到達目標
(科目コード:11320,英語名:Electric Circuits)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
① 電気諸現象の法則と、解析する上での定理を理解する。30% (d1)
② 交流における位相の考え方を理解する。20% (c1)
③ インピーダンス及びアドミタンスの概念と、これを導入することの利点を理解する。25% (c2), (d1)
④ 上記の知識を駆使し、電気回路中の任意の素子に流れる電流,またはその両端の電圧を求める方法を習得する。25% (d1)
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 最低限の到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 標準的な到達レベルに加え、ノートンの定理,電源からの最大供給電力,実効値,交流素子で消費される電力について説明することができる。 | オームの法則,キルヒホッフの法則,テブナンの定理,重ねの理を説明することができる。 | オームの法則とキルヒホッフの法則を完全に理解している。 | オームの法則またはキルヒホッフの法則が理解できていない。 |
評価項目2 | 任意の電圧または電流の複素表現から、位相関係をフェザーで示すことができる。 | フェザーを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。 | 簡単な交流回路の位相関係をフェザーを用いて示すことができる。 | 簡単な交流回路の位相関係をフェザーを用いて示すことができない。 |
評価項目3 | 複素数と正弦波交流の微積分の関係を説明することができる。 | インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。 | 交流回路素子のインピーダンス若しくはアドミタンスを示すことができる。 | 交流回路素子のインピーダンス若しくはアドミタンスを示すことができない。 |
評価項目4 | 標準的な到達レベルに加え、テブナンの定理,ノートンの定理,重ねの理を用いて回路の計算ができる。 | 網目電流法を用いて回路の計算ができる。 | 任意の電流,または電圧を求めるための正しい方程式を立てることができる。 | 任意の電流,または電圧を求めるための正しい方程式を立てることができない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
電気諸現象と電気回路素子との関係を学ぶ。また、電気回路の学習を通して、電気・電子工学以外の分野でも非常に有効な工学的手法と解析法を修得することを目的とする。
関連する科目:電子回路A(次年度履修)
授業の進め方・方法:
授業計画に沿って、基本的に講義形式で実施する。レポート(宿題)は、年間で10通程度出題する。また、適宜、演習等を行う。レポートや演習について、授業中に学生に説明させることがある。
前期は遠隔授業とし、授業計画に沿って、課題・演習形式で実施する。各回の大まかな構成は以下のとおり。
1.授業時間に前回の質問等受け付け(Microsoft Teams)
2.学習のポイント(到達目標),学習範囲(教科書の対応部分など)及び課題の提示(Microsoft Teams)
3.自分で学習範囲を学習ノートにまとめる
4.課題・演習レポートの作成
前期分の評価は、課題・演習レポートで置き換える。
変更:前期中間試験の評価は、前期中間までの課題・演習レポートで置き換える。前期末試験を実施する。
注意点:
理論説明や電流・電圧の導出に、連立一次方程式,行列,ベクトル,三角関数,複素数,微分・積分の数学を必要とする。また、数値計算よりも、方程式が立てられることと解を記号で導出できることを重要視する。これらを踏まえ、これまでに学習した数学や物理を復習しておくこと。
レポート提出の締切超過は減点、未提出は0点とする。また、他者のコピーとみなしたレポートは、オリジナル,コピーを問わず、共に減点する。
本科目は本来、面接授業として実施を予定していたものであるが 、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態において、必要に応じ遠隔授業として実施するものである。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
電気の基礎 |
電流,電圧,抵抗,コンダクタンス,電力の定義を理解する。オームの法則を理解する。
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2週 |
直流回路:キルヒホッフの法則 |
キルヒホッフの電流則及び電圧則を理解する。
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3週 |
直流回路:抵抗の直列接続と並列接続 |
抵抗の直列接続及び並列接続の合成抵抗またはコンダクタンスを求めることができる。
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4週 |
直流回路:回路解析1 |
キルヒホッフの法則を用いて、枝電流法による方程式を立てることができる。
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5週 |
直流回路:回路解析2 |
閉路電流法(網目電流法)による方程式を立てることができる。ホイートストンブリッジ回路を計算し、平衡条件を求めることができる。
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6週 |
前期中間まとめ1 |
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7週 |
直流電源 |
直流電圧源及び直流電流源の等価回路を理解する。
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8週 |
電源からの最大供給電力 |
電源からの最大供給電力の計算から、整合条件とその厳密さを理解する。
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2ndQ |
9週 |
テブナンの定理,重ねの理 |
テブナンの定理,ノートンの定理及びノートンの関係を理解し、それらを用いた解法を習得する。重ねの理を用いた解法を習得する。
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10週 |
前期中間まとめ2 |
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11週 |
回路素子:抵抗,コンデンサ1 |
回路素子としての抵抗の性質を理解する。直流回路におけるコンデンサの性質を理解する。
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12週 |
回路素子:コンデンサ2 |
直列及び並列接続されたコンデンサの合成静電容量を求めることができる。
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13週 |
回路素子:コイル1 |
コイルの性質を理解する。
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14週 |
回路素子:コイル2 |
直列及び並列接続されたコイルの合成インダクタンスを求めることができる。
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15週 |
前期まとめ |
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16週 |
発展授業 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
