電気電子システム工学実験Ⅱ

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 電気電子システム工学実験Ⅱ
科目番号 0069 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 電気電子システム工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 電気電子システム工学実験Ⅱテキスト(前期・後期)
担当教員 樺澤 辰也,島宗 洋介,床井 良徳,電気電子システム工学科 全教員

到達目標

(科目コード:21040、英語名:Experiments in Electric Engineering Ⅱ)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を習得する。:30%<(c1)(c2)(d1)(d2)(d3)(d4)(e1)(e2)(g1)(g2)>
②電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して理解する。:30%<(c1)(c2)(d1)(d2)(d3)(d4)(e1)(e2)(g1)(g2))>
③実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって説明できる。:40%<(b2)(c1)(c2)(d1)(d2)(d3)(d4)(e1)(e2)(g1)(g2)>

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を詳細に習得する。回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を習得できている。回路や電子素子の電圧や電流など電気諸量を、測定器で測定する方法を概ね習得できている。左記に達していない。
評価項目2電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して詳細に理解している。電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して理解している。電気・電子回路の諸定理・現象を、実験を通して概ね理解している。左記に達していない。
評価項目3実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって詳細に説明できる。実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって説明できる。実験から得られたデータについて工学的に考察し、報告書やプレゼンテーション等によって概ね説明できる。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
講義を主体とする理論の学習と実験による理論の実証とを有機的に結合させて学習の理解を深め一層の定着を図る。受講に際しては、事前に各テーマの目的を理解し、実験を通して正しい観察力や直感力を身につけてもらう。実験終了後は、直ちに測定データのグラフ化を行い、グラフから読み取れる実験結果に自分なりの検討・考察をまとめる必要がある。
授業の進め方・方法:
各テーマには,基礎的なことから高度な内容のものまでが含まれている。実験内容で良くわからないことがあれば、どんどん質問することである。この授業が技術者としての基礎的能力や自主性の向上に役立つことを願っている。
注意点:
各テーマ終了後提出する実験レポートの提出期限の遵守、結果のまとめと考察、課題に対する解答内容により評価する(100%)。最終成績はテーマごとの評価を平均し、科内会議で決定する。なお実験実習であることから全てのテーマに対して出席は必須とし、遅刻・無断欠席した場合には、レポートの評価点を大幅に減点することとする。60 点以上を合格とする。本科目は本来、面接授業として実施を予定していたものであるが、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態において、必要に応じ遠隔授業として実施するものである。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 前期で行う実験の概要や注意点、レポート作成方法について理解する。
2週 レポート作成技術① TEXによる報告書の作成を理解する。
TEXの基本的な使い方を理解する。
3週 レポート作成技術② TEXによる報告書の作成を理解する。
数式の書き方を理解する。
4週 レポート作成技術③ TEXによる報告書の作成を理解する。
図、表、画像ファイル、参考文献の挿入方法を理解する。
5週 アナログ電子回路(トランジスタの静特性) ・半導体素子(ダイオード、トランジスタ、FET)について理解する。
・ダイオード、トランジスタの静特性測定を行う。
6週 アナログ電子回路(トランジスタ、FETの静特性) ・トランジスタ、FETの静特性測定を行う。
・等価回路について理解する。
・等価回路のhパラメータ計算
7週 アナログ電子回路(2段増幅回路) ・2段増幅回路についてバイアス、増幅動作、負帰還回路について理解する。
・高入力インピーダンス増幅回路の設計を行う。
8週 アナログ電子回路(シミュレータ、回路の設計) ・回路シミュレータの操作方法の解説後に回路の動作特性をシミュレータにより解析し、回路を設計する。
・設計した増幅回路の製作を行う。
・直流動作の確認と特性測定
 動作点、安定度
2ndQ
9週 アナログ電子回路(周波数特性の測定) ・無帰還時、負帰還時の増幅回路の周波数特性の測定を行う。
・いくつかの周波数において入出力特性を測定する。
10週 オペアンプ回路設計(差段増幅回路) オペアンプを用いた差段増幅回路をブレットボード上に作製し、各種特性(入出力、周波数―利得・同相利得)の測定を行う。
11週 オペアンプ回路設計(微分回路、積分回路、加算回路への応用) オペアンプを使った微分回路、積分回路、加算回路を作製し、オシロスコープを用いて、動作を確認するとともに、それぞれの回路についての理解を深める。
12週 オペアンプ回路設計(パッシブフィルタ、アクティブフィルタ) パッシブフィルタおよびオペアンプを用いたアクティブフィルタを設計し、作製し、周波数特性の計測を行う。同時に理論値の比較、自分たちが製作した回路の検討を行う。
13週 オペアンプ回路設計(差動アンプの作製) 差動アンプを作製し、各種特性(入出力、周波数―利得・同相利得)の測定を行う。
14週 オペアンプ回路設計(差動アンプの作製) 差動アンプを作製し、各種特性(入出力、周波数―利得・同相利得)の測定を行う。
15週 レポート指導 実験結果(図、表)や考察の書き方について、振り返りを行う。これまでに行った実験が実社会においてどのように活用されてるのか理解する。
