電気回路I

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 電気回路I
科目番号 0020 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 交流理論(遠山和之他・理工図書・2018.4) 教科書は新カリキュラムに対応させた最新版に変更しました。 
担当教員 所 哲郎

到達目標

電気工学の基礎となる直流回路と交流回路 について、演習に重点をおきながら学習する。
以下に学習・教育目標を示す。 ①直流回路の考え方を理解する。 ②正弦波交流のベクトル表示を理解する ③複素記号法と極座標表示を理解する。 ④交流回路の基本的な法則を理解する ⑤網目法と接続点法を理解する。 ⑥円線図とベクトル軌跡を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
直流回路の計算問題を6割以上できる。 直流回路に関して、例題 および章末問題を 8 割以 上正確に解くことができ る。直流回路に関して、例題お よび章末問題をほぼ正確(6 割以上)に解くことができ る。 直流回路に関して、例題およ び章末問題を6割未満しか解 くことができない。
正弦波交流のベクトル表示を用いた計算問題を6割以上できる。 正弦波交流のベクトル表 示に関して、例題および 章末問題を 8 割以上正確 に解くことができる。 正弦波交流のベクトル表示 に関して、例題および章末問 題をほぼ正確(6 割以上)に解 くことができる。正弦波交流のベクトル表示 に関して、例題および章末問 題を6割未満しか解くことが できない。
複素記号法と極座標表示を用いた計算問題を6割以上できる。複素記号法と極座標表示 に関して、例題および章 末問題を 8 割以上正確に 解くことができる。 所の示した発展問題を理 解できる。 複素記号法と極座標表示に 関して、例題および章末問題 をほぼ正確(6 割以上)に解く ことができる。 複素記号法と極座標表示に 関して、例題および章末問題 を6割未満しか解くことがで きない。
交流回路の基本的な法則用いた計算問題を6割以上できる。 交流回路の基本的な法則 に関して、例題および章 末問題を 8 割以上正確に 解くことができる。 所の示した発展問題を理 解できる。 交流回路の基本的な法則に 関して、例題および章末問題 をほぼ正確(6 割以上)に解く ことができる。 交流回路の基本的な法則に 関して、例題および章末問題 を6割未満しか解くことがで きない。
網目法と接続点法を用いた計算問題を6割以上できる。 網目法と接続点法に関し て、例題および章末問題 を 8 割以上正確に解くこ とができる。 また、交流過渡現象を理 解できる。 網目法と接続点法に関して、 例題および章末問題をほぼ 正確(6 割以上)に解くことが できる。交流過渡現象に関し て例題を理解できること。 網目法と接続点法に関して、 例題および章末問題を6割未 満しか解くことができない。
円線図とベクトル軌跡について理解でき、これらに関する計算問 題を6割以上できる。 円線図とベクトル軌跡に 関して、例題および章末 問題を 8 割以上正確に解 くことができる。 円線図とベクトル軌跡につ いて理解していること。例題 および章末問題をほぼ正確 (6 割以上)に解くことができ る。 円線図とベクトル軌跡につ いて、例題および章末問題を 6 割未満しか解くことができ ない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電気情報工学科の基幹科目としての電気回路について、教科書の1-3章を理解する。
英語導入計画:Technical terms
授業の進め方・方法:
直流回路について説明した後、教科書の内容に沿って講義をする。例題や演習を重視しながら学習する。三角関数や指数関数、ベクトルや複素数、微分・積分など電気数学を多く用いるので、数学の力を育成しておくこと。また、教科書は3年と4年でも用いるので大切に使うこと。この授業では数学計算にMathcadを用いて行うので、グラフ表示による数式の意味の可視化などに重点を置く。微分や積分、三角関数や指数関数なども積極的に用いていく。数学の学修の大切さと便利さが体験できるように意識する。
遠隔授業期間は課題提出を毎回実施する。その場合、中間・期末の試験についても総合課題の提出で評価する。評価割合は対面授業と遠隔授業で同じとする。
注意点:
学習・教育目標:D-4(1) 100%
演習の多くはMathcadで実行するので、LMSの活用や学内用ページのコンテンツ群の学修など、発展学修にも力を入れること。一方、基本についても深く学ぶので、自身のペースで教室外学修を進めること。
授業のペースは多くのコンテンツを紹介するため、速いと感ずるかも知れないが、教科書や学修支援コンテンツ群の内容を確認することで理解可能となっている。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 抵抗器
LMS接続の確認
直流電圧と抵抗と電流の関係、オームの法則について理解する。それらの関係を説明し、計算することができる。
2週 電圧源と電流源
課題提出の確認 課題1
電圧源と電流源の等価回路の相互変換ができる。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。
3週 抵抗の直列接続と並列接続
課題2
抵抗の直列接続と並列接続について、その合成抵抗を求める事ができる。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。
4週 キルヒホッフの法則
課題3
キルヒホッフの法則について、電流則と電圧則を理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。
5週 ループ法
課題4
電力とエネルギーの関係性を理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。電力量と電力を説明し、これらを計算できる。
6週 ノード法
課題5
正弦波交流電圧の発生 について理解する。瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。
7週 電力とエネルギー
課題6
正弦交流の用語について理解する。正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。
8週 前期中間総合課題 60%以上の正解率で総合課題問題を解くことができる。
2ndQ
9週 正弦波交流電圧の発生・正弦交流の用語・交流の大きさと波形
課題7
交流の大きさと波形について、特に合成方法を理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。
10週 回路素子
課題8
回路素子として、抵抗以外の素子がある事を理解する。
11週 R,L,Cの働き
課題9
R,L,Cの働きについて電圧と電流の関係から理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。
12週 RL回路
課題10
RL直列交流回路の電圧と電流の関係について理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。
