概要:
流体とは水や空気に代表される液体や気体がどのように流れたり,物体に作用することなどについて学ぶ学問である.流体工学は、機械系力学の基礎科目でもあり、現在、産業界のあらゆる範囲で活用される応用範囲の広い学問である。多くの演習・例題を取り入れ、計算力を養うことはもちろん,流体の自然科学の現象を理解する力を身につけて、基礎工学の知識を把握させる。さらにこの知識を基に応用力を付ける。
なお,この科目は企業で流体を用いる化学工学機器の研究開発を担当していた教員が,その経験を生かし,流体工学の必要性や重要性および力学的な取扱い方法などについて講義形式で授業を行うものである.
授業の進め方・方法:
授業は教科書に沿った自作のプリント配布し,プロジェクターを利用して行う.資料には空欄があり,プロジェクター見ながらそして話し聞きながら適宜必要なことを書き込んでいく.ほぼ毎回授業に沿った演習を別途配布する問題用紙で行う.演習の際には必要に応じ,グループを作りアクティブラーニング的に行うこともある.
合否判定:4回の定期試験(80%)と複数回の小テスト(20%)の平均点が60点以上を合格とする。
最終評価:4回の定期試験の平均×0.8+小テストの平均×0.2+課題評価(max10点)
なお,最終評価は100点を超えることはない.合格している者(合否判定で60点を超えているもの)は未提出のレポートがあっても60点以下の評価にはならない.再試験を受けて合格した者は課題評価による加点の対象とならな い.なお,再試験については前期末再試験のほか,学年末再試験を前期分と後期分に分けて実施する(後期末再試 験は行わない).ただし,各再試験においては事前に課される課題の提出を必須とし,未提出の場合には受験でき ない.再試験の合否は受験しなければならない試験すべてが60点以上であること.
注意点:
基礎的な数学力が必要であり、特に微積分および三角関数を十分に理解していること。また,関数電卓は、十分使いこなせるようにしておくこと。さらに授業で出される演習問題は必ず予習復習を行い,十分理解すること。流体工学は,工学・自然科学の分野において見られる様々な流体現象を理解する上で重要な学問である.美しい,あるいは不思議な現象もたくさんあり,是非とも興味を持って履修してもらいたい.なお,授業はスライド資料を配布して書き込みしていく形式とする.単元ごとに与えられる演習問題は各自で解き,授業の理解を深めて欲しい.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス(流体工学が応用されている分野) |
流体工学の必要性や関連事例を説明できる.
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2週 |
流体の物理的性質-1 |
流体の定義および物性値(圧縮性,密度,比重,比重量)について計算と説明ができる.
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3週 |
流体の物理的性質-2 |
流体の粘性について理解でき,ニュートンの粘性法則およびニュートン流体・非流体の違いが説明できる.
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4週 |
小テスト-1 流体の物理的性質-3 |
レイノルズ数の物理的な意味と管路内流れの層流・乱流について説明できる.管路内流れの状態を計算によって求めることができる.
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5週 |
流体の物理的性質-4 表面張力 |
レイノルズの相似則について説明できる.表面張力の発生機構とその効果について説明できる
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6週 |
圧力の発生とパスカルの原理 |
圧力の表わし方とパスカルの原理について説明できる.パスカルの原理に基づき油圧ジャッキに発生する力を計算できる.
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7週 |
重力場の圧力-1(密度変化のない場合) |
重力場における圧力の発生機構とその計算方法が説明できる.
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8週 |
前期中間試験:実施する |
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2ndQ |
9週 |
中間試験の解答および解説 重力場の圧力-2(密度変化ある場合) |
密度変化を考慮した大気圧の計算ができる.
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10週 |
圧力の測定方法 |
各種液柱管による圧力計測の方法が理解でき計算で圧力を求められる.
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11週 |
平板壁に作用する全圧力と圧力中心 |
液体中に平面に作用する全圧力とそれの作用点となる圧力中心について理解でき,計算でそれらを求めることができる.
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12週 |
小テスト-2 曲面に作用する全圧力 |
曲面に作用する全圧力は方向成分に分けて考える必要があり,計算でそれらを求めることができる.
