メカトロニクス演習

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 メカトロニクス演習
科目番号 0080 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 「メカトロニクス入門」(実教出版)
担当教員 白井 達也,打田 正樹,正木 彰伍

到達目標

メカトロニクス技術を構成するアクチュエーター,センサー,組込みシステム,プログラミングに関する幅広い知識を身に着け,実習を通してそれらをモノづくりに応用する基礎的なスキルの体得を目的とする.最終的に,スイッチやセンサーによる入力に応じてアクチュエーターを制御する簡単な組込みシステムを自分で開発(構想から運用)できる能力の獲得を目標とする.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1代表的なセンサーやスイッチに加えて,特殊なセンサーやスイッチの役割,構造,利用方法を自ら調べて活用できる.代表的なセンサーやスイッチの役割,構造,利用方法を理解して,実際に使用できる.代表的なセンサーやスイッチの役割,構造,利用方法を理解できない.
評価項目2 代表的なアクチュエーターに加えて,特殊なアクチュエーターの役割,構造,利用方法を自ら調べて活用できる.代表的なアクチュエーターの役割,構造,利用方法を理解して,実際に使用できる.代表的なアクチュエーターの役割,構造,利用方法を理解できない.
評価項目3一般的な組込みシステムの特別な機能の利用方法を自ら調べて活用できる.一般的な組込みシステムの機能,利用方法を理解して,実際に使用できる.一般的な組込みシステムの機能,利用方法を理解できない.
評価項目4目の前にある課題を実現するPLC,組込みシステムなどのプログラムを自ら開発(デバッグ作業含む)できる.例示されたPLC,組込みシステムなどのプログラムの動作を予想し,実際に動作させて確認し,改良できる.例示されたPLC,組込みシステムなどのプログラムの動作が予想できない.
評価項目5センサ等の信号の取得と簡単な数値処理ができ,その結果から物理現象を理解できる.センサ等の信号の取得と簡単な数値処理ができる.センサ等の信号の取得と簡単な数値処理ができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
組込みシステムの低価格化と高性能化,IoTの社会への浸透といった工学技術の変革に伴い,産業界において機械系エンジニアもメカトロニクス技術の習得が必須項目となった.メカトロニクス技術は大きく分けて,入力(センサー等),出力(アクチュエーター等),制御(マイクロコンピューター等),情報通信からなる.これらの基礎知識の習得は,さらに高度なRT(ロボットテクノロジー)の習得に必須な知識である.座学および実習を通して,モノを動かすことができる機械系エンジニアの育成を目指す.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する.
・授業は講義形式と実習形式を組み合わせて行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
「到達目標」1~17の確認はテーマごとの課題や小テストにおいて確認し,目標の達成度を評価する.達成度評価における「到達目標」の重みは概ね均等とする.満点の60%の得点で,目標の達成を評価する.
<学業成績の評価方法および評価基準>
中間試験は実施しないが,前期末定期試験および学年末定期試験は実施する.定期試験の成績とテーマごとの課題提出および小テストの成績を組み合わせで学業成績を評価する.
期末試験は100点満点で評価し,その平均点を最終成績の30%とする.残りの70%は各テーマの課題提出および小テストの成績により評価する.
<単位修得要件>
全ての提出を提出し,学業成績の評価方法によって,学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
本科目は,工学基礎実験,機械工学演習で学習したモノ創りの知識と技術が基礎となる科目である.
<自己学習>
授業で保証する学習時間と予習・復習(期末試験,課題作成および小テストのための学習も含む)に必要な標準的な学習時間の総計が,180時間に相当する学習内容である.
<備考>
学習した知識や経験の定着は自発的な技術の応用により強化される.与えられた課題の実施だけではなく,自主的な課題探求と技術の活用を強く勧める.
本科目は総合実習,創造工学,卒業研究Ⅰ,工学デザイン,卒業研究Ⅱなどと強く関連し,これら科目の基礎となる科目である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 メカトロニクスの概要と役割 1.メカトロニクスの構成要素を理解して説明できる.
2週 機械の機構と運動の伝達(1)
2.ねじ,軸受け,歯車,リンク機構,ワイヤー駆動,直動ガイドなど,機械の機構を構成する代表的な機械要素の構造と役割を理解して説明できる.
3週 機械の機構と運動の伝達(2) 上記2
4週 センサの種類とその使い方 3.代表的なスイッチ,センサーの仕組みと役割を理解して説明できる.
5週 SOLIDWORKS演習 4.三次元CADによる機構の動作シミュレーションの方法習得して活用できる.
