化学基礎

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 化学基礎
科目番号 2024-127 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「化学基礎」(東京書籍),ニューアチーブ「化学基礎」(東京書籍),ニューグローバル「化学基礎+化学」(東京書籍),フォトサイエンス化学図録(数研出版)
担当教員 小林 美学

到達目標

(1) 物質を化学結合の概念を用いて分類し,その性質を示すことができる 。
(2) 化学変化を「酸と塩基」の概念を用いて分類し,その役割を示すことができる。
(3) 化学変化を「酸化と還元」の概念を用いて分類し,その役割を示すことができる。
(4) 化学変化や化学的性質について定量的な扱いができる(物質量,反応の量的関係,中和滴定, pHの計算ができる)。
(5) 代表的なイオンや化学物質を名前や化学式で示す事ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1具体的な物質について,原子間と分子間のそれぞれの結合を記述できる。また,その結合の種類からおよその性質を推測できる。5種類の化学結合の成り立ちや性質を理解できる5種類の化学結合の成り立ちや性質を理解できない
評価項目2水素イオンの移動による酸と塩基のはたらきから,化学反応を説明できる。化学反応における酸と塩基のはたらきを理解できる化学反応における酸と塩基のはたらきを理解できない
評価項目3酸化と還元のはたらきから,化学反応式を組み立てることができる化学反応における酸化と還元のはたらきを理解できる化学反応における酸化と還元のはたらきを理解できない。
評価項目4物質量,反応の量的関係,中和滴定, pHの計算などの応用的な計算ができる。 物質量,反応の量的関係,中和滴定, pHの計算などの基本的な計算ができる。物質量,反応の量的関係,中和滴定, pHの計算などの基本的な計算ができない。
評価項目5教科書で扱うイオンや化学物質を名前や化学式で示す事ができる。代表的なイオンや化学物質を名前や化学式で示す事ができる。代表的なイオンや化学物質を名前や化学式で示す事ができない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 中学校で学習した内容を基礎として,日常生活や社会との関連を図りながら物質とその変化への関心を高め,観察,実験などを通して,化学的に探究する能力と態度を育てるとともに,化学の基本的な概念や原理・法則,化学の果たす役割を理解させ,科学的な見方や考え方を養う。本講義を通して,化学の基本的な概念や原理・法則を工学分野に適用できることを学ぶ。
授業の進め方・方法:
 授業には講義の回と実験の回がある。講義の回では最初に課題の確認と小テストを行う。授業の最後にはミニッツペーパーを提出する。実験の回は一般化学実験室で行う。
 試験は年に4回の定期試験として実施する。得点が60点未満の学生に対して再試験を行うことがある。再試験の上限は60点とする。また特別な事情により再試験が重なる場合は評価点の上限を60点とする場合がある。
 授業で配布したプリント類はMoodleにも掲載する。
注意点:
2つ穴の開いたプリントを綴じるファイルを用意してください。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス, 物質の成分と構成元素(純物質と混合物,混合物の分離) 純物質と混合物の区別が説明できる。混合物の分離法について理解し、適切な分離法を選択できる。
2週 物質の成分と構成元素(元素,単体と化合物,元素の確認) 単体と化合物について説明できる。同素体について説明できる。
3週 物質の成分と構成元素(粒子の熱運動,物質の三態と状態間の変化) 物質の三態とその状態変化を説明できる。物質を構成する分子・原子が常に熱運動していることについて説明できる。
4週 原子の構造と元素の周期表(原子,同位体) 原子の構造(原子核・電子)や原子番号、質量数について説明できる。同位体・放射性同位体について説明できる。
5週 原子の構造と元素の周期表(原子の電子配置,元素の周期表) 物質が原子からできていることについて説明できる。原子の電子配置について電子殻を用いて書き表すことができる。価電子のはたらきについて説明できる。原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。
6週 化学結合(イオンの生成),演習 原子のイオン化について説明できる。イオン化エネルギーと電子親和力について説明できる。
7週 化学結合(イオンの分類,イオン半径,イオン結合とイオン結晶),試験返却 代表的なイオンを化学式で表すことができる。イオンの化学式とイオンの名称について説明できる。イオン半径の大小関係を周期表と関係づけることができる。イオン結合について説明できる。イオン結晶の性質を説明できる。
