電気電子計測

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電気電子計測
科目番号 0045 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 電気・電子計測(森北出版)
担当教員 内富 直隆,和久井 直樹

到達目標

(科目コード:21230,英語名:Electrical Measurements)(授業計画の週は回と読替えること)
この科目は長岡高専の教育目標の(C)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①基本指示計器の動作原理と測定可能範囲を理解する。25%(c2)、②電流・電圧測定における問題点を理解し、その対策法を修得する。25%(c2)、③電力、電力量測定の基本原理とその誤差対策を理解する。25%(c2)、④抵抗・インピーダンス測定における問題点を理解し、その対策法を修得する。25%(c2)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1基本指示計器の動作原理と測定可能範囲を詳細に理解する。基本指示計器の動作原理と測定可能範囲を理解する。基本指示計器の動作原理と測定可能範囲を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目2電流・電圧測定における問題点を詳細に理解し、その対策法を修得する。電流・電圧測定における問題点を理解し、その対策法を修得する。電流・電圧測定における問題点を概ね理解し、その対策法の概略を修得する。左記に達していない。
評価項目3電力、電力量測定の基本原理とその誤差対策を詳細に理解する。電力、電力量測定の基本原理とその誤差対策を理解する。電力、電力量測定の基本原理とその誤差対策を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目4抵抗・インピーダンス測定における問題点を詳細に理解し、その対策法を修得する。抵抗・インピーダンス測定における問題点を理解し、その対策法を修得する。抵抗・インピーダンス測定における問題点を概ね理解し、その対策法の概略を修得する。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
現代の電気電子工学のすばらしい発展の基をなしているものは電気電子計測であって、しかも電気電子工学のいずれの分野でも計測に関係しないところはほとんどない。従って、電気電子計測は電気電子工学を学ぶ学生にとって最も重要な基礎科目の一つである。本授業では、現在製造されている多数の計測器や測定方法等の羅列ではなく、主として計測器の共通的原理や電気電子計測の基礎的事項を理解することを目的とする。
○関連する科目:数学,電気電子工学基礎(1年),基礎電気回路(2年),電気数学(2年)
授業の進め方・方法:
適宜授業内容に沿った小テストを行い、理解程度を把握するとともに、学力の向上に努める。
注意点:
指示計器の基本は、人間の5感で感じられない電気的な量で機械的なメータを振らせることにある。従って、一般物理の知識(特に力と物体の運動、電気と電流の作用)が必要不可欠である。また、2年の「基礎電気回路」の内容をもう一度復習してから受講することが望ましい。本科目は本来、面接授業として実施を予定していたものであるが、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態において、必要に応じ遠隔授業として実施するものである。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電気・電子計測の概要と準備 電気・電子計測の重要性について理解する
2週 計測の位置づけと基本概念(1) 計測の位置づけと基本的な事項について理解する。
3週 統計的な性質と処理(1) 計測の基礎となる数理統計的な誤差、偏差などについて概念を理解する
4週 統計的な性質と処理(2) 計測の数理統計的な母集団、平均、分散などを理解する
5週 単位と標準(1) 物理量を表すための単位の定義などについて理解する
6週 単位と標準(2) 電気電子情報で必要なデシベル表示について理解する
7週 指示計器(1) 可動コイル型指示計器の構造や原理について理解する
8週 前期中間試験 試験時間:50分
2ndQ
9週 指示計器(2) 熱電形計器・静電型計器の動作原理を理解する。
10週 指示計器による直流測定(1) 電圧計の倍率器や電流計の分流器など電気計測の基礎を理解する
11週 指示計器による直流計測(2) 零位法やブリッジなどの電気測定の基礎を理解する
12週 指示計器による交流計測(1) 交流と交流電力について理解する。交流を扱う場合に必要となるフェーザについて理解する
13週 指示計器による交流計測(2) 交流のインピーダンスやアドミタンスなどについて理解する
14週 測定用電子デバイスと機能回路(1) 電子計測に必要な半導体と電子デバイスの基礎知識を学ぶ
15週 測定用電子デバイスと機能回路(2) 計測に用いられている機能回路について理解する
16週 学年末試験
17週:試験解説と発展授業
試験時間:50分
後期
3rdQ
1週 測定用電子デバイスと機能回路(3) オペアンプを用いた機能回路について理解する
2週 ディジタル計測(1) ディジタル計測の基本的な考え方を学ぶ
3週 ディジタル計測(2) アナログ量をディジタル量に変換するA/D変換とその逆のD/A変換について学ぶ
4週 波形 オシロスコープの基礎について学ぶ
5週 周波数・位相(1) 電気電子現象の多くは波動と関係している。それを扱うための数学的な基礎を理解する
6週 周波数・位相(2) 周波数スペクトル、パワースペクトル密度などについて理解する
7週 周波数・位相(3) 位相とその測定方法について理解する
8週 後期中間試験 試験時間:50分
4thQ
9週 雑音(1) 電気測定で現れる雑音について理解する
10週 雑音(2) 様々な雑音について理解する
11週 共振 共振器は交流回路の計測で重要な役割を果たすことを理解し、共振回路の周波数特性を学ぶ
12週 伝送線路とインピーダンスマッチング(1) 高周波回路で重要な概念となる分布定数回路を理解する
13週 伝送線路とインピーダンスマッチング(2) 伝送回路とインピーダンスマッチングについて理解する
14週 磁気測定 磁界測定の基礎について理解する
15週 電気・電子計測のまとめと展開 電気・電子計測の補足説明とまとめ
16週 学年末試験
17週:試験解説と発展授業
試験時間:50分

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。4前11
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。4前3,前4
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。4前5
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。4前6
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。4前8,前9,前10,前11,前12,前13
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。4前10
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。4後3
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。4前10,前11,前12,前13
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。4前13
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。4前12,後5
電力量の測定原理を説明できる。4前11,前12,後5
オシロスコープの動作原理を説明できる。4後4

評価割合

前期中間試験前期末試験後期中間試験学年末試験合計
総合評価割合25252525100
基礎的能力00000
専門的能力25252525100
分野横断的能力00000