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13週 |
浮力とアルキメデスの原理 |
物体に作用する浮力についてアルキメデスの原理から説明でき,これを計算で求めることができる.
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14週 |
浮揚体とメタセンタ |
浮揚体の安定性についてメタセンタから説明できる.
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15週 |
前期総合演習 |
前期中間試験後に行った範囲を主体にした演習問題を解くことができる
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16週 |
前期末試験・実施する |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
流体力学で用いられる用語と流速計,流量計 |
流動流体を特徴づける用語について説明でき,流速と流量の概念およびそれらを計測する基本的な機器を説明できる.
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2週 |
流体力学の基礎式-1(質量保存の法則と連続の式) |
連続の式を説明することができ,これに関する基本的な問題を解くことができる.
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3週 |
流体力学の基礎式-2(流体の加速度とオイラーの運動方程式) |
流体の加速度について剛体運動との違いを説明でき,オイラーの運動方程式について説明できる
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4週 |
小テスト-3 流体力学の基礎式-3(エネルギー保存の法則-1) |
流体のエネルギーは,速度,位置,圧力の3つに分類されることを説明できる.
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5週 |
流体力学の基礎式-3(エネルギー保存の法則-2) |
オイラーの運動方程式から導出されるベルヌーイの定理について説明できる.
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6週 |
ベルヌーイの定理の応用 |
連続の式とベルヌーイの定理を組み合わせて種々の問題を解くことができる.
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7週 |
流体力学の基礎式-4(運動量保存則と流体力-1) |
流体力学における運動量の考え方およびその保存則と流体力について説明できる.平板や斜板に作用する流体力を計算で求めることができる
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8週 |
後期中間試験を実施する |
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4thQ |
9週 |
流体力学の基礎式-4(運動量保存則と流体力-2) |
管路内を流体が流れる場合の流体力について圧力による力を加味しなければならないことを説明でき,これに関する問題を解くことができる
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10週 |
管路内流れ(層流,乱流)の速度分布 |
管路内の流れが層流の場合について速度分布やパーゲンポアズイユ流れについて説明できる.管路内流れが乱流の場合について速度分布を説明できる.
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11週 |
円管路流れにおける損失(管摩擦損失)-1 |
管摩擦の発生機構が層流と乱流では違うことが説明でき,管摩擦損失をダルシーワインズバッハの式とムーディ線図などを組み合わせ計算で求めることができる.
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12週 |
小テスト-4 円管路流れにおける損失(管摩擦損失)-2 |
管摩擦の発生機構が層流と乱流では違うことが説明でき,管摩擦損失をダルシーワインズバッハの式とムーディ線図などを組み合わせ計算で求めることができる.
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13週 |
円管路以外の管摩擦損失 各種管路における圧力損失 |
等価円直径について説明でき,これを用い円以外の断面の管摩擦を計算できる.各種管路で発生する圧力損失の主な原因と,その計算ができる.
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14週 |
損失を考慮したベルヌーイの定理 |
管路の損失計算において損失を考慮したベルヌーイの定理について説明でき,これに関する問題を解くことができる.
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15週 |
後期総合演習 |
後期中間試験後に行った範囲を主体にした演習問題を解くことができる
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16週 |
後期末試験を実施する |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。 | 4 | 前2 |
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。 | 4 | 前2 |
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。 | 4 | 前3 |
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。 | 4 | 前6 |
パスカルの原理を説明できる。 | 4 | 前6 |
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。 | 3 | 前9,前10 |
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。 | 4 | 前10,前12 |
物体に作用する浮力を計算できる。 | 4 | 前13,前14 |
定常流と非定常流の違いを説明できる。 | 4 | |
流線と流管の定義を説明できる。 | 4 | |
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。 | 4 | |
オイラーの運動方程式を説明できる。 | 4 | |
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。 | 4 | |
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。 | 4 | |
層流と乱流の違いを説明できる。 | 4 | 前4 |
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。 | 4 | 前4 |
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。 | 4 | |
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。 | 4 | |
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。 | 4 | |
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。 | 4 | |
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。 | 4 | |