習得した知識・能力を超える問題に備えて継続的・自律的に学習し,習得した知識をもとに創造性を発揮し,限られた時間内で仕事を計画的に進め,チーム内で成果・問題点等を論理的に記述・伝達・討論できる.
概要:
「魅力的な製品」の実現を目指して学生自ら技術的課題と目標を設定し,期日や材料の制限下で実現可能性を考慮に入れた仕様・計画の立案,設計・製作を完遂する.一連の過程を通して,解決すべき課題の発見と解決手法を実践的に体験する.技術者としてのモチベーション(意欲,情熱,チャレンジ精神など)を涵養し,これまでに学んだ学問・技術の応用能力,課題設定力,創造力,継続的・自律的に学習できる能力,プレゼンテーション能力および報告書作成能力を育成する.実習を通して創造力の幅を広げ,より高度な設計技術,エンジニアリングデザイン能力を実地で身に付ける.この科目は顧客のニーズに応じた実践的な製品開発の一連のプロセスを実習形式で体験する授業である.企業で産業用ロボット,シーケンサー(PLC)などを用いた自動生産設備の開発を担当していた教員を中心として機械工学科全教員で担当する.
授業の進め方・方法:
・第1週の内容は,学習・教育到達目標(A)<視野>,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する.
・第2週,第3週の内容は,アイデア討論,仕様策定および概略設計,学習・教育到達目標(B)<専門>,<展開> に対応する.
・第4週の内容は,学習・教育到達目標(C)<発表>に対応する.
・第5週から第14週までの内容はすべて,学習・教育到達目標(A)<意欲>,学習・教育到達目標(B)<専門>,<展開>に対応する.
・第15週の内容は,学習・教育到達目標(C)<発表>に対応する.
・授業は講義・実習形式で行う.講義中は集中して聴講し,実習中は安全に注意して真剣に取り組む.
・クラスを班(各班2~5名)に分け,指定された大枠のテーマを満たす「魅力的な製品」を各班で1台ずつ製作する.考案,仕様策定,計画立案,設計・製作,プレゼンテーションを班員全員で協力して行う.
・製作する製品はセンサやスイッチなどを入力とし,電気モータやエアシリンダを動力とする.動力およびアルミ材など,最低限必要な材料は支給する.
・エンジニアリングデザインに関する実践的な知識や経験に関する講義を行なう.学内パテントコンテストへの参加も強く推奨する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
「到達目標」1~6の習得の度合いを中間および最終発表会のプレゼンテーションと完成した成果物と最終報告書で評価する.100点満点で60点以上の得点を取得した場合に目標を達成したことが確認できるように,それぞれの報告書および発表の評価レベルを設定し,中間発表を15%,最終報告書を75%,最終発表を5%,課題作品を5%として評価する.
<学業成績の評価方法および評価基準>
中間発表を15%,最終報告書を75%,最終発表を5%,課題作品を5%として100点満点で評価する.
<単位修得要件>
学業成績の評価方法によって,学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
本教科は「機械工作実習」,「総合実習」の学習が基礎となる教科である.以上の科目に加え,設計製図,機械加工学,コンピュータプログラミング等の基礎知識も必要である.
<レポート等>
学期末に,製作した成果物のアイデア,機構,図面をまとめたレポートを各人1部提出する.
<備考>
本教科は後に学習する「卒業研究」,「特別研究(専攻科)」の基礎となる教科である.第3学年の「総合実習」で行ったロボット製作よりも高度な技術が要求される一方,製作に当てられる時間数が少ないため計画にしたがって効率的に作業を行う必要があり,チームワークが重要である.
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。 | 3 | |
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。 | 3 | |
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。 | 3 | |
他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。 | 3 | |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 3 | |
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる | 3 | |
複数の情報を整理・構造化できる。 | 3 | |
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。 | 2 | |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。 | 3 | |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 3 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 3 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 3 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 3 | |
目標の実現に向けて計画ができる。 | 3 | |
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。 | 3 | |
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。 | 3 | |
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。 | 3 | |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 3 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 3 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 3 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 3 | |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 3 | |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 3 | |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 3 | |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 3 | |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | |