センサ工学

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 センサ工学
科目番号 0021 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子・生産システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 なし/自作プリント
担当教員 工藤 彰洋

到達目標

1)センサを使用するためには、センサの信号を必要な域まで増幅したり、不必要な信号成分を除去することが必要不可欠である。そのための電気回路における種々の法則や定理が理解でき、オペアンプの基本的な特性や特徴が理解できる。
2)種々のセンサについての動作原理や、物理と電気の入出力特性を理解するとともに、オペアンプなどの電子回路を加えて構成されるセンサ回路システムの動作が理解できる。
3)センサから得た電気信号をコンピュータに取り込むことで、より高度なセンサの信号処理が実現できるようになる。このために必要な標本化定理と種々のAD変換器の動作原理を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 電気電子回路に関する知識達成目標を超える電気電子回路に関する知識が身についている。達成目標に必要な電気電子回路に関する知識が身についている。達成目標に必要な電気電子回路に関する知識が身についていない。
評価項目2 各種センサに関する原理各種センサを理解し、その原理を説明できる。各種センサを概ね理解し、その原理を概ね説明できる。各種センサを理解し、その原理を説明できない。
評価項目3 センサ信号をコンピュータに取り込む原理センサから得た信号をコンピュータへ取り込むためのAD変換器の動作原理と基礎となる標本化定理が理解でき、標本化定理を満たすため工夫が理解できる。センサから得た信号をコンピュータへ取り込むためのAD変換器の動作原理と基礎となる標本化定理が理解できる。センサから得た信号をコンピュータへ取り込むためのAD変換器の動作原理と基礎となる標本化定理が理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
現在,高性能で安価なセンサがIoTの基盤として利活用されている。これらのセンサの動作原理を理解し、センサ周辺の回路システムについて理解を深めることは、ものづくりの幅を飛躍的に広げることから、今後ますます重要になると考えられる。
センサ工学やその技術を用いた新たなシステムの発想を醸成できるようセンサ工学に親しみを持ち、興味を持つことによって知識を広げていく。
授業の進め方・方法:
本講義では,センサの学習を始める前に、基本となる電気回路とオペアンプについて学ぶ。その後、種々のセンサの構成や動作原理について学び、それと同時に、電子回路と一体となったセンサシステムの動作について学ぶ。最後に、センサによる電気信号をコンピュータに取り込むための、AD変換器とその基礎となる標本化定理について学習する。講義は座学を中心として進める。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 オリエンテーション、電気回路の予備知識(電流源と電圧源、キルヒホッフの電流・電圧則、線形受動素子、実効値) センサを取り巻く学問の体系が理解できる。電流源と電圧源の内部抵抗や交換が理解できる。抵抗、コイル、コンデンサにおける電流と電圧の関係が理解できる。交流における実効値の意味が理解できる。
2週 電気回路の予備知識(テブナンの定理、分圧則・分流則、4端子回路網) 基本的な回路の諸定理が理解できる。回路の計算に便利な分圧則・分流則が理解できる。4端子回路網による、電流と電圧の入出力表現が理解できる。
3週 オペアンプの基本(端子、電源、差動増幅、応用例、仮想接地、GB積、スルーレート) オペアンプの基本的な特徴が理解できる。オペアンプの応用例が説明できる。オペアンプの性能指標が理解できる。
4週 オペアンプの基本回路(反転増幅回路、非反転増幅回路、ボルテージフォロア回路) オペアンプの基本的な増幅回路の式を立てて解くことで電圧増幅率の式を導くことができる。ボルテージフォロア回路の役割が理解できる。
5週 オペアンプの応用回路(フィルタ回路) オペアンプを用いた基本的なフィルタ回路(微分回路、積分回路)の電圧増幅率の式を導くことができる。
6週 センサ(電気センサ、磁気センサ、光センサ) 各種センサの動作原理とセンサを用いた回路システムの動作が理解できる。
7週 センサ(温度センサ、力センサ) 各種センサの動作原理とセンサを用いた回路システムの動作が理解できる。
8週 センサ(ガスセンサ、粒子センサ) 各種センサの動作原理とセンサを用いた回路システムの動作が理解できる。
4thQ
9週 センサ(マイクロホン、超音波センサ) 各種センサの動作原理とセンサを用いた回路システムの動作が理解できる。
10週 センサ回路製作実習 ウィーンブリッジ回路が製作できる。
11週 センサ回路製作実習 マイクロホン信号の増幅回路が製作できる。
12週 センサ回路製作実習 サーモパイルを用いた温度測定回路が製作できる。
13週 AD変換器の基本理論(予備知識) デルタ関数の積分や、インパルス列のフーリエ変換が計算できる。
14週 AD変換器の基本理論(標本化定理) 標本化定理を導くことができ、この定理を満たすための回路の工夫が説明できる。
15週 AD変換器(2重積分型、逐次比較型) 代表的なAD変換器である2重積分型AD変換器と逐次比較型AD変換器の動作原理が理解できる。
16週

評価割合

最終課題実習報告書授業中の演習問題合計
総合評価割合502030100
専門能力502030100