基礎電子回路

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 基礎電子回路
科目番号 0029 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 アナログ電子回路
担当教員 平 智幸

到達目標

1. トランジスタ、FET の動作原理を理解し、それらの等価回路について説明できる。
2. トランジスタ、FET の等価回路を用いて、各種動作量が計算できる。
3. トランジスタ、FET のバイアス回路を理解し、バイアス回路の計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1トランジスタ、FET の動作を正しく説 明でき、それらの等価回路を導くこと ができる。トランジスタ、FET の動作を説明で き、それらの等価回路を示すこと ができる。トランジスタ、FET の動作を説明で きず、それらの等価回路を示すこと ができない。
評価項目2トランジスタ、FET の等価回路を用 いて、各種動作量を正しく計算でき る。トランジスタ、FETの等価回路を用 いて、各種動作量を計算できる。トランジスタ、FET の等価回路を用 いて、各種動作量を計算できない。
評価項目3トランジスタ、FET のバイアス回路を 正しく理解し、バイアス回路の計算が できる。トランジスタ、FET のバイアス回路 を理解し、バイアス回路の計算が できる。トランジスタ、FET のバイアス回路が 理解できず、バイアス回路の計算が できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 電気情報工学科の教育目標① 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標③ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電子回路では、抵抗、コンデンサ、コイル、ダイオードなどの受動素子とトランジスタやFETなどの能動素子を組み合わせ、さまざまな機能を実現する方法について学ぶ。特に能動素子であるトランジスタやFETについて素子の基礎とその特有な性質をどのように引き出すのかを学び、用途に合った使い方ができるようにすることを目的とする。
授業の進め方・方法:
前半は、トランジスタの基礎から、増幅器としての使い方、等価回路での表現方法について学ぶ。後半は、複数個のトランジスタを組み合わせて使用する具体的な手法について学び、具体的な動作を数式等を用いて表現できるようにする。また、FETについてもその基礎的な内容および、使用方法、等価回路を学ぶ。

授業は、教科書に沿って進行し、演習問題を解くことで、理解を深める。
小テストおよびレポート課題により理解の定着を図る。
注意点:
・電気回路の基礎的な内容を十分に理解している必要がある。
・教科書で指定している以外の図書も多数出版されているため、そちらも参照して理解を深めるようにしてください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1.電子回路に必要な要素
 ― 直流、交流、ダイオード、抵抗 -
電子回路で使う電圧や素子を説明できる。
2週 2.トランジスタの増幅の原理
 - 半導体、ダイオード、トランジスタ -
半導体、ダイオード、バイポーラトランジスタについて、構造を図示でき、それぞれの特徴を説明できる。
3週 2.トランジスタの増幅の原理
- トランジスタの動作 -
バイポーラトランジスタで使用される用語、トランジスタの静特性、増幅度を説明できる。
4週 2.トランジスタの増幅の原理
 - ベース接地増幅回路 -
ベース接地のバイポーラトランジスタの動作を理解し、入出力の関係を導出でき、その意味を説明できる。
5週 2.トランジスタの増幅の原理
 - エミッタ接地増幅回路 -
エミッタ接地のバイポーラトランジスタの動作を理解し、入出力の関係を導出でき、その意味を説明できる。
6週 2.トランジスタの増幅の原理
 - コレクタ接地増幅回路 -
コレクタ接地のバイポーラトランジスタの動作を理解し、入出力の関係を導出でき、その意味を説明できる。
7週 3.トランジスタの小信号等価回路
- 負荷直線と動作点 -
次週、中間試験を実施する。
負荷直線を作図でき、その意味を説明できる。また、増幅回路における動作点の意味を説明できる。
8週 3.トランジスタの小信号等価回路
小信号等価回路の考え方を理解し、トランジスタの小信号等価回路を描くことができる。
2ndQ
9週 3. トランジスタの小信号等価回路
- 小信号等価回路 -
小信号等価回路の考え方を理解し、トランジスタの小信号等価回路を描くことができる。
10週 3.トランジスタの小信号等価回路
- hパラメータの物理的意味 -
hパラメータの物理的意味を説明でき、動作状態のトランジスタの具体的な数値を計算できる。
11週 3.トランジスタの小信号等価回路
- hパラメータの評価 -
トランジスタの h パラメータ測定方法を理解し、h パラメータを導出できる。
12週 4.増幅回路の入出力抵抗と整合
- 入力抵抗と出力抵抗 -
入力抵抗、出力抵抗の考え方を理解し、入出力抵抗により用途別の利用回路を選ぶことができる。
13週 4.増幅回路の入出力抵抗と整合
トランジスタの各接地方式の入出力抵抗の値が計算できる。
14週 4.増幅回路の入出力抵抗と整合- デシベルと電力利得 - デシベル表記に慣れ、デシベル表記での利得の計算ができる。
15週 4.増幅回路の入出力抵抗と整合 デシベル表記に慣れ、デシベル表記での利得の計算ができる。
16週 前期末試験 学んだ知識の確認ができる。
後期
3rdQ
1週 5.直流バイアス回路
トランジスタを動作させるためのバイアス回路を理解でき、説明できる。また、必要な動作をさせるための具体的な数値を計算できる。
2週 5.直流バイアス回路
バイアス回路がトランジスタの動作に与える影響を理解でき、説明できる。
3週 6. 直接結合増幅回路
トランジスタを複数個接続した場合について動作を理解でき、利得を計算できる。
4週 6. 直接結合増幅回路
ダーリントン接続、差動増幅回路の基礎を理解し、その動作を数式等を用いて説明できる。
5週 7. CR 結合増幅回路
- コンデンサによる増幅回路の接続 -
複数のトランジスタをコンデンサを用いて結合した増幅回路の動作を理解し、コンデンサの影響を説明できる。
6週 7. CR 結合増幅回路
- コンデンサの影響 -
コンデンサが増幅回路の利得の周波数依存性へ与える影響を理解し、コンデンサのない場合との違いを説明できる。
7週 7. CR 結合増幅回路
- コンデンサの影響 -
次週、中間試験を行う
コンデンサが増幅回路の利得の周波数依存性へ与える影響を理解し、コンデンサのない場合との違いを説明できる。
8週 7. CR 結合増幅回路
- ミラー効果 -
高周波で影響のあるミラー効果を理解し、遮断周波数の計算ができる。
4thQ
9週 7. CR 結合増幅回路
- ミラー効果 -
高周波で影響のあるミラー効果を理解し、遮断周波数の計算ができる。
10週 7. CR 結合増幅回路
- 帯域幅 -
多段増幅回路としたことが帯域幅に与える影響を理解し、広帯域化の手法を説明できる。
11週 8. FET増幅回路
-FETの特徴-
FETの構造、動作原理を理解できる。バイポーラトランジスタとの違いを理解し、説明できる。
12週 8. FET増幅回路
-FETのバイアス回路-
FETの動作に必要なバイアスを理解し、バイアス回路を説明できる。
13週 8. FET増幅回路
-FETの等価回路-
FETの等価回路を導出でき、回路解析に使用できる。
14週 9. 負帰還増幅回路 負帰還増幅回路の効果を説明でき、増幅度を計算できる。
15週 学年末試験 学んだ知識の確認ができる。
16週 答案返却と解説 学んだ知識の再確認と修正ができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。3前1
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。3前1,前2
FETの特徴と等価回路を説明できる。3前3
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。3
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。3

評価割合

試験小テスト・レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力201030
専門的能力601070
分野横断的能力000