基礎情報処理

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 基礎情報処理
科目番号 0001 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 情報処理の基礎―エンジニアの卵たちへ―(長岡高専情報処理共通化WG) / 坂村健ほか、改訂版 高等学校 社会と情報(数研出版社)
担当教員 竹部 啓輔,上村 健二

到達目標

(科目コード:31140,英語名:Fundamentals of Information Processing)
この科目は長岡高専の教育目標の(C)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標の関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育到達目標との関連の順で次に示す。
①情報の概念を理解する。10% (c1)、②情報の収集・整理・加工・表現・発信・交換の手段としてコンピュータを使えるだけでなく、目的に応じて適切な手段を選択できる。20% (d2)、③コンピュータの仕組み、情報通信ネットワークの概略を理解する。20% (c1)、④2進数、16進数など、10進数以外の数の表現方法を理解する。20% (c1)、⑤1分間あたり130打鍵程度のキー入力ができる。20% (d2)、⑥AI技術を構築・運用するために必要なスキルと開発の流れについて説明できる。10%(d2)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1情報の概念を説明できる情報の概念を理解している情報の概念を概ね理解している情報の概念を理解していない
評価項目2情報の収集・整理・加工・表現・発信・交換の手段としてコンピュータを使えるだけでなく、目的に応じて適切な手段を選択できる。情報の収集・整理・加工・表現・発信・交換の手段としてコンピュータが使える情報の収集・整理・加工・表現・発信・交換の手段としてコンピュータを概ね使うことができる情報の収集・整理・加工・表現・発信・交換の手段としてコンピュータが使えない
評価項目3コンピュータの仕組み、情報通信ネットワークの概略を説明できるコンピュータの仕組み、情報通信ネットワークの概略を理解しているコンピュータの仕組み、情報通信ネットワークの概略を概ね理解しているコンピュータの仕組み、情報通信ネットワークの概略を理解していない
評価項目42進数、16進数などの表現方法を理解し、それぞれの基数での簡単な計算ができる2進数、16進数などの表現方法を理解している2進数、16進数などの表現方法を概ね理解している2進数、16進数などの表現方法を理解していない
評価項目51分間あたり200打鍵程度のキー入力ができる1分間あたり150打鍵以上のキー入力ができる1分間あたり130打鍵程度のキー入力ができる1分間あたり130打鍵程度のキー入力ができない
評価項目6AI技術を構築・運用するために必要なスキルと開発の流れを正しく説明できるAI技術を構築・運用するために必要なスキルと開発の流れを概ね説明できるAI技術を構築・運用するために必要なスキルを概ね説明できるAI技術を構築・運用するために必要なスキルを説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
情報化社会と呼ばれる今日、ユーザ、技術者、また社会の一員として、情報や情報機器を正しく使えるようになることが必要である。ここでは、主に情報を活用したり発信したりするための方法を座学と実習を通じて学ぶ。また、コンピュータを中心とした情報機器を問題解決に利用する際に最低限必要な科学的・技術的知識を学ぶ。さらに、AI(人工知能・機械学習)開発の実習を行い、AI技術の概要および活用方法を学ぶ。
○関連する科目:情報処理I(2年次履修),情報処理II(3年次履修),計算機システム(3年次履修)
授業の進め方・方法:
主に総合情報処理センター等の端末室で授業を行う。テキスト「情報処理の基礎」の内容を中心に、座学と演習を行う。
コンピュータの使い方、電子メールの使い方、Webページの閲覧など基礎的な内容から、文書作成、表計算、プレゼンテーションソフトウェアの使用法、Webページの作成方法などを学ぶ。
注意点:
実習を通じて多くのことを学ぶが、単に「できた・できない」に一喜一憂するのではなく、手を動かしながら、なぜそういう結果になるのか、もっとうまい工夫はないかなど、常に考えるようにしよう。それから、コンピュータ・ネットワークを利用する上での正しいマナーを身につけ、校内における模範となってくれることを期待する。
本科目は本来、面接授業として実施を予定していたものであるが、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態において、必要に応じ遠隔授業として実施するものである。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業内容の説明、長岡高専の計算機システムの概説

端末室、電子メールを使用するためのパスワードの変更ができる
2週 共通認証システム、Blackboard、Office365等のサービスの概説 共通認証システム、Office365を使用するためのパスワードの変更ができ、BlackboardおよびOffice365にログインできる
3週 電子メール使用法 Webメールを用いて、電子メールを目的の相手に正しく送信できる
メール使用時のマナーについて理解する
4週 情報の収集・整理(1) Webブラウザの使い方を理解する
検索サイトを用いて調べたい事柄を検索できる
Webブラウザを使用するときなどのセキュリティやマナーについて理解する
5週 情報の収集・整理(2) Windowsの基本設定、操作について理解する
6週 情報の収集・整理(3) Windowsの基本設定、操作について理解する
7週 前期中間試験(R2年度:演習) 試験時間:50分
8週 試験解説
報告書の作成(1)注意事項の確認
Wordの基本的な使い方を理解する
2ndQ
9週 報告書の作成(2)  Wordの使い方を理解する(インデントやタブなど)
10週 報告書の作成(3)  Wordの使い方を理解する(図・表の作成)
11週 情報数学の基礎(1) 情報の概念、数の表現 情報の概念について理解する
2進数、8進数、16進数表現について理解する
12週 情報数学の基礎(2) 基数変換 10進数から2進数、8進数、16進数に変換することができる
2進数、8進数、16進数を10進数に変換することができる
2進数、8進数、16進数の間で相互に変換することができる。
13週 情報数学の基礎(3) 負数の表現 符号付き2進数表現、1の補数表現、2の補数表現について理解する
14週 情報数学の基礎(4) 論理数学の基礎
論理和・論理積・否定・排他的論理和とは何か理解する
15週 表計算(1) Excelの基本的な使い方を理解する
16週 期末試験(R2年度:表計算(2))
(17週:R2年度実施せず:試験返却・解説、表計算(2))
試験時間:50分
17週:Excelの数式の使い方を理解する
相対参照、絶対参照の使い分けができる
後期
3rdQ
1週 表計算(3) Excelを用いて、グラフが作成できる
2週 AI技術の基礎1:AIの概要と活用例、Custom vision APIの練習 AI技術の概要、活用例、使われている技術を説明できる
3週 AI技術の基礎2:機械学習による顔認証① 教師データの作成と機械学習による顔認証を体験し、一連の開発を実行できる
4週 AI技術の基礎3:機械学習による顔認証②、まとめ モデルの修正を行い、AI技術の開発に必要なスキルと運用方法を説明できる
5週 プレゼンテーション(1) PowerPointの基本的な使い方を理解する
6週 プレゼンテーション(2) PowerPointの基本的な使い方を理解する
7週 グループワーク(1) グループワークで作成する見学旅行計画について、旅行先などの基本事項を決定する
8週 中間試験 試験時間:50分
4thQ
9週 試験返却・解説
グループワーク(2)

 
グループワークで作成する見学旅行計画について、経費や所要時間などの詳細を調査する
10週 グループワーク(3) 発表会にむけ、プレゼンテーション資料をおおむね完成させる
11週 グループワーク(4) 仕上げ・リハーサル 発表会にむけ、プレゼンテーション資料を完成させる
リハーサルを行う
12週 グループワーク成果発表会 グループメンバーで協力し、作成した見学旅行計画について発表する
13週 HTML(1) HTMLの構成と基本的なタグについて理解する
14週 HTML(2) 作成したHTMLファイルをWebサーバにアップロードし、閲覧できるようにする
15週 タイピング試験 1分間に130打鍵以上を正確に行えること
16週 学年末試験
17週:試験返却・解説
試験時間:50分

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3前11,前12,前13,後1,後2,後3,後16
分数式の加減乗除の計算ができる。3後1,後2,後3,後16
人文・社会科学国語国語専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。3前9,前10,後9,後10,後11,後12,後16
実用的な文章(手紙・メール)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。3前3,後9,後10,後11,後16
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。3前4,前5,前6,後16
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。3前4,前5,前6,後16
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。3前4,前5,前6,後16
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。3前4,前5,前6,後16
工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3前1,前2,前3,前4,後12,後13,後16
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3前4,後12,後13,後16
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3前4,後12,後13,後16
情報リテラシー情報リテラシー情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識を活用できる。3前4,後12,後13,後16
論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。3前12,前13,前14,後16
コンピュータのハードウェアに関する基礎的な知識を活用できる。3前1,前2,前4,後16
情報伝達システムやインターネットの基本的な仕組みを把握している。3前1,前2,前3,前4,前5,後16
同一の問題に対し、それを解決できる複数のアルゴリズムが存在しうることを知っている。3前11,前12,前13,前14,後16
情報セキュリティの必要性および守るべき情報を認識している。3前1,前2,前3,前4,前5,後16
個人情報とプライバシー保護の考え方についての基本的な配慮ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,後16
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威を認識している3前2,前3,前4,前5,前6,後16
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威に対して実践すべき対策を説明できる。3前2,前3,前4,前5,前6,後16
専門的能力分野別の専門工学情報系分野プログラミング代入や演算子の概念を理解し、式を記述できる。2前11,前12,前13,前14,後16
変数の概念を説明できる。2前11,前12,前13,前14,後16
ソフトウェアアルゴリズムの概念を説明できる。3前11,前12,前13,前14,後15,後16
計算機工学整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。3前11,前12,前13,前14,後16
基数が異なる数の間で相互に変換できる。3前12,前13,後15,後16
整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。3前12,前13,後16
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。3前12,前13,後16
基本的な論理演算を行うことができる。3前14,後15,後16
システムプログラムコンピュータシステムにおけるオペレーティングシステムの位置づけを説明できる。1前4,前5,後16
情報通信ネットワークプロトコルの概念を説明できる。2前2,前3,後16
ローカルエリアネットワークの概念を説明できる。1前1,前2,前3,後16
インターネットの概念を説明できる。1前1,前2,前3,後16
その他の学習内容少なくとも一つの具体的なコンピュータシステムについて、起動・終了やファイル操作など、基本的操作が行える。3前1,前2,前3,後16
少なくとも一つの具体的なオフィススイート等を使って、文書作成や図表作成ができ、報告書やプレゼンテーション資料を作成できる。3前3,後16
少なくとも一つのメールツールとWebブラウザを使って、メールの送受信とWebブラウジングを行うことができる。3前3,前4,前5,前6,後16
コンピュータウィルスやフィッシングなど、コンピュータを扱っている際に遭遇しうる代表的な脅威について説明できる。3前5,前6,後16
コンピュータを扱っている際に遭遇しうる脅威に対する対策例について説明できる。3前5,前6,後16
マルウェアやフィッシングなど、コンピュータを扱っている際に遭遇しうる代表的な脅威について説明できる。3前5,前6,後16
メディア情報の主要な表現形式や処理技法について説明できる。2前4,前5,前6,後16
ディジタル信号とアナログ信号の特性について説明できる。2前4,前5,前6,後16
情報を離散化する際に必要な技術ならびに生じる現象について説明できる。2前4,前5,前6,後16
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。3前4,前5,前6,後7,後9,後10,後11,後16
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。3前4,前5,前6,後7,後9,後10,後11,後16
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3前4,前5,前6,後7,後9,後10,後11,後16
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3前4,前5,前6,後7,後9,後10,後11,後16
他者の意見を聞き合意形成することができる。3後7,後9,後10,後11,後16
合意形成のために会話を成立させることができる。3後7,後9,後10,後11,後16
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3後7,後9,後10,後11,後16
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3後7,後9,後10,後11,後14,後16
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3後7,後9,後10,後11,後14,後16
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3後7,後9,後10,後11,後14,後16
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3後7,後9,後10,後11,後14,後16
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3後13,後14,後16
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3後7,後9,後10,後11,後14,後16
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性法令やルールを遵守した行動をとれる。3後12,後13,後14,後16
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3後12,後16

評価割合

試験課題実技小テスト態度合計
総合評価割合5010201010100
基礎的能力301005550
専門的能力200200040
分野横断的能力0005510