材料力学Ⅰ

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 材料力学Ⅰ
科目番号 0078 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「材料力学」黒木剛司郎・友田陽 著(森北出版)参考書:「基礎 材料力学」竹園茂男 著(朝倉書店),「材料力学要論」ティモシェンコ・ヤング著,前澤成一郎訳(コロナ社) ,「材料力学と強度評価の基礎」高橋・清水著(山海堂) 他に図書館には問題集を含めて多数ある.
担当教員 末次 正寛,白木原 香織

到達目標

工業材料の機械的性質と種々の荷重を受ける物体の変形や物体内に生じる応力に関する基礎的事項を理解し,棒の引張りと圧縮,はりの曲げによる変形と応力の計算に必要な専門知識を習得し,機械や構造物を構成する部材の設計に適用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1応力とひずみの概念を修得しており,各種の機械的性質を理解している.更に,より複雑な問題へ応用できる.応力とひずみの概念を修得しており,各種の機械的性質を理解している.応力とひずみの概念を修得しており,各種の機械的性質を理解していない.
評価項目2棒に軸力(引張・圧縮力)が作用したときの応力・ひずみ・変位(伸び・縮み)が,不静定,熱応力も含めて算出できる.更に,より複雑な問題へ応用できる.棒に軸力(引張・圧縮力)が作用したときの応力・ひずみ・変位(伸び・縮み)が,不静定,熱応力も含めて算出できる.棒に軸力(引張・圧縮力)が作用したときの応力・ひずみ・変位(伸び・縮み)が,不静定,熱応力も含めて算出できない.
評価項目3はりに働く反力,せん断力,曲げモーメントが計算でき,せん断力線図,曲げモーメント線図を描くことができる.更に,より複雑な問題へ応用できる.はりに働く反力,せん断力,曲げモーメントが計算でき,せん断力線図,曲げモーメント線図を描くことができる.はりに働く反力,せん断力,曲げモーメントが計算でき,せん断力線図,曲げモーメント線図を描くことができない.
評価項目4種々の断面形状のはりの図心と断面二次モーメント,断面係数が計算でき,曲げ応力,せん断応力を算出できる.更に,より複雑な問題へ応用できる.種々の断面形状のはりの図心と断面二次モーメント,断面係数が計算でき,曲げ応力,せん断応力を算出できる.種々の断面形状のはりの図心と断面二次モーメント,断面係数が計算でき,曲げ応力,せん断応力を算出することができない.
評価項目5種々の荷重が作用したときのはりのたわみ曲線を求めることができ,より複雑な問題へ応用できる.種々の荷重が作用したときのはりのたわみ曲線を求めることができる.種々の荷重が作用したときのはりのたわみ曲線を求めることができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料力学は,機械や構造物が破損しないように,かつ最適に使用できるように材料を選択したり,寸法を定めたりすることを目的とした学問である.授業では,基本的な種々の荷重を受ける物体(弾性体)の変形や物体内に生じる応力の解析手法を学ぶとともに,材料の強さについても理解する.設計の基本と関連して,第3学年においては,棒の引張り,圧縮およびねじり,はりの曲げについて学習し,自ら問題を解いて深く考える能力を養う.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する.
・授業は講義形式で行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする。
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
「到達目標」1~12の確認を,前期中間,前期末,後期中間,学年末試験とそれぞれの試験範囲で課す課題で行う.課題を含む各試験範囲における合計点の60%の得点で,評価項目1~12の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準>
前期中間:課題(40%)と前期中間試験(60%),前期末:課題(40%)と前期末試験(60%)で各試験範囲を評価し,それらの平均を前期末評価とする.
後期中間:課題(40%)と後期中間試験(60%),学年末:課題(40%)と学年末試験(60%)で各試験範囲を評価し,それらの平均を後期評価とする.さらに前期末評価と後期評価の平均を学年末評価とする.
なお,4回の各試験範囲の評価点(課題を加味した評価)が60点に達しない学生については再試験を実施し,各試験結果を上回った場合には,評価点の上限を60点として評価する.ただし,ここでの再試験は4回の各試験に対するものであり,課題提出による点数の変更は行わない.
注意:課題については,提出用シートを用いて指定された期日までに提出すること(期日後に提出した場合には,その課題評価は「0点」となる).
<単位修得要件>
すべての課題を提出し,学業成績の評価方法によって,60点以上の評価を受けること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
材料力学は,物理学と数学を用いて説明する学問で,三角関数と初等関数の微分積分と物理学における静力学の基礎を理解しているものとして講義を進める.
