応用数学Ⅰ

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 応用数学Ⅰ
科目番号 0097 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子情報工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「新 応用数学」 高遠節夫,ほか5名著(大日本図書)
参考書:「キーポイントフーリエ解析」船越 満明(岩波書店),「ベクトル解析」 戸田盛和著(岩波書店)
担当教員 北島 雅也,川本 正治

到達目標

フーリエ解析,ラプラス変換,ベクトル解析の概念を理解し,具体的な関数に適用して解を求めることができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1フーリエ級数を理解し熱伝導方程式や波動方程式の解法に応用できる.フーリエ級数を理解し周期関数のフーリエ級数展開が計算できる.フーリエ級数に関する計算ができない.
評価項目2フーリエ変換を理解し熱伝導方程式や波動方程式の解法に応用できる.フーリエ変換を理解し簡単な具体例が計算できる.フーリエ変換に関する計算ができない.
評価項目3ラプラス変換を理解し線型微分方程式の解法に応用できる.ラプラス変換を理解し簡単な具体例が計算できる.ラプラス変換に関する計算ができない.
評価項目4ベクトル解析における積分定理を理解し様々な問題に応用できる.ベクトル解析における種々の計算(grad, div, rot, 線積分,面積分など)ができる.ベクトル解析における計算ができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
講義は,「フーリエ解析(フーリエ級数とフーリエ変換)」,「ラプラス変換」及び「ベクトル解析」からなる.これらの理論は,工学にとって必須のものであり道具として自由に使いこなせるようになることを目標とする.どの理論も今まで学んできた微分積分学の生きた知識が要求されるので,その再確認もしていきたい.
授業の進め方・方法:
・授業の内容はすべて,学習・教育到達目標(B)<基礎>に相当する.
・授業は講義形式で行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
フーリエ解析,ラプラス変換,ベクトル解析に関する「到達目標」1~18の確認を前期中間試験,前期末試験,後期中間試験,学年末試験で行う.1~18に関する重みは同じである.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準>
前期中間,前期末,後期中間,学年末の4回の試験の平均点で評価する.ただし,各定期試験のそれぞれの評価で60点を下回った学生に再試験を行う場合があるが,実施する場合,再試験の成績が該当する期間の成績を上回った際には,60点を上限としてそれぞれの期間の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.
<単位修得要件>
学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>
微積分の全ての知識.その他,低学年の数学の授業で学んだことが必要である.本教科は微分積分Ⅱ,線形代数Ⅱの学習が基礎となる教科である.特に,ベクトル解析では,微分形の計算に習熟していること.
<自己学習>
授業で保証する学習時間に加え,予習・復習(中間試験,定期試験の学習も含む)に要する学習時間が必要となる.
<備考>  
微積分のあらゆる知識を使うので,低学年次に学んだことの復習を十分にすること.疑問が生じたら直ちに質問すること.本教科は,専攻科で学ぶ代数学特論および数理解析学Ⅱの基礎となる教科である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 フーリエ級数の考え方 1.フーリエ級数,周期関数のフーリエ級数展開,フーリエ係数,フーリエの収束定理が理解できる.
2週 周期2π のフーリエ級数 2.具体的な関数のフーリエ級数展開が求められる.
3週 一般の周期関数のフーリエ級数 上記1,2
4週 フーリエ級数の性質と収束 上記1,2
5週 具体的な関数のフーリエ級数展開 3.具体的な関数の複素フーリエ級数展開が求められる.
6週 複素形式のフーリエ級数 上記3
7週 偏微分方程式へのフーリエ級数の応用 4.簡単な偏微分方程式がフーリエ級数を用いて解ける.
8週 前期中間試験 上記1~4
2ndQ
9週 フーリエ変換の導入      5.基本的な関数のフーリエ変換が計算ができる.
10週 フーリエ変換の積分定理 6.基本的な関数の逆フーリエ変換を計算できる.
11週 ラプラス変換の定義と性質 7.ラプラス変換の積分変換,移動法則,微分・積分法則
12週 具体的なラプラス変換 8.具体的な関数のラプラス変換が求められる.
13週 逆ラプラス変換 9.具体的な関数の逆ラプラス変換が求められる.
14週 逆ラプラス変換の性質と具体的な逆ラプラス変換 上記9
15週 ラプラス変換の常微分方程式への応用 10.簡単な常微分方程式がラプラス変換を用いて解ける.
16週
後期
3rdQ
1週 ベクトルの基本的な性質 11,内積,外積,スカラー3重積,ベクトル3重積,座標変換等の線形代数を使える.
2週 直線・平面の方程式,座標軸の回転 上記11
3週 ベクトルの微分 12.動点の変位に微積分を応用し,物体の微小回転を角速度で表すことができる.
4週 平面曲線と空間曲線,フルネーセレーの公式 13.曲率・曲率半径,空間曲線の曲率とねじれ率,フルネ―セレーの公式を理解している.
5週 曲面の助変数表示 14.2次曲面や回転面等を2つの助変数で表せ線素や面積要素が使える.
6週 空間でのスカラー場やベクトル場に対する,勾配,発散,回転(復習) 15.勾配,発散,回転について理解している.
7週 保存力とポテンシャルの例(重力や静電力,渦なしの流れ) 上記15 
8週 後期中間試験 上記11~15
4thQ
9週 水の流れの連続の方程式 上記15
10週 マクスウェル方程式からの電磁波の方程式の導出 上記15
11週 スカラー場,ベクトル場の線積分,グリーンの定理 16.経路に沿った関数やベクトル場の経路に沿った積分ができグリーンの定理を使える.
12週 スカラー場,ベクトル場の面積分 17.曲面に沿った関数やベクトル場の積分ができガウスの発散定理を使える.
13週 ガウスの発散定理 上記17.
14週 アルキメデスの原理,静電場,重力場等への発散定理の応用 上記15,17
15週 ストークスの定理 18.ストークスの定理を理解し,流れの渦や電流が作る磁場で簡単な応用ができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3
分数式の加減乗除の計算ができる。3
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3
恒等式と方程式の違いを区別できる。3
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
角を弧度法で表現することができる。3
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。3
一般角の三角関数の値を求めることができる。3
2点間の距離を求めることができる。3
内分点の座標を求めることができる。3
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。3
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。3
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。3
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。3
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。3
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。3
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。3
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3
独立試行の確率、余事象の確率、確率の加法定理、排反事象の確率を理解し、簡単な場合について、確率を求めることができる。3
条件付き確率、確率の乗法定理、独立事象の確率を理解し、簡単な場合について確率を求めることができる。3
1次元のデータを整理して、平均・分散・標準偏差を求めることができる。3
2次元のデータを整理して散布図を作成し、相関係数・回帰直線を求めることができる。3
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。3

評価割合

試験小テスト合計
総合評価割合8020100
配点8020100