化学工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 化学工学Ⅰ
科目番号 1216 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 ベーシック化学工学、著者:橋本健治編、発行所:化学同人
担当教員 庄司 良,城石 英伸,利谷 翔平

到達目標

化学装置を設計、制御するための基礎となる「物質収支」と「物質移動」の考え方や式の立て方を理解する。化学反応を工業的規模で行わせる際に重要な、熱およびガス吸収について学ぶ。 物質収支や物質移動の考え方および数式の意味が現象と結びつけて理解できるようになることを目標とする。また、物質収支と物質移動の意味を理解した上で化学工学計算ができるようになる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1 SI単位、単位換算の理解いろいろな単位換算ができる。SI単位の単位換算ができる。教員が助言し、本を見ればSI単位の単位換算ができる。単位換算が出来ない
評価項目2 収支を理解エネルギー収支、運動量収支、物質収支がとれる。物質収支がとれる。教員が助言し、本を見れば物質収支がとれる。収支を理解していない。
評価項目3 圧力損失の計算の理解複雑な管路での計算ができる。直管における計算ができる。教員が助言し、本を見れば直管における計算ができる。計算ができない。
評価項目4 伝熱のメカニズムの理解伝熱のメカニズムを理解している。伝熱のメカニズムを知っている。教員が助言し、本を見れば伝熱のメカニズムを思い出す。伝熱のメカニズムを知らない。
評価項目5 熱交換器の伝熱性能評価熱交換器の伝熱性能評価を理解している。熱交換器の伝熱性能評価を知っている。教員が助言し、本を見れば熱交換器の伝熱性能評価を思い出す。熱交換器の伝熱性能評価が出来ない。
評価項目6 充填塔吸収装置の設計充填塔吸収装置の設計を理解している。充填塔吸収装置の設計を知っている。教員が助言し、本を見れば充填塔吸収装置の設計を思い出す。充填塔吸収装置の設計が出来ない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学工学の重要なトピックスである、流動、伝熱、反応、分離、プロセスシステムのうち、流動と伝熱について学ぶ。化学反応、生物反応を起こさせるための「場」を設計する場合の基礎的な考え方を学ぶ科目として位置づけられる。反応装置の設計に必要な基礎科目として位置づけられる。また、化学プラントにおける熱交換器の改造、改善、能力増強等を最終的なイメージとして、伝熱について学習する。
授業の進め方・方法:
講義を行い、その中で例題を解き解説を行う。また章末問題等を用いて演習を行う。中間,期末試験を行う。
注意点:
授業中はアクティブに脳を活性化させること。教科書の例題は、最低限理解すること。内容が多岐にわたるので十分な予習、復習と積極的姿勢を求める。一人で正確に計算できるようになること。教科書レベルの問題で60点以上取る。演習を行うので、電卓及び定規を持参すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 導入:化学工学とは?/単位 化学工学の目的の理解および単位換算ができる。
2週 収支:物質収支 物質収支の概念の理解と計算ができる。
3週 収支:エネルギー収支 エネルギー収支の概念の理解と計算ができる。
4週 流動:流体の物質・エネルギー収支 定常流れの物質収支、エネルギー収支(ベルヌーイの式、機械的エネルギー収支)を理解する。
5週 流動:摩擦損失 ニュートン流体、流れの状態、運動量収支、流れの摩擦損失(ファニング式)を理解する。
6週 流動:ポンプ動力の計算 流体輸送の摩擦損失の計算とポンプ動力の計算ができる。
7週 伝熱:フーリエの法則 フーリエの法則、平板や円筒内の熱伝導計算ができる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 伝熱:熱貫流 熱貫流、境膜伝熱係数、総括伝熱係数を理解できる。
10週 伝熱:熱交換器の設計 熱交換器の原理を理解し、設計計算ができる。
11週 伝熱:蒸発 蒸発装置の原理を理解し、伝熱計算ができる。
12週 伝熱:放射伝熱 黒体、ウィーンの変移則、放射伝熱を理解できる。
13週 ガス吸収:気液平衡 ヘンリーの法則、境膜物質移動、Fickの法則を理解する。
14週 ガス吸収:ガス吸収塔の設計 充填塔ガス吸収装置の設計計算ができる。
15週 まとめ
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。4
化学工学SI単位への単位換算ができる。4
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4
管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。4
流れの物質収支の計算ができる。4
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。4
流体輸送の動力の計算ができる。4
蒸留の原理について理解できる。4
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4
基本的な抽出の目的や方法を理解し、抽出率など関係する計算ができる。4
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。4
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。4

評価割合

試験演習相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
総合評価0000000
基礎的能力4015000055
専門的能力3015000045
分野横断的能力0000000