概要:
専門科目における導入的実験であるため、物質に慣れ親しむこと、実験器具の安全な取扱に習熟することを第一の目標に上げる。前期の実験では分析化学関連の実験を行う。これらの実験を行っている間に試薬の性質や外観を体験することができ、モルの概念や当量的な判断力を身につけさせる。後期の実験では無機物質の合成を主として、実験計画、実験、観察、記録、生成物の確認等を行い、実験操作に慣れること、レポートの書き方について指導を行う。工学が関わっている数々の事象について、自らの専門知識を駆使して、情報を収集することができる。集められた情報をもとに、状況を適格に分析することができる。与えられた目標を達成するために解決方法を考えることができる。状況分析の結果、問題(課題)を明確化することができる。各種の発想や計画立案手法を用いると、課題解決の際、効率的、合理的にプロジェクトを進めることができることを知る。
授業の進め方・方法:
前期では主に分析化学系の実験を行う。その前半では定性実験を、後半では定量実験を行う。定性実験では基本的な実験を行った後、混合未知試料を配布して実験を行う。定量実験では定量操作を習得した後、含有率未知の試料を配付し、精度と正確さを身につけさせる。後期は主に無機系実験9テーマを各自行う。無機化合物を合成し、その収率測定等を行う。なお、シラバス説明時には、実験全体の安全教育を行うが、それ以外に必要に応じて実験上の安全に関する知識や技術を解説する。さらに,外部講師による放射線に関するオンライン授業および測定実習を行う。
注意点:
本科(準学士課程):RD1(◎), RB2(○)
関連科目:化学(本科1,2年)、無機化学Ⅰ(本科2年)、分析化学Ⅰ(本科2年)、分析化学Ⅱ(本科3年)、機器分析(本科4年)、環境分析化学(専攻科環境システム系2年)
評価方法:
前期では、実験終了後の報告書を7割、平常の実験態度2割、実験の正確さや精度を要求する実験の正確さや精度を1割で評価する。また、報告書の提出期限を守らない場合は減点する。
後期では,実験終了後の報告書を6割,平常の実験態度2割(実験及びミョウバンの結晶評価も含む),後期実験の期末試験(主に報告書の内容)2割,で評価する。また,報告書の提出期限を守らない場合は,1日で1割減点する。
学年成績は前期、後期の平均点とする。
レポートの提出率が8割に満たない場合,学年成績が60点以上でも最終成績を59点とする.
評価基準:学年成績60点以上であること。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
分析化学実験 概論、実験安全教育 |
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2週 |
分析化学実験 定性実験(陽イオンの分属) |
金属陽イオンの定性分析(1~6属)に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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3週 |
分析化学実験 グループ実験1(炭酸ナトリウムの生成、カラムクロマトグラフィー、水和塩の結晶水測定、ニッケル重量分析、実験器具の取扱い、標準偏差) |
炭酸ナトリウムの生成、カラムクロマトグラフィー、水和塩の結晶水測定、ニッケル重量分析、実験器具の取扱い、標準偏差に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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4週 |
分析化学実験 グループ実験2(炭酸ナトリウムの生成、カラムクロマトグラフィー、水和塩の結晶水測定、ニッケル重量分析、実験器具の取扱い、標準偏差) |
炭酸ナトリウムの生成、カラムクロマトグラフィー、水和塩の結晶水測定、ニッケル重量分析、実験器具の取扱い、標準偏差に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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5週 |
分析化学実験 グループ実験3(炭酸ナトリウムの生成、カラムクロマトグラフィー、水和塩の結晶水測定、ニッケル重量分析、実験器具の取扱い、標準偏差) |
炭酸ナトリウムの生成、カラムクロマトグラフィー、水和塩の結晶水測定、ニッケル重量分析、実験器具の取扱い、標準偏差に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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6週 |
分析化学実験 酸塩基滴定(標準溶液作成、塩酸溶液の標定、水酸化ナトリウム溶液の標定) |
酸塩基滴定に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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7週 |
分析化学実験 酸塩基滴定(食酢滴定) |
酸塩基滴定に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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8週 |
分析化学実験 まとめ、レポート作成 |
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2ndQ |
9週 |
分析化学実験 酸化還元滴定1(過マンガン酸酸化還元滴定1:過マンガン酸溶液調製、シュウ酸標準溶液作製、過マンガン酸の標定) |
過マンガン酸酸化還元滴定に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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10週 |
分析化学実験 酸化還元滴定1(過マンガン酸酸化還元滴定2:オキシドールの測定、モール塩中の鉄濃度測定) |
過マンガン酸酸化還元滴定に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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11週 |
分析化学実験 酸化還元滴定2(ヨード滴定1:ヨウ素酸溶液作製、チオ硫酸ナトリウムの標定) |
ヨード滴定に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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12週 |
分析化学実験 酸化還元滴定2(ヨード滴定2:ビタミンC(アスコルビン酸)の測定、有効塩素の測定) |
ヨード滴定に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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13週 |
分析化学実験 キレート滴定(EDTA標準溶液の調製と標定) |
キレート滴定に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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14週 |
分析化学実験 キレート滴定(海水の硬度測定) |
キレート滴定に関する実験操作およびレポート作成ができること。
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15週 |
分析化学実験 まとめ、レポート作成 |
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
無機化学実験の説明、無機実験における安全教育
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実験の概要が理解できること.
