応用生物化学実験

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 応用生物化学実験
科目番号 0078 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 自作プリント(実験書),超基本バイオ実験ノート,羊土社,2005年
担当教員 菅原 正義,田﨑 裕二,赤澤 真一,河本 絵美

到達目標

(科目コード:41030,英語名:Experiments in Applied Biochemistry)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、成績評価上の重み付け、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を以下の表に示す。①生化学実験に必要な機器の操作法と試薬の調製法を習得する。10% (d1)、②微生物を取扱うのに必要な滅菌、無菌操作等の基本的操作ができる。15% (d1)、③微生物の顕微鏡観察と簡易同定ができる。 10% (d1)、④発酵食品試作の中で微生物の機能を理解する。 15% (d1)、⑤タンパク質・DNAを取り扱う際の注意を理解する。 17% (d1)、⑥タンパク質の性質を理解、それを応用した適切な分離・分析ができる。 17% (d1)、⑦遺伝子工学・バイオインフォマティクスの基礎を理解する。 16% (d1)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生化学実験に必要な機器の操作法と試薬の調製法を確実に習得する。生化学実験に必要な機器の操作法と試薬の調製法を習得する。生化学実験に必要な機器の操作法と試薬の調製法を概ね習得する。左記に達していない。
評価項目2微生物を取扱うのに必要な滅菌、無菌操作等の基本的操作が確実にできる。微生物を取扱うのに必要な滅菌、無菌操作等の基本的操作ができる。微生物を取扱うのに必要な滅菌、無菌操作等の基本的操作が概ねできる。左記に達していない。
評価項目3微生物の顕微鏡観察と簡易同定が確実にできる。生物の顕微鏡観察と簡易同定ができる。微生物の顕微鏡観察と簡易同定が概ねできる。左記に達していない。
評価項目4発酵食品試作の中で微生物の機能を詳細に理解する。発酵食品試作の中で微生物の機能を理解する。発酵食品試作の中で微生物の機能を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目5タンパク質・DNAを取り扱う際の注意を詳細に理解する。タンパク質・DNAを取り扱う際の注意を理解する。タンパク質・DNAを取り扱う際の注意を概ね理解する。左記に達していない。
評価項目6タンパク質の性質を理解、それを応用した適切な分離・分析が確実にできる。 タンパク質の性質を理解、それを応用した適切な分離・分析ができる。 タンパク質の性質を理解、それを応用した適切な分離・分析が概ねできる。 左記に達していない。
評価項目7遺伝子工学・バイオインフォマティクスの基礎を詳細に理解する。遺伝子工学・バイオインフォマティクスの基礎を理解する。遺伝子工学・バイオインフォマティクスの基礎を概ね理解する。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
生物機能を応用し物質生産を目指す分野において、微生物、細胞の取扱やタンパク質などの生体成分の取り扱いは、根幹的基礎技術である。物質工学科の生物応用コースを志望し、将来生物工学分野の仕事、研究に従事したいと考える学生にとって、この基本的技術修得は重要である。このような独特の取り扱い手技を理解し、適切に行うことができるようになることを本実験の目的とする。
 ○関連する科目:物質工学実験(無機・有機・生化)(3年次履修)、卒業研究(5年次履修)、物質工学実験(化工)(5年次履修)
授業の進め方・方法:
前期は微生物関係、後期は酵素関係の実験を行う。微生物や生体物質取扱法の修得は、今後の実験や卒業研究、卒業後においても重要な基礎技術であるので正しい方法・技術を身につけること。
注意点:
本科目は本来、面接授業として実施を予定していたものであるが、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態において、必要に応じ遠隔授業として実施するものである。 

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 微生物の取り扱いに関する手技修得1 微生物の取り扱いに関する手技を修得する。
2週 微生物の取り扱いに関する手技修得2 微生物の取り扱いに関する手技を修得する。
3週 微生物の取り扱いに関する手技修得3 微生物の取り扱いに関する手技を修得する。
4週 微生物の取り扱いに関する手技修得4 微生物の取り扱いに関する手技を修得する。
5週 自然界からの酵母の分離
微生物の増殖と集積培養を利用した自然界からの酵母のスクリーニングがわかる。
6週 Bacillus subtilisの利用 枯草菌の芽胞の性質がわかる。
7週 Aspergillus oryzaeを利用した製麹  麹の調製により、麹カビの性質や麹中の酵素についてわかる。
8週 分離酵母によるパンの試作 スクリーニングした酵母でパンを試作し、市販酵母との比較により野生酵母との違いと育種の必要性を理解する。
2ndQ
9週 麹を用いた味噌の試作 試作した米麹を用いて、味噌を調製し、酵素の働きについて理解する。
10週 大腸菌の増殖曲線の作成1 大腸菌の増殖曲線の作成にかかわる基本操作を身に付ける。
11週 大腸菌の増殖曲線の作成2 大腸菌の増殖曲線の作成にかかわる基本操作を身に付ける。
12週 大腸菌を用いた形質転換実験1 大腸菌を用いた形質転換の基本操作を身に付ける。
13週 大腸菌を用いた形質転換実験2 大腸菌を用いた形質転換の基本操作を身に付ける。
14週 大腸菌を用いた形質転換実験3 大腸菌を用いた形質転換の基本操作を身に付ける。
15週 到達度確認
16週
後期
3rdQ
1週 マイクロピペットを用いた希釈操作 生物工学実験の基礎的技術の確認
2週 消化酵素に関する実験 身近な酵素の働きを理解する
3週 肝臓からの酵素抽出と酵素活性測定1 酵素の取扱いと機能の評価法について理解する
4週 肝臓からの酵素抽出と酵素活性測定2 酵素の取扱いと機能の評価法について理解する
5週 サイズ排除クロマトグラフィー タンパク質の一般的な分離操作を理解する
6週 SDS-PAGE タンパク質の一般的な分離操作を理解する
7週 ウェスタンブロッティング タンパク質の一般的な分離操作を理解する
8週 プラスミドの抽出1 遺伝子工学の一般的な手技を修得する。
4thQ
9週 プラスミドの抽出2 遺伝子工学の一般的な手技を修得する。
10週 電気泳動 遺伝子工学の一般的な手技を修得する。
11週 培地作製 微生物を培養する培地の作製法を修得する。
12週 パン酵母の形質転換1 遺伝子工学の一般的な手技を修得する。
13週 パン酵母の形質転換2 遺伝子工学の一般的な手技を修得する。
14週 バイオインフォマティクスの基礎 バイオインフォマティクスの基本を修得する。
15週 実験の総括 提出したレポートを振り返り、各実験について理解を深める。
16週 試験
17週:試験解説・発展授業
試験時間:50分

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前8,前10,後2,後3
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4前13,前14,前15,後9
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4前13,前14,前15,後9
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4後9
生物化学タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4後2
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。4前7,後8
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。4前5,前6,前8,前9,後11
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。4前10,前11
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前9,後8,後11
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。4前5,前6,前9,後12,後13
食品加工と微生物の関係について説明できる。4前5,前6,前7,前8,前9,後12,後13
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4前4
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4前1,前2,前3,前10,前11,前12,前13,前14,後8
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4後3,後4
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4後1,後3,後4,後9
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4後5,後6,後7,後10
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。4前11,後3,後4

評価割合

到達度確認その他合計
総合評価割合4060100
基礎的能力106070
専門的能力30030
分野横断的能力000