流体力学Ⅱ

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 流体力学Ⅱ
科目番号 0151 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「水力学」森北出版株式会社/配布プリント
担当教員 山岸 真幸

到達目標

(科目コード:11530 英語名:Fluid Dynamics Ⅱ)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育到達目標との関連の順で次に示す。
①二次元における流体の運動と基礎式を理解する。40%(d1)(e2)
②粘性流体の諸性質,特に境界層の概念と性質を理解する。40%(d1)(e2)
③乱流の概念を理解し,代表的な流れや現象を理解する。20%(d1)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1二次元における流体の運動と基礎式を詳細に理解する。二次元における流体の運動と基礎式を理解する。二次元における流体の運動と基礎式を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目2粘性流体の諸性質,特に境界層の概念と性質を詳細に理解する。粘性流体の諸性質,特に境界層の概念と性質を理解する。粘性流体の諸性質,特に境界層の概念と性質を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目3乱流の概念を理解し,代表的な流れや現象を詳細に理解する。乱流の概念を理解し,代表的な流れや現象を理解する。乱流の概念を概ね理解し,代表的な流れや現象を概ね理解する。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
流体力学IA、IBでは、非粘性の流体(完全流体)を中心に学習したが、実在の流体は少なからず粘性を持ち、その結果完全流体とは大きく異なる流れとなる。一方流体中の物体表面の流れは、境界層と呼ばれる薄い層を除けば非粘性の流れで近似できる。このような粘性流体の基礎的な性質と,流れを記述する基礎方程式について講義し、また代表的な粘性流の例を紹介する。
〇関連する科目:流体力学IA、B(前年度履修)、流体工学(専1履修)、レオロジー(専2履修)
授業の進め方・方法:
プロジェクターを使って説明するので、授業に集中して聞くこと。毎回、小問題に取り組んでもらい、内容の区切りで理解を深めるために課題を課す。最後に演習にも取り組んでもらう。
注意点:
流れの基礎式を理解するために、微分・積分、流体力学IA、IBの内容を復習しておくこと、問題を解くだけでなく、現象を理解することも重要である。「伝熱工学」は境界層の知識が必要になるので、受講希望者は本科目を履修することが望ましい。
本科目は本来、面接授業として実施を予定していたものであるが、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態において、必要に応じ遠隔授業として実施するものである。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
数学的取り扱いと、二次元流れへの拡張
授業を進めるうえで必要な数学的記述方法を学び、流れを二次元で扱うことを理解する。
2週 流体要素の伸縮・せん断・回転 流体要素の変形を理解する。
3週 二次元流れの連続の式と運動方程式 二次元流れの基礎式を理解する。
4週 二次元流れのベルヌーイの定理 二次元流れの基礎式を理解する。
5週 速度ポテンシャルと流れ関数 速度ポテンシャルと流れ関数の定義と扱い方を理解する。
6週 渦度と循環 循環の定義と、渦度との関係を理解する。
7週 粘性流体の基本的性質 二次元流れにおける、粘性によるせん断応力の定義を理解する。
8週 ナヴィエ・ストークス方程式 粘性を考慮した運動方程式を理解する。
2ndQ
9週 ナヴィエ・ストークス方程式の厳密解 ナヴィエ・ストークス方程式の厳密解の導出方法を理解する。
10週 境界層の概念,境界層の特性量 境界層の概念を理解し、特性量としての厚さの定義・導出方法を学ぶ。
11週 境界層方程式,境界層のはく離 境界層のはく離現象を理解する。
12週 ブラジウスの厳密解,運動量積分方程式 境界層厚さのブラジウスの厳密解、運動量積分方程式の導出と抗力の求め方を学ぶ。
13週 物体周りの流れ 物体周りの流れに生じる現象を理解する。
14週 揚力と抗力 物体に作用する揚力と抗力の発生、導出方法を理解する。
15週 乱流の基礎,壁乱流,自由乱流 乱流、特に壁乱流や、噴流・後流などの自由乱流について理解する。
16週 演習 円柱周りの圧力測定実験の結果を用いて、円柱の抗力を求める演習に取り組み、導出方法を理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。4前12,前16
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。4前9,前10,前12,前13,前15,前16

評価割合

小問題レポート演習合計
総合評価割合404020000100
基礎的能力30201000060
専門的能力10201000040
分野横断的能力0000000