電気電子計測Ⅰ

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電気電子計測Ⅰ
科目番号 0016 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気情報工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 電気・電子計測(森北出版)
担当教員 有馬 達也

到達目標

1. 計測の分類法,計測精度や測定誤差の定義,単位の成り立ち等,計測の基礎について説明できる。
2. 抵抗測定において、電流計、電圧計を用いた中抵抗の測定方法、Wブリッジを用いた低抵抗の測定方法と原理を説明できる。電位差計について理解できる。
3. 交流とは、どのような電気なのかを理解し、一秒あたりの平均値と実効値を、積分を使って計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1計測の分類法,計測精度や測定誤 差の定義,単位の成り立ち等,計測 の基礎について正しく説明できる。計測の分類法,計測精度や測定 誤差の定義,単位の成り立ち等, 計測の基礎について説明できる。計測の分類法,計測精度や測定誤 差の定義,単位の成り立ち等,計測 の基礎について説明できない。
評価項目2低、中抵抗の測定と電位差計について,その動作原理を理解し,電圧・電流測定に使用する方法を正しく説明できる低、中抵抗の測定について,その動 作原理を理解し,電圧・電流測定 に使用する方法を説明できる。低、中抵抗の測定について,その動作 原理を理解できず,電圧・電流測定に使用する方法を説明できない。
評価項目3交流を理解し、その表現方法である平均値と実効値を積分を使って導出できる。交流を理解し、その表現方法である平均値と実効値を積分を使って説明できる。交流を理解できず、その表現方法である平均値と実効値を積分を使って説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 電気情報工学科の教育目標① 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標③ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 この科目は企業で計測装置・制御装置の計装と保守を担当していた教員が、その経験を活かし、電気現象を定量的に扱うための測定値の処理方法や各種計器の動作原理,測定法について講義形式で授業を行うものである。電気・電子工学に携わる者として電気諸量の把握のための最低限の知識を身につける。
授業の進め方・方法:
 3年後期で行う電気電子計測Ⅰでは,測定値の処理方法を学んだ後,単位・標準につき学習し,電圧・電流測定や抵抗の
測定に必要な原理や取り扱いなどを学ぶ。目盛を指す指針を動かすトルク、電流磁気、移動磁界、回転磁界について学ぶ。
注意点:
電気電子計測は,電磁気や電気回路を基礎として成り立っている科目である。この科目を学び,計測の知識を身につけると
ともに,これら基礎科目の見直しを行うことが大切である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 1.直流回路における電流電圧の求め方
- 直列・並列回路の解析 -
直列、並列回路の特性を復習する。抵抗の直列、並列接続を通じ直列では各抵抗の電流、並列では各抵抗の電圧が等しい事を理解する。

2週 2.中抵抗の測定(1)
- 2種類の電流電圧計法の使い方 -
抵抗値が大きい時と小さい時で電圧計と電流計の接続が異なる事を説明できる。
3週 2.中抵抗の測定(2)
- ホイーストンブリッジ 、2端子と4端子接続 -
ホイートストンブリッジ回路による抵抗測定を理解できる。低抵抗測定において、4端子接続の重要さを理解できる。
4週 3.低抵抗の測定(1)
- 接触抵抗、ケルビンブリッジによる低抵抗測定法 -
接触抵抗、リード線の抵抗が低抵抗測定の誤差となる事を説明できる。ホイートストンブリッジ回路、ケルビンブリッジによる抵抗測定を理解できる。
5週 3.低抵抗の測定(2)
- ケルビンダブルブリッジ -
ケルビンダブルブリッジの特性について、回路の観点から理解する。Δ-Y変換を用いた演算とキリヒホッフの法則を用いる演算方法について説明できる。
6週 3.比較測定と絶対測定について
- 変位法、零位法、置換法 -
電気・電子用の測定について、3種類の方法を学ぶ。
7週 中間試験を行う。
中間試験で満点を取得することを目標とする。満点は70点であり、残りの30点は演習点とする。
8週 4.中間試験の返却と解説。必要なら追試験。
誤差と補正について
説明などから、知識を深める。
測定における誤差要因、誤差率、補正率について説明できる。
4thQ
9週 5.零位法に基づく電位差の測定
- 直流電位差計 -
本来は困難な乾電池の出力電圧の測定が零位法を用いると可能な事を理解できる。
10週 6.直流と交流の違いについて
現在の商用電源に交流の電気が用いられている理由について理解できる。
11週 7.交流電圧・交流電流の基礎(1) 交流計器に関する基礎知識を復習する。周期と周波数、単位円と正弦波の定義、角周波数と時間で角度が得られる事を理解できる。
12週 8.交流電圧・交流電流の基礎(2)
- 微分・積分演算の定義 -
- 
微分が変化率である事、積分が短い要素の積み重ねである事を理解する。なぜ正弦波を微分して余弦波が得られるか理解できる。
13週 9.交流電圧・交流電流の基礎(3)
- 一つの数値で表す交流の表現方法:平均値 -
交流は時間と共に変動し、その測定は難しい。半周期の波形を時間積分し、1秒あたりの交流電流および電圧の平均値を求める方法を理解できる。
14週 10.交流電圧・交流電流の基礎(4)
- 一つの数値で表す交流の表現方法:実効値 -
同じ抵抗で直流と交流で電力を発生させる。その直流電流の値で交流電流(あるいは交流電圧)の大きさを定義するのが実効値である事を理解する。交流計器は実効値で示されるので、重要である。
15週 11. 演習を行う。 試験前に復習と演習を行う。(30点) 年度によっては一回5点の演習を数回行うこともあり、合計30点になるように調整する。全演習問題を解いて提出できる。
16週 学年末試験 学んだ知識の確認ができる。試験で満点を取得する。(満点は70点) 30点分は演習点で評価とする。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。4後1,後2
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。4後3,後4
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。4後2
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。4後5
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。4後9,後10
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。4後12,後13
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。4後14,後15

評価割合

試験小テスト相互評価態度ポートフォリオ演習合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力3500001550
専門的能力3500001550
分野横断的能力0000000