到達目標
【現代分野:加島担当分】映像資料の分析を通し、自明に思われる人間や人間社会という存在を再考し、幅広いものの見方を育成する。文化や芸術に関心や興味を持つ。1映像資料の分析の仕方を学習し、分析した内容を基に自らの意見をかけるようになる。2阪神淡路大震災を契機に重要性が認識された「心のケア」という概念を学習し、災害時/以後における被災者の心的外傷に関する知識を得る。
【古典分野:足立担当分】伝統的な言語文化への興味・関心を広く持ち、単なる古文常識的な「知識」にとどまらない、生き生きとしたことばの働きについて理解し、その特徴を説明できる。規範と逸脱によって、曰本の「イ云統文化」が更新されていくことについて、自分の意見を述べることができる。
これを具体化すると、以下のようになる。1教材の文章中の学術用語・古文の語彙・文法について、説明したり、使用したりすることができる。2平安時代の文学史的な知識や背景となる時代習俗について、説明することができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
【現】分析内容を基に自らの意見を論述できる | 映像資料の分析を踏まえたうえで、自らが考察したことや意見を適切に論述することができる。 | 映像資料を分析し、自らの意見を持つことができる。 | 映像資料の分析を行うことができず、自らが考察したことや意見を適切に論述することができない。 |
【近】小説と映画の表現方法の違いについて理解することができる。 | 小説と映画の表現方法の特質とその違いを理解することができ、適切に説明することができる。 | 小説と映画の表現方法の特質とその違いを理解することができる。 | 小説と映画の表現方法の特質とその違いを理解することができず、適切に説明することができない。 |
【古】教材の文章に用いられている学術用語・語彙・文法について、説明・使用することができる。 | 教材の文章中の学術用語・語彙を用いて、曰本の古代のことばの特徴についての文章作成ができる。 | 教材の文章中の学術用語・古文の語彙・古文の文法について、説明できる。 | 教材の文章中の学術用語・古文の語彙・古文の文法について、説明できない。 |
【古】平安時代の文学史的な知識や時代習俗について、説明できる。 | 平安時代の文学史的な知識や時代習俗について、テキストの内容に即して、現代との違いを説明することができる。 | それぞれのテキストや歌人についての文学史的な知識や、背景となる時代習俗に関する質問に答えることができる。 | それぞれのテキストや歌人についての文学史的な知識や、背景となる時代習俗に関する質問に答えることができない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
【現】吉本ばななの小説『白河夜船』と『TSUGUMI』の読解、および映像作品の分析を通じた、意見論述を行う。小説と映画の違い、表現の変化などに着目しながら、小説・映像作品への理解を深めることを目的とする。
【古】曰本文学における、いわゆる〈古典〉的なテキストをいくつか講読することで、曰本文学・曰本文化の変遷を理解し、現代にあっては喪失されつつある、人間とことばとの関わりの深さについて、理解を深める。
授業の進め方・方法:
担当者の単独講義、講読演習
注意点:
【現】授業内で映像作品を観る必要があるため、該当週に欠席した場合は、授業時間外に各自で映像作品を観ておくこと。
【古】テキストのほとんどは古文だが、現代の理系学生の読みやすさを考えて、現代語訳をはじめ、さまざまな形での参考・補助資料を出すつもりである。恐れず、諦めず、古代のことばと、じつくり付き合ってほしい。適宜、授業中にミニ・テストを実施し、理解度を確認する予定である。
※事前に行う準備学習:前回の講義の復習および予習を行ってから授業に臨むこと 。
(授業外学習・事前)授業内容を予習しておく。
(授業外学習・事後)授業内容に関する課題を解く。
なお、授業計画は、学生の理解度に応じて変更する場合がある。
本科目では、60点以上の評価で単位を認定する。成績評価は、期末試験100点のうち【近代】50点・【古文】50点の割合を主にし、その他に評価割合に応じて評価する。評価が60点に満たない者は、願い出により追認試験を受けることができる。追認試験の結果、単位の修得が認められた者にあっては、その評価を60点とする。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス
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ガイダンス 授業内容の説明、受講上の注意。作家・扱う小説・映像作品についての説明を行う。授業内容と作家について説明できるようになる。
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2週 |
若木信吾『白河夜船』① |
『白川夜船』の映像分析を題材に、パラグラフ・ライティングやり方を理解し、文章によって自らの考えを説明することができる。 〈授業外学習事後:授業の内容を踏まえ、『白川夜船』の映像分析を行い、次週にレポートを提出する〉
