線形システム制御

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 線形システム制御
科目番号 0009 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子機械システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 1st-Q 週時間数 4
教科書/教材 川谷亮治、フリーソフトで学ぶ線形制御、森北出版、2008
担当教員 池田 富士雄,佐藤 拓史

到達目標

(科目コード:A1260、英語名:Linear Control System) (本科目は2 時限/回の授業を週に2回行う形式で進めるので十分注意すること)
この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
①システムを状態方程式で記述できる。20% (B2), (D1)、
②システムの固有値と時間応答の関係を説明できる。20% (B2), (C1), (D1)、
③システムの構造と正準形式を説明できる。20% (B2), (D1)、
④安定性の解析・判別ができる。20% (B2), (C2), (D1)、
⑤状態フィードバック制御系が設計できる。20% (B2), (D1)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
①状態方程式2階以上の微分方程式を状態空間表現で表現できる。2階までの微分方程式を状態空間表現で表現できる。2階までの微分方程式を状態空間表現で表現する方法を説明できる。左記に達していない。
②固有値と時間応答の関係状態空間表現から単位ステップ応答までの時間応答が計算できる。状態空間表現から自由応答の時間応答が計算できる。状態空間表現から応答の時間応答の計算方法を説明できる。左記に達していない。
③システムの構造と正準形式正準形式への変換が自由にできる。ある正準形式の変換ができる。正準形式への変換方法を説明できる。左記に達していない。
④安定性の解析 システムの漸近安定性、入出力安定性を理解し、安定判別できる。 システムの漸近安定性の判別ができる。 システムの漸近安定性の説明ができる。 左記に達していない。
⑤状態フィードバック制御系 状態フィードバックによる、速応性の改善を狙った制御系設計ができる。 状態フィードバック制御系を構成できる。 状態フィードバック制御系について説明できる。 左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
状態方程式を用いて時間領域で解析・設計が可能な現代制御理論の基礎を学ぶ。主に、システムの内部の状態や構造に立ち入った安定性の解析手法について学ぶ。本講義は企業で音響・振動・制御の部門で研究開発を行ってきた教員が担当する。
 ○関連する科目:制御工学B(M4年次履修),メカトロニクス(M前年度履修),システム制御工学B(EE前年度履修),線形制御(EC前年度履修),ロボット工学(EC前年度履修)
分担:オムニバス方式(担当教員が隔年で実施)
授業の進め方・方法:
この科目は学修単位科目のため、講義資料はサポートページに掲載し、各人が事前に印刷して持参してきてもらう形式とする。事前に内容を確認してきてもらうことで、効率的に講義を進める。適宜、授業内容に沿った小テストを行い、理解の定着のため課題レポートを課す。また、事後学習として課題を提示しておくので、適宜活用して理解を深めること。
この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習として「週ごとの到達目標」欄に示す課題などを実施する。
注意点:
講義で学ぶ抽象的な理論を、各自の様々な経験や身近な体験を通して説明できるように理解を深めることが重要である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第1回:ガイダンス
第2回:制御と微分方程式、1階線形微分方程式
第1回:本講義の学習用内容を把握する。
【課題】古典制御の復習
第2回:制御と微分方程式との関係性を理解する。1階線形微分方程式の解の特徴を理解し、フィードバック制御方策が分かる。
【課題】1階線形微分方程式に関する演習
2週 第3回:2階線形微分方程式
第4回:n階線形微分方程式、ラプラス変換
第3回:2階線形微分方程式の解の特徴を理解し、フィードバック制御方策が分かる。
【課題】2階線形微分方程式に関する演習
第4回:n階線形微分方程式に対するこれまでの結果の一般化を理解する。ラプラス変換を利用した線形微分方程式の解法を理解する。
【課題】n階線形微分方程式に関する演習
3週 第5回:ラプラス変換を利用した線形微分方程式の解法、フルヴィッツの安定判別法、線形化
第6回:線形化、線形微分方程式と状態空間モデル
第5回:ラプラス変換を利用した線形微分方程式の解法を理解する。フルヴィッツの安定判別法を使えるようになる。非線形特性を持つ制御対象の非線形微分方程式とその線形化について理解する。
【課題】ラプラス逆変換に関する演習
第6回:線形化した微分方程式から状態空間モデルの導出を理解する。
【課題】線形微分方程式と状態空間モデルに関する演習
4週 第7回:正則変換、状態空間モデルの安定性
第8回:状態方程式の解、状態空間モデルと伝達関数、伝達行列に関する公式
第7回:正則変換による状態空間モデルの変形と状態空間モデルの安定性について理解する。
【課題】正則変換、状態空間モデルの安定性に関する演習
第8回:状態方程式の解と状態遷移行列について理解する。状態空間モデルと伝達関数の関係性を理解する。伝達行列に関する公式を理解する。
【課題】状態空間モデルと伝達関数、伝達行列に関する演習
5週 第9回:可制御性と状態フィードバック制御
第10回:最適レギュレータ1
第9回:可制御性と可制御行列について理解し、状態フィードバック制御(極配置法)について理解する。
【課題】可制御性と状態フィードバック制御に関する演習1
第10回:最適レギュレータ問題とその解について理解する。
【課題】可制御性と状態フィードバック制御に関する演習2
6週 第11回:最適レギュレータ2
第12回:可観測性と全状態オブザーバ
第11回:最適レギュレータによる状態フィードバックゲインの設計ができる。
【課題】可制御性と状態フィードバック制御に関する演習3
第12回:同一次元オブザーバと可観測性について理解する。
【課題】可観測性と全状態オブザーバに関する演習
7週 第13回:最小次元オブザーバ、カルマンフィルタ
第14回:サーボ問題
第13回:最小次元オブザーバ、カルマンフィルタ(同一次元最適オブザーバ)について理解する。
【課題】オブザーバに関する演習
第14回:内部モデル原理とサーボ問題を理解する。
【課題】サーボ問題に関する演習
8週 第15回:レポート課題 第15回:レポート課題を完成させる。
【課題】レポート課題

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。4前4,前5,前6,前7,前8
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。4前4,前6,前8
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。4前4,前5,前7,前8
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。4前4,前8
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。4前4,前8
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。4前1,前2
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。4前3
自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。4前2
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御自動制御の定義と種類を説明できる。5前1
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。5前1,前2
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。5前2,前3
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。5前3
伝達関数を説明できる。5前3,前4
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。5前1,前4,前7
制御系の過渡特性について説明できる。5前1,前2,前8
制御系の定常特性について説明できる。5前1,前2,前8
制御系の周波数特性について説明できる。5前8
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。5前1,前3,前8
電気・電子系分野制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。5前4,前8
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。5前4,前6,前8
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。5前1,前2,前4,前8
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。5前1,前2,前8
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。5前8
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。5前1,前3,前8

評価割合

課題演習その他合計
総合評価割合65305100
基礎的能力0000
専門的能力65305100
分野横断的能力0000