<レポート等>
理解度を把握するため,学習用の課題を与える.
<備考>
材料力学は機械工学における最も重要な基礎科目の一つである.多くの強度上有用な公式が与えられており,学習にあたっては,単にこれらに数値をあてはめて結果を得るのではなく,これらの公式がどのような考え方に基づいて得られたかを自ら導いて確認することが大切である.本教科は後に学習する材料力学Ⅱ,材料学,弾・塑性学の基礎となる教科である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 応力とひずみ,フックの法則と弾性係数,ポアソン比 1.応力とひずみの概念を修得している.
2週 応力-ひずみ線図,許容応力と安全率 2.フックの法則,弾性係数,ポアソン比,許容応力,安全率を理解し,材料の応力-ひずみ線図が説明できる.
3週 真応力と真ひずみ,伸び率と絞り 3.真応力と真ひずみ,伸び率と絞りが説明できる.
4週 棒の引張りと圧縮1 4.棒に軸力(引張・圧縮力)が作用したときの応力・ひずみ・変位(伸び・縮み)が,不静定問題を含めて算出できる.
5週 棒の引張りと圧縮2 上記4
6週 熱応力,応力集中 5.熱応力を求めることができ,応力集中の概念を修得している.
7週 中実円形断面棒のねじり応力と変形 6.各種断面を有する棒材のねじり応力と変形が計算できる.
8週 前期中間試験 上記1~6
2ndQ
9週 前期中間試験の解説 上記1~6
10週 中実円形断面棒のねじり応力と変形 上記6
11週 中空円形断面における極断面2次モーメント 上記6
12週 密巻きコイルばねの応力と変形 上記6
13週 はりの種類およびはりのせん断力と曲げモーメント 7.はりに働く反力,せん断力,曲げモーメントが計算できる.
14週 片持ちはりのせん断力線図と曲げモーメント線図 8.各種はりの曲げにおけるせん断力線図と曲げモーメント線図を描くことができる
15週 両端支持はりのせん断力線図と曲げモーメント線図 上記8
16週
後期
3rdQ
1週 前期末試験の解説および種々のはりのせん断力線図と曲げモーメント線図1 上記8
2週 種々のはりのせん断力線図と曲げモーメント線図2 上記8
3週 はりの曲げ応力を求める基礎式の導出 9.はりの曲げ応力を計算できる.
4週 横断面の図心,断面一次モーメント,断面二次モーメントおよび断面係数 10.種々の断面形状のはりの図心と断面二次モーメント,断面係数が計算できる.
5週 平行軸の定理,断面二次モーメンの加法(減法)定理,断面二次極モーメント 上記10
6週 種々のはり断面の断面二次モーメントと断面係数の導出 上記10
7週 後期中間試験範囲の演習および解説 上記8~10
8週 後期中間試験 上記8~10
4thQ
9週 曲げによるはりのたわみを求める基礎式の導出 11.種々の荷重が作用したときのはりのたわみ曲線を求めることができる.
10週 片持はりの曲げによるたわみの具体例 上記11
11週 両端支持はりの曲げによるたわみの具体例 上記11
12週 面積モーメント法による解法 上記11
13週 不静定はりの問題の解法(一端固定・他端支持はり) 12.不静定はりにおけるたわみ曲線を求めることができる.
14週 不静定はりの問題の解法(両端固定はり) 上記12
15週 学年末試験範囲の演習および解説 上記11~12
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野機械設計許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。4
力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。4
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。4
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。4
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。4
両端固定棒や組合せ棒などの不静定問題について、応力を計算できる。4
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。4
引張荷重や圧縮荷重が作用する棒の応力や変形を計算できる。4
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。4
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。4
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。4
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。4
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。4
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。4

評価割合

試験課題合計
総合評価割合6040100
配点6040100