到達目標
1.転位の運動によるすべりのメカニズムを理解し、降伏現象や加工硬化について簡単に説明できること。
2.クリープ試験データを利用した簡単な強度設計ができること。
3.金属疲労および疲労寿命に及ぼす諸因子の影響について簡単に説明できること。
4.種々の非破壊検査手法の原理と特徴を理解し、検査対象に応じて適切な手法を選択できること。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 転位の運動や増殖、相互作用について理解し、それに基づいて降伏現象や加工硬化について説明できる。 | 転位の運動や増殖について理解し、降伏現象や加工硬化との関連を簡単に説明できる。 | 転位の運動やすべりのメカニズムを理解していない。 |
評価項目2 | クリープ試験データを利用して簡単な強度設計ができる。 | クリープ試験データを基に、与えられた条件における寿命、許容応力等を計算できる。 | クリープ試験データの利用方法を理解していない。 |
評価項目3 | 金属の疲労に及ぼす諸因子の影響について、その理由とともに説明できる。 | 金属の疲労に及ぼす書院氏の影響について簡単に説明できる。l | 金属の疲労に及ぼす諸因子を挙げることができない。 |
評価項目4 | 主な非破壊検査法の原理と特徴を説明でき、専門分野の具体的な検査対象に応じて適切な手法を選択できる。 | 主な非破壊検査法の原理と特徴を理解でき、検査対象に応じて適用可能な手法を選択できる。 | 主な非破壊検査法について原理を理解できず、特徴を挙げられない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
科学技術の高度化に伴い、機械・構造物の使用される環境や条件はますます過酷になっており、その信頼性に対する要求も高まる一方である。ここでは、高温環境下や繰返し負荷を受ける環境下で問題となる破壊形態についてそのメカニズムを学び、これらを考慮した強度設計法を理解することを目標とする。さらに構造物の安全を確保し破壊を未然に防ぐ手法として種々の非破壊検査手法の原理を学び、検査対象に応じた適切な手法を選択できる能力を養う。
授業の進め方・方法:
材料の弾性と塑性の基礎について概説したあと、高温環境下で問題となるクリープ、および繰返し負荷を受ける環境下で問題となる疲労破壊のメカニズムについて解説する。最後に、これらの破壊を未然に防止する手段として、放射線、超音波、電気・磁気などを用いた非破壊検査手法の原理と特徴を学ぶ。試験 (90%)、 課題等 (10%)を総合評価し、60 点以上を合格とする。
注意点:
航空機事故や原子力発電所の事故などで報道される材料強度に関わる事故原因に関心を持ち、破壊現象を身近な問題として捉える姿勢が望まれる。期末試験前に具体的な項目に対する達成度調査を行うので、自分の達成度を率直に評価し、学習に役立ててほしい。また試験の答案は採点後に返却するので、未達成部分については質問や自己学習によって補うこと。自学自習の成果は宿題及び試験によって評価する。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
1.原子結合から見た弾性変形 (1)原子結合 |
イオン結合を例に、弾性変形をクーロン力と反発力の和として説明できる。
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2週 |
(2)フックの法則と弾性係数、熱膨張と弾性係数の温度依存性 |
原子結合の観点からフックの法則と弾性係数、熱膨張と弾性係数の温度依存性について説明できる。
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3週 |
2.塑性変形(転位論概説) (1)完全結晶格子の理想強度、転位の運動によるすべり |
すべりによる塑性変形が、なぜ転位の考え方で説明されるのか理解できる。
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4週 |
(2)転位の種類、転位密度、転位のまわりの応力場 |
転位によって周囲に応力場が形成されることを理解できる。
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5週 |
(3)転位のひずみエネルギ、転位の相互作用と降伏現象 |
転位のひずみエネルギによって生じる転位同士の相互作用について理解できる。
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6週 |
(4)転位の増殖、加工硬化と焼きなまし |
転位の増殖機構を理解し、加工硬化と焼きなましを転位との関係で簡単に説明できる。
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7週 |
3.金属のクリープ破壊 (1)クリープ現象、クリープ速度の温度依存性と応力依存性 |
クリープ現象、およびその温度依存性、応力依存性について簡単に説明できる。
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8週 |
(2)クリープ試験データを利用した設計、クリープデータの外挿法 |
ラーソン・ミラー指数が用いられる意味を理解し、簡単な例についてクリープ寿命を計算できる。
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2ndQ |
9週 |
4.疲労破壊 (1)疲労破壊事故の例、繰返し応力、S-N曲線 |
機械・構造物の破壊事例を通して、金属疲労の重要性を理解できる。
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10週 |
(2)疲労限度線図、疲労き裂の発生と進展 |
疲労強度における平均応力の影響、および疲労き裂発生のメカニズムについて理解できる。
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11週 |
(3)疲労き裂成長の破壊力学的取り扱い |
パリスの式を用いて、簡単な例について疲労寿命を計算できる。
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12週 |
(4)疲労寿命に影響を及ぼす因子 |
疲労寿命に影響を及ぼす因子を挙げ、簡単に説明できる。
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13週 |
5.非破壊検査の役割と手法(1) |
機械・構造物の破壊事故防止における非破壊検査の役割を説明できる。
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14週 |
5.非破壊検査の役割と手法(2) |
主な非破壊検査法の原理と特徴を簡単に説明できる。l
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15週 |
試験 |
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16週 |
期末試験の答案返却とまとめ |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 課題 | | | | | 合計 |
総合評価割合 | 90 | 10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 90 | 10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |