材料化学実験

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 材料化学実験
科目番号 0077 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 配布テキスト/参考図書 「続 実験を安全に行なうために」(化学同人)、「機器分析の手引き」(化学同人)
担当教員 細貝 和彦,宮田 真理

到達目標

科目コード:41020 (英語名: Experiments in Materials Chemistry)
この科目は長岡高専の教育目標(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習教育目標との関連の順で示す。
・高分子微粒子調製技術に関連する知識の習得。16%(d3)
・示差熱分析測定法を習得する。17%(d3)
・粒度分布測定法を習得する。17%(d3)
・機器分析演習:材料分野の実験で用いる機器分析法について演習を通じて理解する。20%(d3)
・機器分析実験:①核磁気共鳴(NMR)の原理を学習し、測定方法と構造解析の手法を理解する。10%(d3)、②走査型電子顕微鏡(SEM)の原理を学習し、試料に対する観察手法を理解する。10%(d3)、③原子吸光分析の原理を学習し、測定方法と解析の手法を理解する。10%(d3)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
材料化学演習 評価項目 材料分野の物性・合成に対する演習を通じて、材料物性に関する知識を詳細に理解している。 材料分野の物性・合成に対する演習を通じて、材料物性に関する知識を理解している。 材料分野の物性・合成に対する演習を通じて、材料物性に関する知識を概ね理解している。 左記に達していない。
高分子合成実験 評価項目 高分子微粒子調製技術に関連する知識を習得している。高分子微粒子調製技術に関連する知識を習得している。高分子微粒子調製技術に関連する知識を概ね習得している。左記に達していない。
熱分析実験 評価項目 熱分析の原理を学習し、測定方法と材料の熱特性を詳細に理解している。 熱分析の原理を学習し、測定方法と材料の熱特性を理解している。熱分析の原理を学習し、測定方法と材料の熱特性を概ね理解している。左記に達していない。
粒径分布測定実験 評価項目 粒径分布測定の原理を学習し、測定方法と粉体材料の粒度特性を詳細に理解している。 粒径分布測定の原理を学習し、測定方法と粉体材料の粒度特性を理解している。 粒径分布測定の原理を学習し、測定方法と粉体材料の粒度特性を概ね理解している。 左記に達していない。
機器分析演習 評価項目 材料分野の実験で用いる機器分析法について演習を通じて詳細に理解している。 材料分野の実験で用いる機器分析法について演習を通じて理解している。 材料分野の実験で用いる機器分析法について演習を通じて概ね理解している。 左記に達していない。
機器分析実験 評価項目1 NMRの原理を学習し、測定方法と構造解析の手法を詳細に理解している。 NMRの原理を学習し、測定方法と構造解析の手法を理解している。NMRの原理を学習し、測定方法と構造解析の手法を概ね理解している。左記に達していない。
機器分析実験 評価項目2 SEMの原理を学習し、試料に対する観察手法を詳細に理解している。 SEMの原理を学習し、試料に対する観察手法を理解している。 SEMの原理を学習し、試料に対する観察手法を概ね理解している。 左記に達していない。
機器分析実験 評価項目3 原子吸光分析の原理を学習し、測定方法と解析の手法を詳細に理解している。 原子吸光分析の原理を学習し、測定方法と解析の手法を理解している。 原子吸光分析の原理を学習し、測定方法と解析の手法を概ね理解している。 左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
高分子の合成実験および機器分析の演習と実験を行う。機器分析の実験では、それまで扱えなかった重要な機器分析装置の利用法とデータ解析法について学ぶ。
〇関連する科目:卒業研究(学科5学年履修)、物質工学実験(学科5学年履修)
授業の進め方・方法:
前期は学生を高分子合成実験、熱分析実験、粒径分布測定実験の3テーマに班分けし、各実験テーマに対してローテーションしながら実施する。後期は、前半に機器分析実験の演習を行い、後半は3班で各実験をローテーションしながら実施する。
注意点:
高分子合成実験:安全第一を基本とし、次に正確なデータ取得手法を考え、実験・実習にあたること。
機器分析実験:共同分析機器を利用するので、事前に操作方法を十分に理解してから使用すること。
本科目は本来、面接授業として実施を予定していたものであるが、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態において、必要に応じ、一部、遠隔授業として実施するものである。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 材料化学演習全般の説明 材料化学演習全般の概要と取り組み方について理解する。
2週 【材料化学演習】重合操作および高分子材料の調製に関する演習 重合操作および高分子材料の調製について理解する。
3週 【材料化学演習】材料の熱特性およびその測定法に関する演習 材料の熱特性およびその測定法について理解する。
4週 【材料化学演習】粉体材料の粒径分布に対する特性および粒径分布測定法に関する演習 粉体材料の粒径分布に対する特性および粒径分布測定法について理解する。
5週 測定実験および合成実験のスケジュール・班分け等の説明 測定実験および合成実験のスケジュール・班分け等を確認し、実験を安全に進められるよう準備をする。
6週 【高分子合成実験】高分子微粒子の調製方法と評価についての説明 高分子微粒子の調製方法と評価について理解する。
7週 【高分子合成実験】高分子微粒子の調製実験 高分子微粒子の調製手法について理解する。
8週 【高分子合成実験】高分子微粒子の調製実験DATAの解析とまとめ 高分子微粒子の調製に関する理解を深める。
2ndQ
9週 【熱分析実験】熱分析測定装置の取り扱い方と測定手順に関する説明 熱分析測定装置の取り扱い方と測定手順について理解する。
10週 【熱分析実験】熱分析装置による材料の熱分析 熱分析測定装置による測定手順について理解を深める。
11週 【熱分析実験】材料の熱分析測定DATAの解析と実験まとめ 材料の熱分析の原理に関する理解を深める。
12週 【粒径分布測定実験】粒径分布測定装置の取り扱い方と測定手順に関する説明 粒径分布測定装置の取り扱い方と測定手順について理解する。
13週 【粒径分布測定実験】粒径分布測定装置を用いた粉体材料の測定実験 粒径分布測定装置による測定手順について理解を深める。。
14週 【粒径分布測定実験】粉体材料の測定DATAの解析と実験まとめ 粉体材料の材料の粒径分布に関する理解を深める。
15週 前期の演習・実験総括と発展的内容の説明 前期の演習および実験内容を整理し理解を深める
16週
後期
3rdQ
1週 【機器分析演習】演習全般の説明 機器分析演習全般の概要と取り組み方について理解する。
2週 IRに関する演習 IRに関する概要と解析手法を理解する。
3週 分析機器に関する演習(グループワーク part 1) 材料化学分野で用いられる機器分析法の概要について理解する。
4週 分析機器に関する演習(グループワーク part 2) 材料化学分野で用いられる機器分析法の概要について理解する。
5週 NMRに関する演習(part 1) NMRに関する概要と解析手法を理解する。
6週 NMRに関する演習(part 1)・演習のまとめ NMRに関する概要と解析手法を理解する。
7週 【機器分析実験】実験スケジュール・班分け等の説明 機器分析実験の概要と実験方法について理解する。
8週 NMR(1)NMRの原理と測定方法の解説・試料の測定 NMRの原理と試料の測定方法について理解する。
4thQ
9週 NMR(2)NMRの解析手法に関する解説と演習 NMRの測定方法と解析手法について理解する。
10週 SEM(1)SEMの原理と観察方法の解説・試料の前処理と観察part 1 SEMの原理と試料の前処理・観察方法について理解する。
11週 SEM(2)SEMの原理と観察方法の解説・試料の前処理と観察part 2 SEMの原理と試料の前処理・観察方法について理解する。
12週 原子吸光分析(1)原子吸光分析装置の原理と試料準備 原子吸光分析装置の原理と測定方法について理解する。
13週 原子吸光分析(2)試料の測定とデータ解析 原子吸光分析装置の解析法について理解する。
14週 機器分析実習のまとめ 機器分析について理解を深める。
15週 レポートの全体評価と発展的内容の説明 レポートの確認と本科で学んだ機器分析技術について理解を深める。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3前1
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3前1
測定と測定値の取り扱いができる。3前1,前2,前3,前4,前12,前13,前14
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3前1,前2,前3,前4,前12,前13,前14
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3前1,前2,前3,前4,前12,前13,前14
ガラス器具の取り扱いができる。3前3,前4
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3前3,前4
試薬の調製ができる。3前3,前4
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3前12,前13,前14
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4前3
吸引ろ過ができる。4前3
再結晶による精製ができる。4前3,前12,前13,前14
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4前3
収率の計算ができる。4前3
分析化学実験陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。4

評価割合

材料化学演習(レポート)材料物性測定・合成実験(レポート)機器分析演習(レポート)機器分析実習(レポート)合計
総合評価割合20302030100
基礎的能力00000
専門的能力20302030100
分野横断的能力00000