総合実習

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 総合実習
科目番号 0057 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 1,2学年「機械工作法」の教科書,「楽しい競技ロボットの作り方」(弓納持,日刊工業新聞社),「ロボコン・ベーシック・スタディ」(清水,オーム社)など.
担当教員 白井 達也,鬼頭 みずき,長谷川 賢二

到達目標

アイデアの創出と討論,加工法を考慮した設計図の作図,工作機械の正しい使用方法の習得,計画立案および実行力と報告書の作成及びプレゼンテーションといった一連の「ものづくり」のプロセスに必要な知識と経験を身に付け,実際にオリジナルのロボットをチーム一丸となって製作できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1与えられたルールに基づいて競技ロボットのアイデアを考え,設計を主導的に行うことができる.与えられたルールに基づいて競技ロボットの設計を分担して行うことができる.与えられたルールに基づいて競技ロボットの設計を分担して行うことができない.
評価項目2設計図面だけではなく,その部品がどのような役割を担うのかを理解した上で部品加工を行い,組み立て・調整作業を行える.設計図面に基づいて部品加工を行い,組み立て・調整作業を行える.設計図面に基づいて部員加工を行い,組み立て・調整作業を行えない.
評価項目3各授業の作業内容を簡潔に日報にまとめると同時に,現時点で予測される問題点について考察することができる.各授業の作業内容を簡潔に日報にまとめることができる.各授業の作業内容を簡潔に日報にまとめることができない.
評価項目4三次元CAD,各種工作機械(NC含む)の基礎的な使い方を理解し,その知識を機械設計製図に反映できる.三次元CAD,各種工作機械(NC含む)の基礎的な使い方を理解している.三次元CAD,各種工作機械(NC含む)の基礎的な使い方を理解していない.
評価項目5図や文章を正しくかつ有効に用いて最終報告書を期日までに提出できる.図や文章を正しく用いて最終報告書を期日までに提出できる.図や文章を用いて最終報告書を期日までに完成して提出できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
より良い製品作りは製品の機能や性能だけではなく,仕様決定から製品の廃棄までの全過程を意識して行う必要がある.総合実習では機械技術者にとって基本である“構想,設計/製図,加工/組立/調整,改善”の一連の「ものづくり」のプロセスを全て体験することで,機械工学の専門科目,実社会での設計/生産技術,研究活動に活用できる技術とセンスを磨き,計画立案・実行力を養成する.
授業の進め方・方法:
・第1週から第4週は,学習・教育到達目標(A)<視野>,学習・教育到達目標(A)<技術者倫理>,学習・教育到達目標(A)<意欲>,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する.
・第1週から27週は,学習・教育到達目標(B)<基礎> ,学習・教育到達目標(B)<展開> に対応する.
・第28週は,学習・教育到達目標(C)<発表> に対応する.
・授業は実習形式で行う.安全に気を付け,教職員および班員と連絡を密に取り,集中して取り組む.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
「到達目標」1~13の習得の度合いを毎週提出する工作実習日誌および学年末に提出する最終報告書,最終的に完成した成果物(ロボット)とその設計製作への貢献度で評価する.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認する.
<学業成績の評価方法および評価基準>
授業毎に提出する工作実習日誌の記述内容を提出毎にA~Cの3段階で評価し,その平均点を工作実習日誌の評価とする(60%).これに,学年末に提出する最終報告書の評価点 (25%),班で製作したロボットの評価および各学生の貢献度合に応じた評価点 (15%)を加えて最終成績とする.なお,提出が遅れた工作実習日誌の評価点は0点とする.定期試験は実施しない.
・前期中間試験の評価点:前期中間試験前までの工作実習日誌の評価点の平均点
・前期末試験の評価点 :前期中間試験以降の工作実習日誌の評価点の平均点
・後期中間試験の評価点:後期開始から後期中間試験前までの工作実習日誌の評価点の平均点
・学年末試験の評価点 :全ての工作実習日誌の評価点の平均点,最終報告書の評価点,貢献度の評価点を合算した点数
<単位修得要件>
学業成績の評価方法によって,学業成績で60点以上を取得すること.
全ての工作実習日誌,最終報告書を定められた期日までに提出すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
本教科は1,2学年の「機械工作実習」,「機械工学実習」,「設計製図」,「機械工作法」の学習が基礎となる教科である.これらの授業を十分理解していること.歯車の種類,ギア比とトルク/回転速度の関係を理解していること.
<レポート等>