8週 実験1 「元素の検出」
実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷など)を説明できる。試薬(粉体及び液体)の取扱いができる。整理整頓により実験環境を適切に保ち、手順に従って安全に実験ができる。
2ndQ
9週 化学結合(共有結合と分子の形成) 共有結合について説明できる。構造式や電子式により分子を書き表すことができる。。
10週 化学結合(配位結合,電気陰性度と分子の極性) 配位結合について説明できる。電気陰性度と極性について説明できる。
11週 化学結合(水素結合,ファンデルワールス力,分子結晶,共有結合の結晶,金属結晶) 水素結合について説明できる。分子間力と分子結晶の性質を説明できる。自由電子と金属結合について説明できる。金属の性質について説明できる。
12週 化学結合(化学結合と物質の分類),物質量と化学反応式(原子の相対質量,原子量,分子量,式量) 物質を化学結合や結晶の種類に分類することができる。原子の相対質量と原子量について説明できる。分子量・式量について説明できる。
13週 有効数字,物質量と化学反応式(アボガドロ数と物質量) 適切な有効数字及び単位を用いて物理量を表すことができる。物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。
14週 物質量と化学反応式(モル質量),演習 質量と物質量の関係について説明し,モル質量を用いて両者を変換できる。
15週 物質量と化学反応式(1 molの気体の体積),物質量のいろいろな計算,試験返却 気体の体積と物質量の関係について説明し,モル体積を用いて両者を変換できる。,粒子の個数,質量,気体の体積を,物質量を介することでお互いに変換できる。
16週
後期
3rdQ
1週 物質量と化学反応式(溶液の濃度,化学反応式) 質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。化学反応を化学反応式で表すことができる。
2週 物質量と化学反応式(化学反応式の表す量的関係) 化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。
3週 実験2 「化学反応の量的関係」 実験器具(電子天秤など)を目的と精度に応じて選択し,正しく使うことができる。試薬(粉体)の取り扱いができる。実験条件や実験データを正確に記録できる。適切な有効数字及び単位を用いて物理量を表すことができる。観察・実験結果を座学で学んだ内容と関連づけて説明できる。
4週 酸と塩基(酸と塩基の性質,酸と塩基の定義,広い意味の酸と塩基,酸と塩基の価数) 酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。酸・塩基の概念が化学反応のしくみを説明するものであることを説明できる。酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。
5週 酸と塩基(酸と塩基の強弱,水の電離と水素イオン濃度,水素イオン濃度とpH) 電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。pHを説明でき、pHと水素イオン濃度の計算ができる。
6週 酸と塩基(水のイオン積,対数を用いたpHの求め方,pH指示薬とpHの測定,身近な物質のpH,中和反応と塩の生成,塩の種類) 対数を用いたpHの計算ができる。中和反応を化学反応式で表すことができる。塩を分類できる。
7週 酸と塩基(塩の性質),演習 塩の水溶液の性質を説明できる。
8週 酸と塩基(中和反応の量的関係,中和滴定,滴定曲線) 中和滴定の計算ができる。中和滴定の操作について,説明できる。中和滴定において,正しい指示薬を選択できる。
4thQ
9週 実験3 「中和滴定」 実験器具(ガラス器具など)を目的と精度に応じて選択し,正しく使うことができる。試薬(液体)の取り扱いができる。実験条件や実験データを正確に記録できる。適切な有効数字及び単位を用いて物理量を表すことができる。観察・実験結果を座学で学んだ内容と関連づけて説明できる。
10週 酸化還元反応(酸化と還元,酸化数,酸化還元反応と酸化数) 酸化還元反応について説明できる。指定された原子の酸化数を,化学式から求めることができる。酸化数の増減から,酸化反応と還元反応を示すことができる。
11週 酸化還元反応(酸化剤と還元剤,電子の授受と酸化還元反応,酸化剤と還元剤のはたらきの強さ) 酸化剤と還元剤の半反応式を記述できる。酸化剤と還元剤の半反応式から化学反応式を導ける。