13週 RC回路
課題11
RC直列交流回路の電圧と電流の関係について理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。
14週 RLC回路
課題12
RLC直列交流回路の電圧と電流の関係について理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。
15週 前期期末試験または前期総合課題の提出 60%以上の正解率で前期総合課題問題を解くことができる。
16週 前期期末試験の解説 前期授業内容について復習する。
後期
3rdQ
1週 直列・並列共振
課題13
直列・並列共振回路について理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。
2週 複素数表記
課題14
電気回路の複素数表記について理解する。特にインピーダンスの複素数表記の理解。
3週 正弦波と複素数の対応
課題15
正弦波と複素数の対応について、フェーザの回転との関係性を理解する。正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。
4週 複素インピーダンス
課題16
複素インピーダンスを用いて、もう一度体系立てて交流回路を理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。
5週 インピーダンスとアドミタンス
課題17
インピーダンスとアドミタンスについて、逆数の関係性を理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。
6週 閉路方程式
課題18
閉路方程式の解き方を理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。網目電流法を用いて回路の計算ができる。
7週 節点方程式
課題19
節点方程式の解き方を理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。節点電位法を用いて回路の計算ができる。
8週 後期中間試験 または後期中間総合課題の提出 60%以上の正解率で後期中間総合課題問題を解くことができる。
4thQ
9週 電力保存則と最大電力供給定理
課題20
電力保存則と最大電力供給定理について理解する。 以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。
10週 重ねの理
課題21
重ねの理について、電圧源と電流源の取扱の違いを理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。重ねの理を用いて、回路の計算ができる。
11週 テブナンの定理とノートンの定理
課題22
テブナンの定理とノートンの定理*の双対性を理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。
12週 定抵抗回路
課題23
定抵抗回路について理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。
13週 三角結線と星形結線の等価変換
課題24
三角結線と星形結線の等価変換について理解する。以上について、文字式と数値式で計算をすることができる。
14週 円線図とベクトル軌跡
課題25
円線図とベクトル軌跡について理解する。
15週 後期期末試験 または後期期末総合課題の提出 60%以上の正解率で後期期末総合課題問題を解くことができる。
16週 後期期末試験の解説 後期授業内容について復習する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4前1,前3
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4後4
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4前4
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。4後13
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4前3
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4前5
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4前7
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4前9
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4前6,後3
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4前11
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4前6
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4後5
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4後5
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4後7
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。4前16
網目電流法を用いて回路の計算ができる。4後10
節点電位法を用いて回路の計算ができる。4後6
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。4後7
計測SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。4
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。4後11
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。4前2
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。4前4
オシロスコープの動作原理を説明できる。4
情報系分野その他の学習内容オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。4後4
少なくとも一つの具体的なコンピュータシステムについて、起動・終了やファイル操作など、基本的操作が行える。4
少なくとも一つの具体的なオフィススイート等を使って、文書作成や図表作成ができ、報告書やプレゼンテーション資料を作成できる。4
少なくとも一つのメールツールとWebブラウザを使って、メールの送受信とWebブラウジングを行うことができる。4
基本的なアクセス制御技術について説明できる。4
ディジタル信号とアナログ信号の特性について説明できる。4

評価割合

中間総合課題期末総合課題各回課題授業態度合計
総合評価割合2002001000500
前期得点100100500250
後期得点100100500250