応用解析

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 応用解析
科目番号 0005 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 専攻科専門共通科目 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:今吉洋一(著),複素関数概説,サイエンス社,1997/ 参考書籍:L.V. アールフォルス(著), 笠原乾吉(訳), 複素解析, 現代数学社, 1982, 高木貞治, 解析概論 改訂第3版, 岩波書店, 1983, 今井功, 複素解析と流体力学, 日本評論社, 1989
担当教員 田原 喜宏

到達目標

(科目コード:A0320、英語名:Applied Analysis )(本科目は第1学期、第2学期に実施する。週に1回行う。)
この科目は長岡高専の学習・教育目標の(C)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、各到達目標と長岡高専の学習・教育目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習・教育目標との関連の順で次に示す。
1. 複素数の性質、四則演算の幾何学的意味を理解し、ド・モアブルの公式などを用いた計算ができること。10% (c1)
2. 初等関数の性質、コーシー・リーマンの関係式、正則関数による写像の等角性、逆関数などについて理解し、導関数などの計算ができること。30%(c1)
3. 複素積分の基本的性質、コーシーの積分定理、コーシーの積分表示などについて理解し、基本的な複素積分の計算ができること。30%(c1)
4. テイラー展開、ローラン展開、留数定理などについて理解し、留数の計算とそれを応用した実積分などの計算ができること。30%(c1)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1複素数の性質を自在に用いて代数方程式の解を幾何学的に理解している。オイラーの公式などを用いて代数方程式を解くことができる。オイラーの公式などを用いて代数方程式を解くことが概ねできる。左記に逹していない。
評価項目2初等関数の性質、コーシー・リーマンの関係式、正則関数による写像の等角性、逆関数などについて理解し、コーシー・リーマンの関係式と複素関数の正則性の同値性を証明できる。初等関数の性質、コーシー・リーマンの関係式、正則関数による写像の等角性、逆関数などについて理解し、導関数などの計算ができる。初等関数の性質、コーシー・リーマンの関係式、正則関数による写像の等角性、逆関数などについて理解し、導関数などの計算が概ねできる。左記に逹していない。
評価項目3複素積分の基本的性質、コーシーの積分定理、コーシーの積分表示などについて理解し、それらの同値性が証明できる。複素積分の基本的性質、コーシーの積分定理、コーシーの積分表示などについて理解し、基本的な複素積分の計算ができる。複素積分の基本的性質、コーシーの積分定理、コーシーの積分表示などについて理解し、基本的な複素積分の計算が概ねできる。左記に逹していない。
評価項目4正則関数のテイラー展開が一様かつ絶対収束すことを理解している。またローラン展開、留数定理などについて理解し、留数定理を用いた実関数の広義積分の計算を厳密に行える。テイラー展開、ローラン展開、留数定理などについて理解し、留数の計算とそれを応用した実積分などの計算ができる。テイラー展開、ローラン展開、留数定理などについて理解し、留数の計算とそれを応用した実積分などの計算が概ねできる。左記に逹していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
複素関数は単純に実変数の関数を複素数へと拡張するというものではなく、実関数の隠された本質を露にする。特に複素解析は純粋数学として豊かな世界を我々に提供するのみならず、留数定理など応用上も非常に重要な定理をももたらす。この講義では複素解析の基礎について学ぶ。
〇関連する科目:応用数学ⅡB(本科5年で履修)、応用代数(後期履修)
授業の進め方・方法:
教科書に則って講義を行う。適宜プリント等を配布する。この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポート課題などを課す。
注意点:
毎回きちんと予習・復習をし、授業内容の十分な理解とその定着に努めること。
本科目は本来、面接授業として実施を予定していたものであるが 、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態において、必要に応じ遠隔授業として実施するものである。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 複素数の計算と極形式 複素数の性質を理解する。極形式の考え方を理解する。
2週 複素関数の視覚化 複素関数を視覚的に理解する方法を学ぶ
3週 複素関数、とくに初等関数 初等的な複素関数の定義を理解する。
4週 複素関数の極限操作と複素微分
複素関数の極限と導関数を理解する。
5週 コーシー・リーマンの関係式 コーシー・リーマンの関係式を理解する。
6週 複素偏微分と等角写像としての正則関数 正則関数の写像の等角性を理解する。
7週 中間課題
8週 複素平面上の曲線と複素積分 複素積分の定義を理解する。
2ndQ
9週 複素積分の性質 複素積分の性質を理解する。
10週 コーシーの積分公式 コーシーの積分公式を理解する。
11週 正則関数のテイラー展開 正則関数のテイラー展開を理解する。
12週 一致の定理 一致の定理を理解する。
13週 有理型関数 有理型関数、 特にローラン展開について理解する。
14週 留数定理 留数定理を理解する。
15週 実関数の定積分への留数定理の応用 留数定理を用いた定積分への応用ができる。
16週 期末課題

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。4前1
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。4前1
分数式の加減乗除の計算ができる。4前1
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。4前1
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。4前1
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。4前1
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。4前1
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。4前1
簡単な連立方程式を解くことができる。4前1
無理方程式・分数方程式を解くことができる。4前1
1次不等式や2次不等式を解くことができる。4前1
恒等式と方程式の違いを区別できる。4前1
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。4前1
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4前1
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。4前1
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。4前1
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4前1
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4前1
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。4前1
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4前1
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4前1
角を弧度法で表現することができる。4前1
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4前1
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。4前1
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4前1
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。4前1
一般角の三角関数の値を求めることができる。4前1
2点間の距離を求めることができる。4前1
内分点の座標を求めることができる。4前1
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。4前1
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。4前1
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。4前1
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。4前1
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。4前1
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。4前1
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。4前1
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。4前1
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。4前1
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。4前1
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。4前1
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。4前1
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。4前1
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。4前1
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。4前1
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。4前1
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。4前1
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。4前1
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。4前1
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。4前1
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。4前1
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。4前1
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。4前1
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。4前1
合成関数の導関数を求めることができる。4前1
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。4前1
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。4前1
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。4前1
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。4前1
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。4前1
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。4前1
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。4前1
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。4前1
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。4前1
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。4前1
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。4前1
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。4前1
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。4前1
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。4前1
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。4前1
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。4前1
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。4前1
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。4前1
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。4前1
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。4前1
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。4前1
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。4前1
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。4前1
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。4前1
独立試行の確率、余事象の確率、確率の加法定理、排反事象の確率を理解し、簡単な場合について、確率を求めることができる。4前1
条件付き確率、確率の乗法定理、独立事象の確率を理解し、簡単な場合について確率を求めることができる。4前1
1次元のデータを整理して、平均・分散・標準偏差を求めることができる。4前1
2次元のデータを整理して散布図を作成し、相関係数・回帰直線を求めることができる。4前1
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。4前1
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。4前1
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。4前1

評価割合

中間試験期末試験課題その他合計
総合評価割合001000100
基礎的能力001000100
専門的能力00000
分野横断的能力00000