思想史

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 思想史
科目番号 0030 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報電子システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 井出・宇野・坂井・松沢『大人のための社会科 未来を語るために』(有斐閣)
担当教員 笠松 直

到達目標

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
基礎的概念の定着言及する思想史上の重要人物・概念について9割程度が定着言及する思想史上の重要人物・概念について7~8割程度が定着言及する思想史上の重要人物・概念の定着が6割に満たない
調査検討提示された課題について必要十分な調査検討ができる提示された課題について調査検討をこなせる提示された課題についての調査検討ができない
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

旧JABEE (C) 情報工学あるいは電子工学の分野で、人間性豊かなエンジニアとして活躍するため の知識を獲得すること

教育方法等

概要:
主に井出・宇野・坂井・松沢『大人のための社会科』の精読を通じて、1) 本書の読解に必要な日本史・世界史・思想史の基礎事項を確認し、2) 現代の政治的・経済的・社会的諸課題の所在を確認し、さらに3) 公正な社会の実現に向けた取り組みについて理解する。
授業の進め方・方法:
教科書を精読し、諸種の用語について解説を加え、思想史的背景の説明を行う。また、教科書が意図する限りで現代的問題の分析・考察をも行う。教科書は「敷居」を下げるために専門用語等々を可能な限り絞っているが、これでは前提条件を共有しない者には理解しがたい点がでてくる。補うために追加資料を用意するので、教科書ともども予習・復習怠りないように。
注意点:
著者たちの問題意識から、本書は現代的諸問題に主たる焦点があっているように見えるが、そうした知的営為が可能な背後には高校~大学1-2年度程度の概論的知識が存する。受講者は、安易な”解答”に一足飛びに飛びつくことを厳に戒め、多様な価値評価基準を学び、それらを用いて自己の思想的立場を批判し、練り上げる知的態度を養うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンスおよび序説 本講義全体の意図・問題意識の説明、成績評価方法とレポート課題の方法が周知されること
2週 GDPー「社会のよさ」とは何だろうか GDPなどの経済指標の概念を理解し、それらによって計られる「良さ」の内容と限界を理解する
3週 勤労ー自己責任社会 そのよさが自明と思われがちな「勤労」概念を歴史的に考察。この概念がもたらす「良さ」の性質とその限界、副作用を理解する
4週 時代ー時代を分けることと捉えること これまでの教育で自明視されてきた時代区分の区分原理を理解し、現代の分析に応用できること
5週 多数決ー「私たちのこと」を「私たち」で決めるとは 多数決の多様なやり方を学び、普段自明視する多数決の原理限界を認識する。さらにその基盤たる「私たち」の成立の根拠を問う
6週 運動―異議申し立てと正統性 投票に基礎をおいた民主主義制度を補完する物事としての運動、その正統性の調達のありようについて理解する
7週 私ー自分の声が社会に届かない 民主主義の社会を成り立たせる原理のうち、「私」という個人と「私たち」の統合との間をめぐる現代的問題について理解する
8週 公正―等しく扱われること 以下、社会を支える原理を学ぶ。そのうち公正について正義論的な視座を理解できること
2ndQ
9週 信頼ー社会を支えるベースライン 正義のひとにはさらに友愛が必要である。人間相互の信頼は貴重な社会的資源であることを理解する
10週 税とニーズ―共通の利益の実現のために あるべき「助け合い」の諸条件、評価軸について学び、その複雑性・相互背反について理解できる
11週 歴史認識ー過去をひらき未来に繋ぐ 共同の社会を構築するにあたって、基礎的な認識は一定程度共有される必要がある。アーカイヴスの重要性について理解すること
12週 公共性と財政 公共を実現するための前提条件、財政についての概括的理解ができること
13週 希望ー「まだーない」ものの力 以上、基本的には現実の社会を認識して暗くなりそうなものだが、希望・幸福を語る原理について教示し、共有したい
14週 演習1 上掲の諸題目から学生の希望をとり、幾つかを選んで発展的内容を講義し、理解をふかめる。
15週 定期試験 基礎的事項の確認
16週 演習2;定期試験講評 試験の講評。また、上掲の諸題目から学生の希望をとり、1~2を選んで発展的内容を講義し、理解をふかめる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合602000200100
基礎的能力40100020070
専門的能力0000000
分野横断的能力2010000030