毎週,実習内容および製作中のロボットの問題点やその解決法,参考書などで調べた内容を工作実習日誌にまとめ,提出する.
学年末に,各人が設計したロボットに関する最終報告書を一人一部ずつ作成して提出する.
<備考>
総合実習は1,2学年で学んだ工作実習の応用である.ロボット製作は創意,工夫,チームワークが重要となるため,授業の欠席や遅刻はチームワークを乱し,他の班員へ負担を強いることとなるため厳に慎むこと.工作実習報告書の提出期限は厳守,授業を欠席した場合であっても必ず提出期限までに提出すること.授業内で講義する安全管理を守ること.出図日は厳守すること.なお,本教科は後に学習する「創造工学」,「工学実験」,「卒業研究Ⅰ,Ⅱ」,「特別研究(専攻科)」の基礎となる教科である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス:製作する競技ロボットのルールおよび使用可能な材料と工具の説明,実習工場内での作業に関する安全教育を行なう.ロボットのアイデアを各人で考える.考えた結果は第3週の授業開始時にレポート提出すること. 1.競技ルールおよび制約を理解する.
2週 ロボット構想(1) 2.ロボットのアイデアを考え,それを図と文章で表現できる.
3.ロボットのアイデアを実現するための知識を図書などから調べることができる.
3週 ロボット構想(2) 上記2,3
4週 三次元CADの使用方法 4.三次元CADを用いて部品,アッセンブリを組み合わせて立体的な構造物を設計できる.
5週 ロボット組立図設計(1) 5.アイデアを実現するメカニズムを考案し,図面化できる.
6週 ロボット組立図設計(2) 上記5
7週 ロボット組立図設計(3) 上記5
8週 ロボット組立図設計(4) 上記5
2ndQ
9週 ロボット組立図設計(5) 上記5
10週 ロボット組立図設計(6) 上記5
11週 ロボット部品図設計製図(1) 6.機械加工・組立手順を考慮して部品を設計できる.
7.加工時のミスを防ぐような部品図が描画できる.
12週 ロボット部品図設計製図(2) 上記6,7
13週 ロボット部品図設計製図(3) 上記6,7
14週 部品加工・組立調整(1) 8.旋盤,ボール盤,フライス盤,帯ノコ盤など,必要な加工機を正しく安全に用いて部品を加工できる.
9.計画的かつ効率的な作業手順を考えて実施できる.
15週
16週
後期
3rdQ
1週 部品加工・組立調整(2) 上記8,9
2週 部品加工・組立調整(3) 上記8,9
3週 部品加工・組立調整(4) 上記8,9
4週 部品加工・組立調整(5) 上記8,9
5週 部品加工・組立調整(6) 上記8,9
6週 部品加工・組立調整(7) 上記8,9
7週 部品加工・組立調整(8) 上記8,9
8週 プレ競技会 10.製作したロボットの技術的な問題点を洗い出し,その対策方法をチーム内で話し合うことができる.
4thQ
9週 部品加工・組立調整・改良(1) 上記10
10週 部品加工・組立調整・改良(2) 上記10
11週 部品加工・組立調整・改良(3) 上記10
12週 部品加工・組立調整・改良(4) 上記10
13週 最終調整 11.スイッチを用いたDCモータの正逆回転回路を理解できる.
14週 競技およびプレゼンテーション 12.製作したロボットの構造,特徴,長所と短所を簡潔かつ正確にプレゼンテーションできる.
13.実習内容を簡潔かつ正確に工作実習報告書に記述できる.
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の工学実験・実習能力機械系分野(実験・実習能力)機械系分野(実験・実習能力)実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。4
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。4
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。4
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。4
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。4
やすりを用いて平面仕上げができる。4
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。4
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。4
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。4
フライス盤主要部の構造と機能を説明できる。4
フライス盤の基本操作を習得し、平面削りや側面削りなどの作業ができる。4
ボール盤の基本操作を習得し、穴あけなどの作業ができる。4
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。4
少なくとも一つのNC工作機械について、各部の名称と機能、作業の基本的な流れと操作を理解し、プログラミングと基本作業ができる。4

評価割合

実習日誌最終報告書貢献度合計
総合評価割合602515100
配点602515100