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2週 |
無機化学実験 (以下の9つのテーマについてグループまたは個人によるローテーションで行う。1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習) |
1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習,グループ実験または探求を行い,実験ノートおよびレポートが作成できること.
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3週 |
無機化学実験 (以下の9つのテーマについてグループまたは個人によるローテーションで行う。1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習) |
1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習,グループ実験または探求を行い,実験ノートおよびレポートが作成できること.
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4週 |
無機化学実験 (以下の9つのテーマについてグループまたは個人によるローテーションで行う。1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習) |
1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習,グループ実験または探求を行い,実験ノートおよびレポートが作成できること.
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5週 |
放射線に関する基礎知識と放射線の性質と測定法 |
放射線に関する基礎知識と放射線の性質と測定法を理解できる.
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6週 |
無機化学実験 (以下の9つのテーマについてグループまたは個人によるローテーションで行う。1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習) |
1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習,グループ実験または探求を行い,実験ノートおよびレポートが作成できること.
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7週 |
無機化学実験 (以下の9つのテーマについてグループまたは個人によるローテーションで行う。1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習) |
1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習,グループ実験または探求を行い,実験ノートおよびレポートが作成できること.
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8週 |
無機化学実験 (以下の9つのテーマについてグループまたは個人によるローテーションで行う。1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習) |
1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習,グループ実験または探求を行い,実験ノートおよびレポートが作成できること.
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4thQ |
9週 |
無機化学実験 (以下の9つのテーマについてグループまたは個人によるローテーションで行う。1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習) |
1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習,グループ実験または探求を行い,実験ノートおよびレポートが作成できること.
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10週 |
無機化学実験 (以下の9つのテーマについてグループまたは個人によるローテーションで行う。1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習) |
1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習,グループ実験または探求を行い,実験ノートおよびレポートが作成できること.
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11週 |
無機化学実験 (以下の9つのテーマについてグループまたは個人によるローテーションで行う。1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習) |
1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習,グループ実験または探求を行い,実験ノートおよびレポートが作成できること.
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12週 |
無機化学実験 (以下の9つのテーマについてグループまたは個人によるローテーションで行う。1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習) |
1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習,グループ実験または探求を行い,実験ノートおよびレポートが作成できること.
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13週 |
無機化学実験 (以下の9つのテーマについてグループまたは個人によるローテーションで行う。1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習) |
1.固体の密度測定,2.ダニエル電池の起電力,3.分子の対称性,4.原子吸光と吸光スペクトル,5.電気伝導度,6.pH測定,7.シュウ酸カルシウムの合成,8.ミョウバンの結晶成長,9.演習,グループ実験または探求を行い,実験ノートおよびレポートが作成できること.
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14週 |
無機化学実験 (XRDに関する実験と講義) |
無機化学実験 (XRDに関する実験と講義)を受講し,レポートが作成できること.
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15週 |
演習(放射線および無機実験に関する授業) |
演習(放射線および無機実験に関する授業)を視聴し,演習問題が解けること
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16週 |
期末試験返却 |
期末試験の誤答について,正答を理解すること
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術 | 工学実験技術 | 実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | 前3,前4,前5 |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | 前3,前4,前5 |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | 前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 放射線の種類と性質を説明できる。 | 4 | 後5 |
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。 | 4 | 後5 |
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。 | 4 | 後5 |
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。 | 4 | 後5 |
分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野(実験・実習能力) | 分析化学実験 | 中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。 | 4 | 前6,前7 |
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12 |
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。 | 4 | 前13,前14 |
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。 | 4 | 前2 |
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。 | 4 | 後14 |
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。 | 4 | 後14 |
物理化学実験 | 各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。 | 4 | 後2,後3,後4,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13 |
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。 | 4 | 後2,後3,後4,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13 |