12週 酸化還元反応(金属のイオン化傾向,金属の反応性) イオン化傾向について説明できる。金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。
13週 酸化還元反応(電池のしくみ,実用電池) 一次電池についてその反応を説明できる。二次電池についてその反応を説明できる。
14週 酸化還元反応(金属の精錬),演習 鉄の製錬について説明できる。
15週 酸化還元反応(酸化還元の量的関係),化学と人間生活,試験返却,授業アンケート 酸化還元滴定の計算ができる。化学と現代の社会課題との関連性について説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学化学化学と現代の社会課題との関連性について説明できる。3後15
物質が原子からできていることについて説明できる。3前5
単体と化合物について説明できる。3前2
同素体について説明できる。3前2
純物質と混合物の区別について説明できる。3前1
混合物の分離法について理解し、適切な分離法を選択できる。3前1
物質を構成する分子・原子が常に熱運動していることについて説明できる。3前3
水の状態変化について説明できる。3後2
物質の三態とその状態変化について説明できる。3前3
原子の構造(原子核・電子)や原子番号、質量数について説明できる。3前4
同位体・放射性同位体について説明できる。3前4
原子の電子配置について電子殻を用いて書き表すことができる。3前5
価電子の働きについて説明できる。3前5
イオン化エネルギーと電子親和力について説明できる。3前6
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3前7
原子番号と価電子の数との関係について考えることができる。3前5
元素の性質について価電子と周期律から考えることができる。3前5
イオンの化学式とイオンの名称について説明できる。3前7
イオン結合について説明できる。3前7
イオン結晶の性質について説明できる。3前7
共有結合について説明できる。3前9
極性と水素結合について説明できる。3前10,前11
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3前9
自由電子と金属結合について説明できる。3前11
金属の性質について説明できる。3前11
原子の相対質量と原子量について説明できる。3前12
物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3前13,前14,前15
分子量・式量について説明できる。3前12
気体の体積と物質量の関係について説明できる。3前15
化学反応式について反応物、生成物、係数を理解し、組み立てることができる。3後1
化学反応式を用いて化学量論的な計算ができる。3後2
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3後4
質量パーセント濃度について説明でき、質量パーセント濃度の計算ができる。3後1
モル濃度について説明でき、モル濃度の計算ができる。3後1
酸・塩基の定義(アレニウスの定義、ブレンステッド・ローリーの定義)について説明できる。3後4
酸・塩基の化学式と酸・塩基の価数について説明できる。3後4
電離度と酸・塩基の強弱について説明できる。3後5
pHについて説明でき、pHと水素イオン濃度の計算ができる。3後5,後6
中和反応を化学反応式で表すことができる。3後6
中和滴定の計算ができる。3後8
酸化還元反応について説明できる。3後10
イオン化傾向について説明できる。3後12
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3後12
一次電池についてその反応を説明できる。3後13
二次電池についてその反応を説明できる。3後13
化学実験化学実験実験器具(電子天秤やガラス器具など)を目的と精度に応じて選択し正しく使うことができる。3前8,後3,後9
試薬(粉体及び液体)の取扱いができる。3前8,後3,後9
整理整頓により実験環境を適切に保ち、手順に従って安全に実験ができる。(物理実験と共通)3前8,後3,後9
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷など)を説明できる。3前8
実験条件やデータなどを正確に記録できる。(物理実験と共通)3後3,後9
実験結果を表やグラフなどに見やすく整理できる。3後3,後9
適切な有効数字及び単位を用いて物理量を表すことができる。(物理実験と共通)3前13,後3,後9
観察・実験結果を座学などで学んだ内容と関連付けて説明できる。(物理実験と共通)3前8,後3,後9

評価割合

試験小テスト課題合計
総合評価割合75205100
基礎的能力75205100
専門的能力0000
分野横断的能力0000