交流:正弦波交流の記述,平均値,実効値 |
正弦波の工学上の意味を理解し、正弦波交流について、振幅,周期,周波数,角速度,フェザーとの関係,位相について説明することができる。実効値を説明することができる。
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2週 |
交流:抵抗で消費される電力 |
抵抗で消費される電力の瞬時値の計算から、有効電力と実効値について理解する。
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3週 |
交流回路中のコンデンサ・コイルの性質1 |
交流回路中のコンデンサの電流,電圧と消費電力及び蓄えられるエネルギーについて理解する。容量性リアクタンスについて理解する。
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4週 |
交流回路中のコンデンサ・コイルの性質2 |
交流回路中のコイルの電流,電圧と消費電力及び蓄えられるエネルギーについて理解する。誘導性リアクタンスについて理解する。
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5週 |
交流回路の計算:フェザーを用いたベクトル計算法1 |
R,C,L素子からなる簡単な交流回路のフェザーを示すことができる。
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6週 |
交流回路の計算:フェザーを用いたベクトル計算法2 |
フェザーを用いたベクトル計算法を習得する。
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7週 |
後期中間試験 |
試験時間:50分
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8週 |
試験解説 |
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4thQ |
9週 |
交流回路の計算:代数的計算法(正弦波交流の複素数表示) |
フェザーと複素平面の関係を理解する。
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10週 |
インピーダンスとアドミタンス1 |
コンデンサ及びコイルのインピーダンスとアドミタンスを理解する。
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11週 |
インピーダンスとアドミタンス2 |
R,C,Lからなる交流回路の合成インピーダンス及び合成アドミタンスを求め、交流回路の計算をすることができる。
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12週 |
回路素子の良さ |
実際のコンデンサまたはコイルについて、tanδ及びQの意味を理解する。
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13週 |
交流回路のまとめ1 |
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14週 |
交流回路のまとめ2 |
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15週 |
まとめと発展授業 |
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16週 |
後期末試験 17週:試験解説 |
試験時間:50分
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。 | 3 | 後9,後10,後11 |
角を弧度法で表現することができる。 | 3 | 後1 |
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 3 | 後2 |
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。 | 3 | 後3 |
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 3 | 後4 |
自然科学 | 物理 | 電気 | オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。 | 3 | 前1 |
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。 | 3 | 前3 |
ジュール熱や電力を求めることができる。 | 3 | 前1 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 電荷と電流、電圧を説明できる。 | 4 | 前1 |
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 4 | 前1 |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 4 | 前2,前4,前5 |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 4 | 前3 |
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 4 | 前5 |
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。 | 4 | 前1 |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 4 | 後1 |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 4 | 後1 |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 4 | 後3,後4,後5 |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 4 | 後5,後6 |
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。 | 4 | 後4 |
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。 | 4 | 後6 |
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。 | 4 | 後10,後11 |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 4 | 後11 |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 4 | 後11,後13,後14 |
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。 | 4 | 前10 |
網目電流法を用いて回路の計算ができる。 | 4 | 前5 |
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。 | 4 | 前10 |
評価割合
| 試験(前期中間) | 試験(前期末) | 試験(後期中間) | 試験(学年末) | レポート | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 10 | 20 | 20 | 25 | 25 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 10 | 20 | 20 | 25 | 25 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |