到達目標
【目的】学生は、力学の物理量を微積分で表現することによって、力学が一般化できることを知りその体系に習熟することによって、より広いクラスの問題にも対応できる研究基礎力を身につけることを目的とする。微積分を用いた力学に習熟することによって、学生は物理が「工学の基礎」と位置づけられる背景を理解し、専門分野の深化につなげる素養を持つことも目的とする。線形代数(ベクトル、成分表示、内積)や解析学(微分、テイラー展開、積分)、微分方程式(特に変数分離型)と力学を組み合わせて、学生が使うことができるようになることも目的とする。
【目標】
1.1年生で習った力学の諸概念の定義や法則が、説明できること。(分からない場合、質問できること)
2.物理量を微分や積分で表現できること(グラフの傾きと微分、グラフの面積と積分、スカラー量とベクトル量の区別など)
3.問題に合わせて、運動方程式(=微分方程式)やエネルギー保存則を立てることができるだけでなく、初期条件に合わせて解を求めることができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
物理量の定義、物理法則が説明できる | 物理量の定義、物理法則が人に分かるように説明できる | 物理量の定義、物理法則が自分で説明できる | 物理量の定義、物理法則が説明できない。 |
物理量を微分や積分で表現できる | どんな物理量でも微分や積分で置き換えて表現できる | 物理量を微分や積分で表現できる | 物理量を微分や積分で表すことができない |
問題に合わせて、数学的に解を求めることができる | 問題に合わせて、数学的に解を求めることができる | 問題に合わせて、微分方程式を立てることができる | 問題に合わせて、微分方程式を立てることができない |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
まずは、過去に習った力学、数学を総復習しながら、微積分を用いた力学を学ぶ準備を整える。授業を始める時に復習するように注意するが、その後すぐに、微積分を用いた表式に書き換わっていくので、よく意識にとどめておいてほしい。少し意識するだけで、何をやっているのかを見失うことなく、全体を見渡しながら、力学が精密化されていく過程が、学生にとって理解しやすくなるはずである。
授業の進め方・方法:
講義は対話的に進めるので、どんどん授業を止めて質問してほしい。質問のやり取りの中で、学生が主体的に学ぶ機会を提供したい。
速度と加速度、運動の法則、エネルギー・運動量・角運動量、万有引力・重力・慣性力の順に進めていく。問題は、あらかじめ予習しておいてもらい、当てられたら板書すること。
注意点:
授業の欠課数が1/3以上でD評価となる。中間テストは実施せず、期末テストと提出物や小テストで成績を評価する。
課題は必ず提出すること。
授業の予習・復習及び演習については自学自習で取り組むこと。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス、微積分の復習、ベクトルなどの復習、テイラー展開とオイラーの公式 |
基本的な数学を使えるようになる。
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2週 |
瞬間の速度、加速度+演習 |
速度、加速度が説明できる。微分を用いて、どんな速度・加速度でも計算できる。
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3週 |
等加速度運動の復習、様々なベクトル、ベクトルのスカラー倍・合成の復習 |
加速度=一定の場合の「公式」を 積分を用いて導ける、ベクトルの基本演算が使える
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4週 |
相対速度+演習、等速円運動 |
相対速度を正しく説明できる。等速円運動の速度・加速度を導ける。
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5週 |
等速円運動と微積分+演習 |
等速円運動する物体の運動を微積分を用いて計算できる。
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6週 |
慣性の法則、運動方程式と微積分、一様重力場中の運動(特に、斜方投射)の復習+演習 |
慣性の法則、運動方程式を人に説明できる。2物体の運動方程式の立て方が分かる。運動方程式を積分して、速度や位置を求められる。斜方投射の運動方程式を成分ごとに立てられる。
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7週 |
摩擦力の復習、空気抵抗と運動方程式(変数分離型微分方程式)、演習 |
摩擦力が説明できる。空気抵抗のある場合の運動方程式を立てることができる。運動方程式を変数分離型の微分方程式として解くことができる。
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8週 |
前半のまとめと演習 |
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2ndQ |
9週 |
単振動の復習と微分方程式、単振動の解、演習、運動量と運動エネルギーの違い、運動量の復習、演習 |
単振動と等速円運動の関係から、単振動の加速度や周期を求めることができる。単振動の運動方程式を解くことができる。運動量と運動エネルギーがベクトルかスカラーかで分類できる。運動量と力積の関係を導ける。力積を積分で書くことができる。
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10週 |
運動量保存則、仕事の復習、仕事と内積、運動エネルギー、仕事と運動エネルギー変化の復習から微積分を用いた厳密な議論へ |
運動量保存則を導くことができ、使うこともできる。仕事が説明できる。内積を使って仕事を求めることができる、運動エネルギーを導くことができる。仕事と運動エネルギーの関係を積分を用いて表現できる。運動エネルギーと運動量の違いを人に説明できる
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11週 |
復習など(先に進む場合もあります) |
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12週 |
線積分と仕事、位置エネルギーと保存力、線積分による位置エネルギーの定義、万有引力の位置エネルギー |
線積分が分かる。位置エネルギーと保存力の関係を説明できる。線積分を用いて位置エネルギーを計算できる。
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13週 |
エネルギーの変化、偏微分を用いた力と位置エネルギーの関係 |
偏微分を用いて、位置エネルギーから力を計算できる
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14週 |
角運動量、慣性モーメント、回転の運動方程式 |
角運動量の定義が言える。(外積を用いて定義できる)慣性モーンメントと角運動量の関係が分かる。回転の運動方程式を導ける。
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15週 |
本科目のまとめ |
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16週 |
前期末テスト、前期末テスト解説、万有引力演習、慣性力 |
万有引力の問題が解ける、慣性力を説明できる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。 | 3 | 前3 |
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。 | 3 | 前7,前9 |
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | 前12,前13 |
力のモーメントを求めることができる。 | 3 | 前14 |
角運動量を求めることができる。 | 3 | 前14 |
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。 | 3 | 前14 |
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。 | 3 | |
重心に関する計算ができる。 | 3 | |
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。 | 3 | |
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 75 | 0 | 0 | 0 | 0 | 25 | 100 |
基礎的能力 | 75 | 0 | 0 | 0 | 0 | 25 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |