計算できる。分子量の測定法を示し,分子量分布について概ね説明できる。身の回りにある高分子材料を列挙できない。有機化合物と高分子化合物の違いを説明できない。数平均,重量平均,Z 平均分子量を計算できない。分子量の測定法を示し,分子量分布について説明できない。
到達目標2重縮合系ポリマー,重付加系ポリマー,付加縮合系ポリマーを示し,その合成方法について説明できる.重縮合系ポリマー,重付加系ポリマー,付加縮合系ポリマーを示し,その合成方法について概ね説明できる.重縮合系ポリマー,重付加系ポリマー,付加縮合系ポリマーを示し,その合成方法について説明できない.
到達目標3ラジカル重合(共重合を含む),イオン重合,リビング重合,開環重合で合成されるポリマーを列挙し,その合成法を説明できる.ラジカル重合(共重合を含む),イオン重合,リビング重合,開環重合で合成されるポリマーを列挙し,その合成法を概ね説明できる.ラジカル重合(共重合を含む),イオン重合,リビング重合,開環重合で合成されるポリマーを列挙し,その合成法を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
座学の講義を中心に実際の高分子材料のサンプルを提示し,効果的に利用しながら教授する。
材料コースの学生は,材料工学実験とも関連させ理解を深めてほしい。
授業の進め方・方法:
次回講義の授業項目をシラバスで確認して,該当項目を教科書で予習すること。また,授業項目毎に演習課題を出すので,それをもとに自学自習により取り組むこと。演習課題は採点後,返却する。冬季休業中にレポートの作成を求める。レポートは添削・採点後に返却する。
定期試験では,達成目標に挙げた知識と能力が身についていることを,社会的に要求される水準(国際的な水準)以上の内容の問題の出題に十分に配慮した,試験で達成度評価を行う。
到達目標に関する内容の定期試験,中間試験,レポートにより総合評価する(定期試験60%,中間試験30%,レポート10%)。合格点は60点である。成績評価が60点未満の場合は再試験(全授業項目を出題範囲とする)を実施することがある。ただし,再試験の得点は上記の定期試験と中間試験の占める割合(90%)までとし,再試験を受けた者の成績評価は60点を超えないものとする。
注意点:
受講にあたってはノート,筆記用具,電卓・定規を準備すること。
自学自習時間として,日常の授業のための予習復習時間,理解を深めるための演習課題,および各試験の準備のための勉強時間を総合したものとする。60時間の自学自習時間が必要である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 高分子とは何か? 高分子の特性,高分子化学の歴史 身の回りにある高分子材料を列挙できる。有機化合物と高分子化合物の違いを説明できる。
2週 高分子の分類,重合反応の分類,高分子の将来 身の回りにある高分子材料を列挙できる。有機化合物と高分子化合物の違いを説明できる。
3週 重縮合の特徴,高分子の生成条件,重縮合の速度論 ナイロン,ポリエステルの合成反応を反応式で書き,原料モノマーの名称と構造式,重合反応の条件を説明できる。界面重縮合について実施方法を説明でき,この重合法の特徴を示せる。
4週 分子量を調節するには,分子量分布,交換反応,重縮合の方法 数平均,重量平均,Z 平均分子量を計算できる。分子量の測定法を示し,分子量分布について説明できる。
5週 縮合系高分子の例,エンジニアリングプラスチック 芳香族ポリアミド,ポリイミドの合成法と構造式を書き,何故,この様な構造が高強力,耐熱性に優れているか,分子構造との関係から解説できる。代表的なエンジニアリングプラスチックを列挙し,その用途についての例を示せる。
6週 重付加の特徴,重付加の例,付加縮合 重付加・付加縮合で合成される高分子化合物について反応式で示して説明できる。
7週 ラジカル重合とは,ラジカル重合の素反応(開始,成長,停止,連鎖移動反応),ラジカル重合
の速度論,重合度と移動定数
ラジカル重合する代表的なモノマーとこれから出来るポリマーの構造を列挙できる。開始剤の例をあげ,名称・構造,開始反応の反応機構を書き表すこと
ができる。4 種の素反応を想起でき,各反応の反応機構を記述して説明できる。
8週 ラジカル重合の方法(塊状,溶液,懸濁,乳化重合) ラジカル重合する代表的なモノマーとこれから出来るポリマーの構造を列挙できる。開始剤の例をあげ,名称・構造,開始反応の反応機構を書き表すこと
ができる。4 種の素反応を想起でき,各反応の反応機構を記述して説明できる。
4thQ
9週 ラジカル共重合とは,共重合組成曲線,Q−e スキーム,前末端モデル モノマー反応性比を理解し,共重合体の構造を予測できる。
10週 イオン重合の特徴,アニオン重合 イオン重合についてラジカル重合と同様の行動を実行できる。
11週 カチオン重合,リビング重合(論文使用),立体規則性重合 イオン重合についてラジカル重合と同様の行動を実行できる。
12週 遷移金属触媒重合(チグラー・ナッタ触媒,メタロセン触媒,メタセシス重合)
13週 開環重合の特徴,重合性,開環重合の例 開環重合するモノマーと開始剤を列挙することができる。ポリマーの構造規制についての基礎知識を述べることができる。
14週 高分子反応,特殊構造高分子 高分子反応について例示でき,説明できる。
15週 生体高分子,高分子と環境 生体高分子,高分子と環境問題について例示でき,説明できる。
16週 定期試験

評価割合

中間試験定期試験課題・レポート合計
総合評価割合306010100
基礎的能力0000
専門的能力306010100