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3週 |
若木信吾『白川夜船』② |
講師の講義とレポートの添削を通じて、映画『白川夜船』に対する作品理解を深め、映画に関する考え・意見を述べられるようになる。 〈授業外学習事後:レポートの添削を踏まえ、再度文章を練り上げ、翌週に再提出する〉
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4週 |
吉本ばなな『白川夜船』
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原作の吉本ばななの小説『白川夜船』の分析と通じ、小説への理解を深め、映画との差異やなぜ差異があるのかについて説明することができるようになる。 〈授業外課題事後:配布プリントと授業内容を基に、中井久夫が提唱した「心のケア」の重要性を整理する〉
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5週 |
市川準『つぐみ』① |
『つぐみ』の映像分析を題材に、パラグラフ・ライティングやり方を理解し、文章によって自らの考えを説明することができる。 〈授業外学習事後:授業の内容を踏まえ、『つぐみ』の映像分析を行い、次週にレポートを提出する〉
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6週 |
市川準『つぐみ』② |
講師の講義とレポートの添削を通じて、映画『白川夜船』に対する作品理解を深め、映画に関する考え・意見を述べられるようになる。 〈授業外学習事後:レポートの添削を踏まえ、再度文章を練り上げ、翌週に再提出する〉
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7週 |
吉本ばなな『TSUGUMI』 |
原作の吉本ばななの小説『TSUGUMI』の分析と通じ、小説への理解を深め、映画との差異やなぜ差異があるのかについて説明することができるようになる。 〈授業外学習事後:『心の傷を癒すということ』を読み、関心を持った箇所を掘り下げ、レポートを作成する〉
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8週 |
まとめ 小説と映画の差異 |
吉本ばななの小説とそれを基にした映画の差異を理解することで、それぞれのメディアの特質や表現方法について自らの考えを持ち、説明できるようになる。
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4thQ |
9週 |
ガイダンス |
「ことばの連関」というテーマについて、どのようなアプローチで考えるのかを説明。具体例として、レジュメ1の現代の歌詞について考える。 授業外学習・事後:レジュメ2「言語とは何か」についての参考プリント①~③を読んでおき、「分節」「差異」などの語句について、理解し説明できるようになっておく。レジュメ1の現代の歌詞中の「異化」された言葉について、参考プリント⑥で番えられているもう一つの歌詞を補助線にして、意味するところを考えておく。
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10週 |
言語とは何か |
言語とは何であるかについて、現代思想の評論や現代美術の作品などを参照しつつ、理解する。 授業外学習・事後:参考プリント④の漫画および参考プリント⑤の英文を読んでおき、絵と言葉の関係について考えながら、これらの作品がどのような「常識」を「異化」しているのか、その意味するところを考えておく。
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11週 |
「霞たち木の芽もはるの」(『古今和歌集』春上・紀貫之)の歌① |
『古今和歌集』および紀貫之について、文学史的な概説。当該歌の単語レベルの意味説明。雪と梅花の「見立て」の類型性と、歴史的な背景(中国の漢詩文の影響)について、考えを深める。 授業外学習・事後:従来の雪と花の「見立て」とは、どのようなものか、レジュメ3の事例を参照して、説明できるようになっておく。
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12週 |
「霞たち木の芽もはるの」(『古今和歌集』春上・紀貫之)の歌② |
中国の漢詩文や『万葉集』の「見立て」とは異なる、当該歌の独自な表現性について、考えを深める。現代では喪われてしまつた、「掛詞」や「序詞」・「見立て」という修辞が、古代の和歌においては何のためにあるのか、考える。 授業外学習・事後:レジュメ3の貫之の当該歌の「見立て」が、それ以前の「見立て」の多くの例と、どのような点で異なるのか、説明できるように整理しておく。併せて、この歌の前半部分の修辞の意味について、説明できるように整理しておく。
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13週 |