16週 実験指導(前期) 実験全体の振り返り
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 後期で行う実験の概要や注意点、レポート作成方法について理解する。
2週 パワーエレクトロニクスの基礎(単相半波整流制御) 交流の電源から半波整流の出力を取り出すと共に,直流出力の大きさを変化できること、及び制御回路についても観測理解する。
3週 パワーエレクトロニクスの基礎(単相交流制御,三相インバータによる周波数制御) サイリスタを逆並列接続して、交流電源から出力電圧・電流の大きさを変化できる交流出力を取り出し、これを観測理解する。電力変換器の主流として用いられている汎用三相インバータの構成及び動作を理解する。
4週 データ解析およびレポート作製 得られたデータを第三者に報告するための実験レポートを作成する。
5週 電力系統に関する実験①(電力円線図) 電力系統の運転特性は電力円線図により明らかにされる。ここでは140〔kv〕、 150〔km〕2回線送電系統の運転特性を計算により求め模擬送電線路で実測を行い、送電について理解する。電力円線図について理解する。
6週 電力系統に関する実験②(運転特性) 模擬送電線の操作概要を理解する。模擬線路を用いて、円線図、運転特性について実験を行い理論値と比較する。
7週 データ解析およびレポート作製 得られたデータを第三者に報告するための実験レポートを作成する。
8週 PN接合の温度特性①(pn接合の電圧・電流特性) 半導体素子の動作原理を理解するうえで、pn接合の原理を学ぶことは大変重要なことである。本実験ではpn接合の電圧-電流特性と接合容量の温度変化を実験で調べる.特に接合付近のキャリア分布に注目し、材料物性的な面から現象の理解を深める.順方向 電圧-電流特性の測定(室温)、逆方向 電圧-電流特性の測定(室温)、逆バイアス時の接合容量の測定(室温)の測定を行う。
4thQ
9週 PN接合の温度特性②(発光ダイオードの電-圧電流特性の測定) 発光ダイオードの電-圧電流特性の測定を行う。具体的には、順方向 電圧-電流特性の測定)、順方向 電圧-電流特性の測定を室温及び液体窒素温度において行う。
10週 データ解析およびレポート作製 得られたデータを第三者に報告するための実験レポートを作成する。
11週 シーケンス制御実験①(シーケンスの基礎) シーケンス制御は「あらかじめ定められた順序に従って、制御の各段階を逐次進めていく制御」である。このシーケンス制御について、古典的なリレーシーケンス制御と現在広く用いられているプログラマブルコントローラーによる制御を学習する。リレーシーケンス制御の構成素子について学び、自己保持回路、並列優先回路(インターロック回路)、新入力優先回路、直列優先回路の作製を行い、シーケンスについての理解を深める。
12週 シーケンス制御実験②(リレーシーケンス、プログラマブルコントローラー制御) ある課題をクリヤするレーシーケンスを考え、タイミングチャートを書くと共に、リレーシーケンスの作製を行う。プログラマブルコントローラー(以下PCと略す)は、商品名であるシーケンサーとも呼ばれ、現在、シーケンス制御の主力となっている.PCは入力信号や内部で作った信号、更に各種の演算機能をプログラムによりつなぎ合わせて制御を行なう。そのため、PCで制御をする場合、配線をする代わりにプログラミングを行なう。
13週 データ解析およびレポート作製 得られたデータを第三者に報告するための実験レポートを作成する。
14週 光通信の実験①(光ファイバを用いた通信) 本実験では、光ファイバを用いた通信を行うことにより、光ファイバ通信についての基礎的な事項を理解する。
15週 光通信の実験②(LDやLEDの発光特性や偏波特性) また、LD(レーザダイオード)およびLED(発光ダイオード)の発光特性や偏波特性について学び、LDやLEDの発光特性や偏波特性について理解する。
16週 データ解析およびレポート作製 得られたデータを第三者に報告するための実験レポートを作成する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3後5
安全を確保して、実験を行うことができる。3後5
実験報告書を決められた形式で作成できる。3後5
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3後5
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。4
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。4
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。4
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。4
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。4
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。4
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。4
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。4
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。4
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4
FETの特徴と等価回路を説明できる。4
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。4
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。4
演算増幅器の特性を説明できる。4
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。4
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。4
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。4
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。4
増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。4
論理回路の動作について実験結果を考察できる。4
ディジタルICの使用方法を習得する。4

評価割合

レポート合計
総合評価割合100100
基礎的能力2020
専門的能力8080
分野横断的能力00