6週 Arduino実習(1) 5.Arduino評価キットを用いて発展的な課題を自律的に解決できる.
7週 センサのインターフェイス 6.A/D変換,DIO,パルスカウンターの役割と仕組みを理解して説明できる.
8週 確認課題と小テスト 上記1から6
2ndQ
9週 IchigoJamの製作 7.電子回路基板の半田付け作業ができる.
10週 アクチュエータの基礎
電気式アクチュエータの種類と動作原理
8.空圧/電気式アクチュエーターの特徴の違いを理解して説明できる.
9.代表的な電気式アクチュエーターの種類と動作原理を理解して説明できる.
11週 電気式アクチュエータの駆動回路
動力源
10.電気式アクチュエーターを制御する電気要素(電磁リレーなど)と動力源(電源,バッテリー)について理解して説明できる.
12週 自動制御の種類と定義
制御系の基本構成
11.自動制御の概念と古典制御理論の基礎を理解して説明できる.
13週 PLCの役割と構造
電磁リレーの構造と接点
12.電磁リレーの仕組みを理解すると共に,PLCによるシーケンス制御の仕組みを理解して説明できる.
14週 Arduino実習(2) 13.組込みシステムを用いてDCモーターの制御を行うことができる.
15週 IchigoJamのプログラミング 14.リソースの制限が強い組込みシステムでのプログラミングができる.
16週
後期
3rdQ
1週 シーケンス制御 15.PLCによるシーケンス制御の基礎的なプログラミングができる.
2週 空圧機器 16.空圧機器の種類,役割,構造と特徴を理解して説明できる.
3週 PLC演習(1) 17.PLCによるシーケンス制御でDCモーターとエアシリンダーの動作を制御できる.
4週 PLC演習(2) 18.PLCによるシーケンス制御でモード管理に基づいた装置の制御ができる.
5週 プログラミング基礎(1) 19.高級言語を用いたデータ処理ができる.
6週 プログラミング基礎(2) 上記19
7週 モータの駆動回路 20.電気モーターの代表的な駆動回路の動作原理を理解して説明できる.
8週 確認課題と小テスト 上記15から20
4thQ
9週 モータの駆動回路
マイコンによるモータの制御
21.組込みシステムを用いてモーターのフィードバック制御を実装できる.
10週 コンピューターの歴史
マイクロコンピューターの構造と動作原理
22.電子計算機の開発史を知ると共に,マイクロコンピューターの構造と動作原理を理解して説明できる.
11週 コンピューター通信(1) 23.パラレル通信,シリアル通信,インターネットなど,情報通信技術の基礎を理解して説明できる.
12週 コンピューター通信(2) 24.IoTの基礎を理解して,Webサーバーと組込みシステムの通信によるWebサービスの動作原理の基礎を理解できる.
13週 産業用ロボットの構造と動作原理
産業用ロボットの高度な演習
25.産業用ロボットの代表的な構造と構成を理解して説明できる.
26.産業用ロボットによる教示およびプログラミングができる.
14週 メカトロニクス製品の仕組みと具体例(1)
27.社会の問題の本質を理解し,それをメカトロニクス技術で解決する方法を考えてプレゼンテーションできる.
15週 メカトロニクス製品の仕組みと具体例(2)
上記27
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。2
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野情報処理プログラムを実行するための手順を理解し、操作できる。3
定数と変数を説明できる。4
整数型、実数型、文字型などのデータ型を説明できる。4
演算子の種類と優先順位を理解し、適用できる。4
算術演算および比較演算のプログラムを作成できる。3
データを入力し、結果を出力するプログラムを作成できる。3
条件判断プログラムを作成できる。3
繰り返し処理プログラムを作成できる。3
一次元配列を使ったプログラムを作成できる。3
計測制御計測の定義と種類を説明できる。3
測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。3
国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。3
代表的な物理量の計測方法と計測機器を説明できる。2
自動制御の定義と種類を説明できる。2
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。2
情報系分野計算機工学コンピュータを構成する基本的な要素の役割とこれらの間でのデータの流れを説明できる。2
プロセッサを実現するために考案された主要な技術を説明できる。2
入出力を実現するために考案された主要な技術を説明できる。2
コンピュータシステムネットワークコンピューティングや組込みシステムなど、実用に供せられているコンピュータシステムの利用形態について説明できる。2
情報通信ネットワークプロトコルの概念を説明できる。2
ローカルエリアネットワークの概念を説明できる。1
インターネットの概念を説明できる。1

評価割合

課題・小テスト前期末定期試験学年末定期試験合計
総合評価割合701515100
配点701515100