「花の色はうつりにけりな」(『古今和歌集』春下・小野小町)と「色見えで」(『古今和歌集』恋五・小野小町)の歌① |
小野小町について、文学史的な概説。当該歌の解釈の違いについて、諸説を参照し、問題点を提示。当該歌の単語レベルの意味説明。 授業外学習・事後:小町の当該歌の解釈上の問題点とは何であるのか、説明できるように整理しておく。
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14週 |
「花の色はうつりにけりな」(『古今和歌集』春下・小野小町)と「色見えで」(『古今和歌集』恋五・小野小町)の歌②、まとめ |
「花の色はうつりにけりな」について、「うつる(うつろふ)」という語を詠み込んださまざまな歌の例から、意味を確定すべく考える。「我が身世にふる」の「ふる」について、さまざまな歌の例から、最もふさわしい意味を考える。 授業外学習・事後:当該歌の「花の色はうつりにけりな」は、どのような意味として解釈すべきか、説明できるように整理しておく。「ふる」は、どのような意味として解釈すべきか、その理由についても併せて説明できるように整理しておく。
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15週 |
「花の色はうつりにけりな」(『古今和歌集』春下・小野小町)と「色見えで」(『古今和歌集』恋五・小野小町)の歌③、まとめ |
恋歌を参照することで、春歌の当該歌が、「掛詞」によつて、桜花・雨・人事を有機的に関連づけられていることについて考える。 ミニ・テストの返却・講評・解説。期末試験の出題予定問題について、確認。 授業外学習・事後:雨が降る・花の色が褪せるという自然の出来事と、いかなる人事が、言葉を介して関連づけられているのか、説明できるように整理しておく。
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16週 |
期末試験 |
第1回~第15回までの授業内容について確認する。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文社会科学 | 国語 | 国語 | 論理的な文章(論説や評論)の構成や展開を的確にとらえ、要約できる。 | 3 | 後2,後3,後4,後7 |
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。 | 3 | 後2,後3,後4,後7 |
文学的な文章(小説や随筆)に描かれた人物やものの見方を表現に即して読み取り、自分の意見を述べることができる。 | 3 | 後5,後6,後7 |
常用漢字の音訓を正しく使える。主な常用漢字が書ける。 | 3 | 後2,後4,後7 |
類義語・対義語を思考や表現に活用できる。 | 3 | 後2,後4,後7 |
社会生活で使われている故事成語・慣用句の意味や内容を説明できる。 | 3 | 後4,後7 |
専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。 | 3 | 後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7 |
実用的な文章(手紙・メール)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。 | 3 | 後1,後2,後5 |
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。 | 3 | 後1,後2,後5,後7 |
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。 | 3 | 後1,後2,後5,後7 |
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。 | 3 | 後1,後2,後4,後5,後7 |
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。 | 3 | 後3,後4,後6 |
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。 | 3 | 後3,後6 |
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。 | 3 | 後3,後6 |
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。 | 3 | 後3,後4,後6 |
評価割合
| 試験 | レポート | ミニテスト | 合計 |
総合評価割合 | 40 | 50 | 10 | 100 |
【現代】基礎的能力 | 0 | 30 | 0 | 30 |
【現代】専門的能力 | 0 | 10 | 0 | 10 |
【現代】分野横断的能力 | 0 | 10 | 0 | 10 |
【古典】基礎能力 | 20 | 0 | 5 | 25 |
【古典】専門的能力 | 15 | 0 | 5 | 20 |
【古典】分野横断的能力 | 5 | 0 | 0 | 5 |