無機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 福島工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 無機化学Ⅰ
科目番号 0061 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 化学・バイオ工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 無機化学の基礎(坪村太郎・河本達也・佃俊明 著、化学同人),シュライバー・アトキンス無機化学(田中勝久・平尾一之・北川進 訳、東京化学同人),ハウス無機化学(山下正廣・塩谷光彦・石川直人 訳、東京化学同人),大学院講義有機化学(野依良治 他編、東京化学同人),プリント
担当教員 三上 進一

到達目標

この授業での到達目標は,無機化学基礎で学んだ基礎知識を基に,以下の3点が理解できることである。
① 化学結合・電子配置の基礎概念と,その周期表との関連を理解できる。
② 典型元素および遷移元素における代表的な単体とその化合物の性質を理解できる。
③ 錯体に関する基礎知識を理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1典型元素・典型元素の単体や化合物,金属錯体ごとに,基本的な性質を理解できる。電子配置や化学結合の基本的知識に基づき,元素や化合物の基本的な性質を理解できる。電子配置や化学結合の基本的知識に基づき,元素や化合物の基本的な性質を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
無機化学は,原子の構造や結合状態など物質の本質を理解する根幹となり,近年の材料開発の発展を支える分野である。
この授業では,無機化学基礎で学修した電子構造および化学的結合の基礎概念とその周期表との関連を理解しながら,代表的な元素とその化合物を学修する。更に,錯体化学は分析化学・触媒化学・生物無機化学など広い分野にわたる重要な学問分野の一つであることから,金属錯体の構造・物性などに関する内容も学修する。
授業の進め方・方法:
中間試験,期末試験ともに50分間の試験を実施する。
定期試験の成績80%,課題等の成績20%として総合的に評価する。60点以上を合格とする。
注意点:
電子構造および化学的結合を考えるための基礎となる電子状態,及び,その周期表との関連をいつも念頭において物質の性質を考えること。
これまでに習得した物理化学,無機化学基礎および有機化学の基礎領域を十分復習しておくことが大切である。特に,化学結合,構造などに関する基礎理論を理解しておくことが必要である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 序論(1) 周期律表と元素の性質,元素の性質と周期律,イオン化エネルギーと周期律,電気陰性度(電気親和力)と周期律
2週 序論(2) 原子半径・イオン半径と周期律,原子軌道,一般の原子における電子配置
3週 単体の構造と性質 単体の構造:分子,ルイス構造,簡単な分子の分子軌道
4週 単体の構造と性質 共有結合結晶,金属,金属結合と自由電子,電子のバンド構造
5週 単体の化学(1) 無機化合物の命名法・化学的な性質の概略,アルカリ金属,アルカリ土類金属
6週 単体の化学(2) 13~17族元素
7週 整理・復習 第6週までの内容確認
8週 まとめ / 水素の化合物(1) 第6週までのまとめ,水素の性質,水素化合物の分類
2ndQ
9週 水素の化合物(2) 14~17族の水素化合物と水素結合
10週 分子性酸化物とオキソ酸(1) 典型元素の酸化物とオキソ酸,13~17族までの元素の酸化物とオキソ酸,共鳴,共鳴構造
11週 分子性酸化物とオキソ酸(2) 13~17族までの元素の酸化物とオキソ酸,遷移元素の分子性酸化物とオキソ酸
12週 ハロゲン化物と希ガスの化合物(1) 典型元素のハロゲン化物
13週 ハロゲン化物と希ガスの化合物(2) ハロゲン間化合物,VSEPR理論
14週 ハロゲン化物と希ガスの化合物(3) 希ガスの化合物
15週 まとめ 前期学習領域のまとめ
16週
後期
3rdQ
1週 金属錯体の立体構造と命名(1) d軌道が持つ立体と対称性、および配位結合の理論を説明し、配位化合物を命名することができる。
2週 金属錯体の立体構造と命名(2) 配位数と立体配置、配位化合物の命名法について説明できる。
3週 金属錯体の立体構造と命名(3) 錯体の対称性、異性体(構造異性、幾何異性、光学異性)および磁性について説明できる。
4週 金属錯体の電子構造と結晶場理論 結晶場理論を用いて、多様な色を持つ金属錯体の電子構造と吸収スペクトルについて説明できる。
5週 金属錯体の電子構造と配位子場理論 配位子場理論を用いて、金属錯体の電子構造について説明できる。
6週 金属錯体の電子構造と分光化学系列 配位子が有する軌道の影響を考慮して、分光化学系列について説明できる。
7週 金属-金属結合を有する金属錯体 金属-金属間に結合を有する金属錯体において、結合に関与する電子軌道と結合様式について説明できる。
8週 まとめ 第7週までの内容確認
4thQ
9週 金属錯体の反応(1) 錯体の安定度、安定度定数について説明できる。
10週 金属錯体の反応(2) 配位子置換反応の機構とトランス効果について説明できる。
11週 特殊な配位子を持つ有機金属錯体 オレフィンやシクロペンタジエニル、カルベンなどを配位子とする有機金属錯体について説明できる。
12週 有機金属錯体の反応(1) 配位子置換反応、酸化的付加および還元的脱離反応について説明できる。
13週 有機金属錯体の反応(2) 挿入反応およびβ水素脱離反応について説明できる。
14週 有機金属錯体を利用した反応 Ziegler-Natta触媒によるオレフィン重合、Hoechst-Wacker法、キラルな配位子を用いた不斉触媒反応、Grubbs触媒によるオレフィンメタセシス、Pd触媒によるクロスカップリング反応などについて説明できる。
15週 まとめ 後期学習領域のまとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前2,前3,前4,前10,前11
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4前1,前2,前3,前5,前10,前11,前13,前14,後8
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4前1,前2,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前1
配位結合の形成について説明できる。4後1,後5
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。4後1,後2,後3
錯体の命名法の基本を説明できる。4後1,後2,後3
配位数と構造について説明できる。4後2,後4
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。4後3,後4,後11,後14
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。4前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14
分析化学錯体の生成について説明できる。4後1,後4,後5,後9

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000