弾性学

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 弾性学
科目番号 0016 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子・生産システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 自作プリント / Timoshenko,S.P. and Goodier,J.N., Theory of Elasticity, McGRAW-HILL
担当教員 澤田 知之,松尾 優子

到達目標

1) 設計,研究で遭遇する工学問題を認識し,弾性学の必要性を理解できる.
2) 応力,ひずみとそれらが満たすべき条件を理解できる.
3) 有限要素法の原理,工学問題への適用法,結果を理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1:弾性、応力成分、ひずみ成分を理解し、2次元及び3次元のフックの法則を理解・誘導できるか.各項目にある関する知識を正確に述べることができるか、またその基礎事項、原理、概念を理解して説明できる.各項目にある関する知識を正確に述べることができるか、またその基礎事項を説明できる.各項目にある関する知識を正確に述べることができない.
評価項目2:微小体積の力の釣合いから応力の平衡方程式を誘導できるか.直角座標系における応力の3次元の平衡方程式を誘導できる.直角座標系における応力の2次元平衡方程式を誘導できる.直角座標系における応力の平衡方程式を誘導できない.
評価項目3:変位ベクトルからひずみテンソルを誘導できるか.直角座標系における微小変形理論のひずみテンソルを誘導でき,その工学的意味を説明できる.直角座標系における微小変形理論のひずみテンソルを誘導できる.直角座標系における微小変形理論のひずみテンソルを誘導できない.
評価項目4:3次元2階のテンソル成分(m×n型行列)の座標変換をできるか.諸量(力,応力,変位,ひずみ成分)に加え平衡方程式を座標変換できる.与えられた座標系の諸量(力,応力,変位,ひずみ成分)を他の座標系の成分に変換できる.与えられた座標系の力,応力,変位,ひずみ成分を他の座標系の成分に変換できない.
評価項目5:仮想仕事の原理を説明し、式表示できるか. 仮想仕事の原理から最小ポテンシャルエネルギーの原理を導き,境界値問題との関係を説明できる. 仮想仕事の原理を説明し,外部仮想仕事から内部仮想仕事の式を誘導できる. 仮想仕事の原理を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 本科で材料力学や構造力学を履修したことのない学生も対象としているため,1次元弾性論の概要を序論とし,2次元・3次元弾性論への拡張を理解する. 研究,開発,設計に不可欠な解析力養成のためエネルギー原理とその有限要素法による弾性解析への適用に対する理解に重点を置く.まず微小要素に於ける力の釣り合いから応力の平衡方程式を誘導し説明する, 次に応力・ひずみなどのテンソル量を扱うためのテンソル解析を概括し,応力・ひずみの厳密な定義,構成式,ひずみエネルギー,仮想仕事の原理,最小ポテンシャルエネルギーの原理と境界値問題,有限要素法の原理を講義する.
授業の進め方・方法:
 弾性学は実際の設計で広く使用されている有限要素法を理解するために不可欠である.まず,構造力学や材料力学とは異なる観点から応力,ひずみを定義し,境界条件,平衡条件,適合条件,応力とひずみの関係,エネルギー原理,有限要素法の原理について講義する.また,応力解析,構造設計の実践力を養うため応力解析演習を行う.講義は板書を基本とし,理解を深めて解析力を養うため,基礎式や原理の誘導,展開などは課題とする.
この科目は学修単位科目のため,事前・事後学習として課題などを実施し、評価の対象とする.
注意点:
 物理,力学,線形代数,微分・積分,偏微分方程式,ベクトル解析の基礎知識が必要である.講義は基礎から始めるが,本科で学習した数学の知識を総合的に使用するので,理解には自学自習による基礎式の誘導,展開,例題解法が不可欠で,課題を課す.課題は添削して目標を達成したことを確認し,評価法に従って成績に反映する.
JABEE学習・教育到達目標評価 : 定期試験(D-4,E-2,F-1,60%),課題・演習等(D-4,E-2,F-1,40%)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 弾性学序論
1-1 弾性、応力成分、ひずみ成分 1-2 フックの法則
等質性、等方性という仮定に基づく弾性解が特に鋼構造物に良く合う点を理解し、2次元・3次元のフックの法則を説明できる.
2週 1-3 平面応力と平面ひずみ 解析条件の平面応力と平面ひずみを説明できる.
3週 1-4 つり合いの微分方程式 基本的な2次元弾性問題として取り上げるとき、そのつり合い式を誘導できる。また3次元の平衡方程式を説明できる。
4週 1-5 応力関数と境界条件と適合条件 調和関数又は重調和関数となる応力関数と境界条件と適合条件の関係を説明できる.
5週 1-6 直交座標における2次元問題 基本的な2次元弾性問題として取り上げるとき、そのつり合い式が説明できる.
6週 2-1 クロネッカーのδ(デルタ)、総和規約  テンソルを用いた表記法を理解し,クロネッカーのδ(デルタ)や交代記号の表記法及び総和規約を説明できる.
7週 2-2 スカラー,ベクトル,テンソル
2-3 商法則と縮約
テンソルを用いた表記法を理解し,クロネッカーのδ(デルタ)や交代記号の表記法及び総和規約を説明できる.
8週 2-4 応力
2-5 2次元平衡方程式
応力テンソルの定義を理解し,テンソルを用いた応力・平衡方程式を説明できる.
4thQ
9週 2-6 3次元平衡方程式
2-7 コーシーの関係
微小体積の力の釣合いから応力の平衡方程式を誘導できる.
10週 3-1 変形
3-2 ひずみ
変形の定義を理解し,ひずみテンソルを説明できる.
11週 3-3 ひずみの適合方程式
3-4 弾性材料と線形理論
ひずみテンソルとそれが満たすべき方程式(適合方程式)を誘導できる.
12週 3-4 変位で表した平衡方程式
3-5 応力で表した適合方程式
等方線形弾性材料の応力とひずみの関係を誘導できる.
13週 3-6 ひずみエネルギー
3-7 仮想仕事の原理
ひずみエネルギーを理解し,仮想仕事の原理を説明できる.
14週 3-8 有限要素法の原理
3-9 方程式の離散化と剛性方程式
仮想仕事の原理から有限要素法の剛性方程式が導かれることを理解し,説明できる.
15週 3-10 有限要素法による応力解析 基本的な構造物の応力解析ができる.
16週 定期試験

評価割合

試験課題相互評価授業態度・意欲ポートフォリオその他合計
総合評価割合602002000100
基礎的能力30100100050
専門的能力30100100050
分野横断的能力0000000