線形システム制御

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 線形システム制御
科目番号 0009 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子機械システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 佐藤,下本,熊澤,はじめての現代制御理論,講談社,2012
担当教員 池田 富士雄,佐藤 拓史

到達目標

(科目コード:A1260、英語名:Linear Control System) (本科目は第1学期に実施する。週に2回行うので十分注意すること。授業計画の週は回と読み替えること)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①システムを状態方程式で記述できる。20% (B2), (D1)、
②システムの固有値と時間応答の関係を説明できる。20% (B2), (C1), (D1)、
③システムの構造と正準形式を説明できる。20% (B2), (D1)、
④安定性の解析・判別ができる。20% (B2), (C2), (D1)、
⑤状態フィードバック制御系が設計できる。20% (B2), (D1)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
①状態方程式2階以上の微分方程式を状態空間表現で表現できる。2階までの微分方程式を状態空間表現で表現できる。2階までの微分方程式を状態空間表現で表現する方法を説明できる。左記に達していない。
②固有値と時間応答の関係状態空間表現から単位ステップ応答までの時間応答が計算できる。状態空間表現から自由応答の時間応答が計算できる。状態空間表現から応答の時間応答の計算方法を説明できる。左記に達していない。
③システムの構造と正準形式正準形式への変換が自由にできる。ある正準形式の変換ができる。正準形式への変換方法を説明できる。左記に達していない。
④安定性の解析 システムの漸近安定性、入出力安定性を理解し、安定判別できる。 システムの漸近安定性の判別ができる。 システムの漸近安定性の説明ができる。 左記に達していない。
⑤状態フィードバック制御系 状態フィードバックによる、速応性の改善を狙った制御系設計ができる。 状態フィードバック制御系を構成できる。 状態フィードバック制御系について説明できる。 左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
状態方程式を用いて時間領域で解析・設計が可能な現代制御理論の基礎を学ぶ。主に、システムの内部の状態や構造に立ち入った安定性の解析手法について学ぶ。
 ○関連する科目:制御工学B(M4年次履修),メカトロニクス(M前年度履修),システム制御工学B(EE前年度履修),線形制御(EC前年度履修),ロボット工学(EC前年度履修)
分担:オムニバス方式(担当教員が隔年で実施)
授業の進め方・方法:
この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習として課題レポートを課す。また自主学習を促し、授業内容の理解度合いを測るため授業内容に沿った小テストを適宜実施する。
注意点:
講義で学ぶ抽象的な理論を、各自の様々な経験や身近な体験を通して説明できるように理解を深めることが重要である。
本科目は本来、面接授業として実施を予定していたものであるが、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態において、必要に応じ遠隔授業として実施するものである。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 現代制御とは(状態空間表現の基礎) 古典制御と現代制御の差異を理解し、行列、ベクトルによる表現に慣れる。
2週 状態空間表現 2階以上の微分方程式を状態空間表現で表現できる。
3週 行列論(行列、行列式) 行列および行列式の計算ができる。
4週 行列論(固有値、固有ベクトル) 行列の固有値・固有ベクトル、対角化が計算できる。
5週 伝達関数から状態空間表現への変換 伝達関数表現から状態空間表現への変換が計算できる。
6週 状態空間表現から伝達関数への変換 状態空間表現から伝達関数表現への変換が計算できる。
7週 状態変数線図と状態変数変換 状態空間表現の図的表現ができる。
8週 状態方程式の自由応答 状態遷移行列を理解し、システムの自由応答が計算できる。
2ndQ
9週 入力のあるシステムの応答 1 積分計算による状態方程式の単位ステップ応答が計算できる。
10週 入力のあるシステムの応答 2 ラプラス変換による状態方程式の単位ステップ応答が計算できる。
11週 システムの応答と安定性 システムの漸近安定性、入出力安定性を判別できる。
12週 状態フィードバック制御 状態フィードバックによる速応性の改善を狙った設計ができる。
13週 システムの可制御性と可観測性 システムの可制御性、可観測性を判別できる。
14週 オブザーバの設計 オブザーバーの構成方法を理解し、オブザーバを設計できる。
15週 併合システムの設計 状態フィードバックとオブザーバの併合システムを設計できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。4前1,前3,前4,前5,前6,前7,前13
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。4前3,前4,前5,前6,前7
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。4前3,前4,前5,前6,前7
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。4前3,前4,前5,前6,前7,前11
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。4前3,前4,前5,前6,前7,前11
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。4前2,前4,前8,前9,前10
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。4前2,前5
自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。4前2,前10
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御自動制御の定義と種類を説明できる。5前1
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。5前1,前12,前15
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。5前1,前5,前6
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。5前1,前5,前6
伝達関数を説明できる。5前1,前5,前6,前12,前13
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。5前1,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前12,前13,前14
制御系の過渡特性について説明できる。5前1,前7,前8,前9,前10
制御系の定常特性について説明できる。5前1
制御系の周波数特性について説明できる。5前1
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。5前1,前11
電気・電子系分野制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。5前1,前7
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。5前1,前7
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。5前1,前9,前10,前15
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。5前1
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。5前1
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。5前1,前9,前11

評価割合

試験(中間)試験(期末)小テスト課題態度合計
総合評価割合00157015100
基礎的能力000000
専門的能力00157015100
分野横断的能力000000